「文句しかねーわ」
さて……どうすれば穂乃美は俺のモノになるだろうか
由比羽という女も素晴らしい。だが、最優先は穂乃美だ
周りの根回しは済んでる。由比羽を除いてな
放課後に待ち伏せてみたが、なぜか毎回見失ってしまう。靴箱の前に最速で位置取っているのにだ
それが由比羽のせいなのか、影で男達が暗躍してるのか……どちらにせよ誰かに邪魔されてることは間違いない
一度でも弱みを握れば……あとはスムーズに進むんだがな
ほしいものはなんでも手に入れる。ずっとそうだったし、これからもそのつもりだ。だけど、今までで1番欲しいものが、今までで1番手に入れるのが難しいだなんてな
まあその分燃えるってものだ。チャンスは逃さないさ
そのチャンスは意外と早くに訪れた
♢ ♢ ♢
穂乃美……ああやはり美しい……こんな暇な授業も、穂乃美の横顔をずっと眺めているだけでこの50分はすぐに過ぎる……
ウトウト……
ああ……眠そうだねぇ……その目が虚う姿も可愛いなぁ……
すぅ……すぅ……
あらら……顔を伏せて寝ちゃったか。これでは顔を眺めることは出来なーー……やはり俺は天才だ。良いことを思いついた
「先生」
「ん?どうしたのかね田本くん」
「加隈さんが寝ています。もしかすると体調が優れない可能性があります!なので僕が保健室に連れて行きます!」
「え?いや、加隈は元々授業中に起きてる方が珍しーー」
「先生?体調の悪い者を放って置いて良いのですか?教育者として如何なものかと思いますが?」
「いや、体調が悪いとは限らなーー」
「先生。この僕が言ってるんです」
「……っ!わ、分かった。連れて行ってやれ」
「分かりました!」
俺は寝ている穂乃美をおんぶし、教室の外へ出た
やはりパパの持つ権限とは偉大な者だ。少し脅せば相手は折れる。他のクラスメイトも、俺に口出しすればタダでは済まないことを理解してるから、指を咥えてみてるしかない
このまま保健室には連れて行かない。俺が見つけたとっておきのスポットに連れて行って、俺のモノにしてやる。写真も撮って、俺の言うことに逆らえないようにしてやる
穂乃美は俺のモノだ‼︎
♢ ♢ ♢
「ふぅ。軽いとはいえ、さすがにここまで連れてくるのには疲れたな」
保健室は先生がいる。ヤるには最適かもしれんが、邪魔が入る可能性が大いにある。だから俺は予め探して置いた
この学校の人の出入りがほぼない場所。空き家やら校庭の裏側だったり色々あったが、1番はこの放置されている倉庫だ
この倉庫。扉が開かない。立て付けの問題なのか知らないが、あるやり方をすれば開くことが分かった
先生達にあの倉庫はもう使われていないことは聞いている。中からの音が外に聞こえづらいことも調べておいた
放置されている割に、電気は付くし、埃がないのは気になるが、硬いがマットも置いてある。ここが間違いなく最適解だ
「さてと……それじゃあいよいよいただきますか!」
置いてあるマットの上に穂乃美を寝かせ、そして穂乃美の上に跨った
……やっとだ。3週間近くは焦らされたんだ
「多少乱暴にされても文句は言えねーよなぁ?」
「文句しかねーわボケが」
俺は田本の襟を掴んで穂乃美から引き剥がした
「なっ!誰だお前は⁉︎なんでこんなところにいる⁉︎」
「さあ?なんでだろうな?」
「お、俺の邪魔をするなんていい度胸じゃないか!」
「俺?ああ……本性隠してるタイプだったか。まあ性格悪いことは知ってたけどな」
穂乃美はまだ寝てる……元々騒々しい所でも寝れるらしいし、最近の睡眠不足が相まって結構深い眠りについてるっぽい
「俺の邪魔をしたやつは、人生の終わりを意味するんだぞ?」
「なんでだ?」
「俺は田本財閥の一人息子だ!お前の父親の会社に、俺の親が一言口添えするだけでお前ら一家は露頭に迷うんだよ‼︎」
「へぇ。そんなにすごいのか。田本財閥ってのは」
「当たり前だ!財閥だぞ?財閥‼︎貧乏人とは訳が違う!」
「そうかいそうかい。それより、お前の携帯が鳴っているぞ?出なくていいのか?」
田本のポケットに入ってる携帯が鳴っていた
「今はそんなことどうでもいい!」
「いやいや。確認してみろよ。すごく大事なお話が待ってるぞ」
田本は不審がった。まるでかかってきた電話の内容が分かるかのような言い振りをしたからだろう
田本は携帯を取り、電話に出た
「もしもしパパ?こんな時間になに?」
『絶対にその娘と目の前にいる男に手を出すな‼︎いいか⁉︎絶対だ‼︎逆らえば俺ら家族が露頭に迷うことになる‼︎』
「……は?」
一体何が起こっているのか理解が出来ない様子。まあそりゃそうか。仕方ないから俺から明かしてやるとしよう
「残念だけど、俺は貧乏人じゃない」
「俺は、緋扇財閥の跡取りだ」