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「なれるかじゃなくてなってもらわないとね」



「わぁぁ‼︎おめでとう由比羽‼︎」


「おめでとう由比羽!」


「ありがとう。2人とも」



帰ってまず2人に報告した。太一は今バイトに行っていて、家を開けている。メールや電話で報告してもいいのだが、新鮮なリアクションが見たかったから、帰ってくるまでは我慢することにした



「それにしてもやっぱり妊娠してたんだね。由比羽の生理が止まってたから予想はしてたけど」


「まあね。私もそんな気はしてたの。でも確証が持てるとやっぱり気持ちの持ち方が違うっていうか……ん?」



私は一瞬スルーしかけたが、琴乃がとんでもないことを口走っていた



「なんで私の生理が止まってたこと知ってるの⁉︎」


「当たり前でしょ?家族なんだから当然よ」



そうかそうか。家族なら生理のことも理解してて当たり前か……



「てことは伊津も知ってたの?」


「知ってる訳ないでしょ……琴乃が異常なのよ」



やっぱり私の最初の反応は間違っていなかったらしい



「やっぱりおかしいじゃん‼︎」


「えー?そんなことないと思うけどなぁ……」



結婚してから気がついたけど、琴乃は私の事を知りすぎている気がする。奏斗よ……昔私に「琴乃に依存しすぎだ」って言ってたことあったけど、私より琴乃の方が私に依存してる可能性があるよ……



♢ ♢ ♢



「ただいまー」



太一がバイトから帰ってきたようだ



「「太一!」」


「ん?2人でお出迎えなんてどうした?ってちょ‼︎な、なんだよ⁉︎」



2人は太一の腕を引っ張って私のいるリビングへと引き連れてきた



「じゃあねー。後は2人でごゆっくり〜」



2人は外へと出て行ってしまった。最近2人仲良すぎない?まあいい事だとは思うけど、結婚当初からは想像出来ないぐらい仲が良くなってる



そして私と太一で2人きりにされてる場面も多くなってる気がする……



「なんだあの2人……最近忙しないな」


「あはは……まあ仲が良くなったのはいい事でしょ?」


「……それもそうだな。それよりなんか話でもあるのか?」


「え?あ、うん……」



私は太一に妊娠の報告をーー



「……」


「由比羽?」


「ちょ、ちょっとだけ待って貰える?」


「え?あ、ああ……じゃあその間にお茶淹れるよ。由比羽はアイスコーヒーでいいか?」


「う、うん。ありがと」



なぜか妊娠した報告をすることに躊躇いを覚えてしまった。いい事だし、太一が喜んでくれることは間違いないことも分かってる。分かってるけど……なぜか言葉が詰まってしまう



不安はない。実際作る為の行為もしてた訳だし、念願だった



ただなんだろう……なんでだろう……色んな感情が渦巻いている



♢ ♢ ♢



「実は私のお腹に……太一との子供がいるの!」


「マジか!やったな!まあそろそろ出来て当たり前だよなぁ。あんなにセ○○○したしな!」



♢ ♢ ♢



こんなこと言われたら、今までしてきたことを思い出して恥ずかしくなるし……



♢ ♢ ♢



「私ね……妊娠したみたい……」


「ああん⁉︎お前どこの男と子供作って来たんだ⁉︎このヤ○マ○が‼︎」



♢ ♢ ♢



こんなこと言われるのはあり得ないことは分かってるけど、もし仮にこんなこと言われたら私の心は砕け散るし……



♢ ♢ ♢



「私ね……おめでたで、3ヶ月目だって」


「え……ごめん。まだ子供作る気なんてなかった。ごめんだけど、堕ろしてもらっていいか?」



♢ ♢ ♢



なんて言われた際には離婚届けを至急持ってきて机に叩きつけてやる。琴乃と伊津の分も一緒に



伝えることに勇気がいる。まだあの2人が居た方が気が楽だったと思う



「落ち着いた?」


「ひゃいっ‼︎」



コップを二つ持った太一が、私の前の椅子に座り、私の前にコーヒーを置いてくれた



「ひゃいっ‼︎って……そんな話辛いことなのか?」


「は、話辛いわけじゃないんだよ?ちょっと勇気がいるだけで……」


「それを話辛いというのでは?」


「……確かにそうかも」



どちらにせよ引き伸ばしたところでいつかはバレてしまう。遅かれ早かれ言わないといけない



「……じ、実はね」



否定なんてされないんだから、覚悟を決めろ!私!



「もしかして子供出来た?」


「……え?」



私が口に出す前に太一が言ってしまった



「なんで分かったの?」


「大切な話なのは分かってたし、思い当たるのがこれぐらいしかなかったからさ」


「……意外と冷静だね」



もっと喜んでくれるものだと思ってた……太一にとっての1番が私じゃないからなのかな……



「……冷静に見えるか?」


「うん。見える」


「なら俺の頬見てみ。あと口元も」



太一の言われた通り見てみると、顔は赤くなり、口角が緩んでいた



「すげぇ嬉しい‼︎やったな!」



太一は私に机に身体を乗せた状態で抱きついてきた



「わっ!こ、溢れるって!」


「ごめんごめん!つい嬉しくなってさ!」



太一は机の上にあった飲み物を溢さないようにゆっくりと身体を起こした



「俺はちゃんとした父親になれるかな?」


「なれるかじゃなくてなってもらわないとね。これからどんどん増えるんだからさ」


「そうだな!頑張るよ!」


「頼りにしてるからね。太一」


「おう!」



頼もしい。今までで1番太一が頼もしく、そして大きく見えた

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