「勝者」
「はぁ……バカなことしちゃったなぁ……」
ノリと勢いは、時に身を滅ぼすことを知っている。私は、自爆してしまったのだ
誰が太一の子供を産むのか……それを決めるゲームをした。内容はババ抜き。近くにトランプがあったから4人で対決することになった
なぜ4人なのかと言うと、流石に太一にも決定権はあげないといけない。不平等だと癇癪を起こすので、仕方なく太一が勝てば子作りは先の話にすることになったのだ
でも……結果は私の完勝。スムーズもスムーズ。結局一度も外すことなく、圧倒的勝利だった
いつもなら勝負に勝てて大喜びなのだが、今回は本来勝ちたくなかった側の人間。ノリと勢いに呑まれた人間だ
そして今、私は太一のベッドで待たされていた
実は日にちは勝負した日から少し経っている。その理由は簡単だ
今日は私の危○日だからだ
つまりは子供が出来やすい日。目的は子供を作ること。ならばちゃんと出来やすい状態でしないといけないと琴乃と伊津が言い出したのだ
そしてこの日に、太一と私が子供を産む為に行為に及ぶよう、指定されたのだ
……なぜか危○日を把握されてたことに私はビックリしたけどね
なんて考えていると、部屋の扉が開いた
ビクッと身体を震わせる私。……とうとう来てしまったか……
「由比羽ー?準備出来てるの?」
入ってきたのは太一ではなく、琴乃と伊津だった
「なんだ……2人か」
「太一じゃなくて残念だった?」
「そ、そういうわけじゃない……」
「まあもうすぐ来るから心配しないでいいよ」
「だからそんなんじゃなくて……」
2人はニヤニヤと笑っている。なぜ2人が率先した事柄に負けたのに、ニヤニヤしているのか……
「……嵌められた?」
「お!やっと気づいた?」
ババ抜きの結果は、実は操作されたものだったらしい
「私と琴乃で協力して嵌めたんだー!」
「ババ抜きで協力とか……そんなの出来るの?」
「やり方は内緒だけど、琴乃の天才的アイデアで出来るんだよなぁ」
「私より頭悪いくせにこういう事に関しては天才級だな……」
「ずる賢いからね」
「自分で言うんだそれ……」
やり方が皆目検討もつかないが、どうやら嵌められたことは間違いないらしい
「てか、なんでそんなことすんの?2人とも太一の子供欲しがったたのにさ、私が勝っちゃうように仕向けたら本末転倒じゃない?」
「分かってないなぁ……これは私と琴乃の優しさだよ?」
「優しさ?」
どこに優しさがあるというのだろうか
「私と伊津はまだ積極的にいけますけど、由比羽はそういうの遠慮するでしょう?」
「遠慮なんか……」
「してるよ。長年一緒にいるから分かるよ。由比羽ってなんでも積極的にするタイプだって思われがちだけど、実は一歩引いてること。今回も、太一がそれほど乗り気じゃない事が分かってたから、敢えて同調する形を取ってた事も知ってるわ」
「……はぁ。琴乃も大概、私に依存してるよね」
「当たり前よ。初めて親友になった日から、私は由比羽に依存してるわ」
私より私を知ってる……依存性は私より高いんじゃない?
「じゃあ頑張ってね。もうすぐ太一帰ってくるだろうし」
「うん……」
「そんな不安そうな顔しないの。3つ子産んで、私達の出番無くすんでしょ?」
「現実的に考えて狙って3つ子とか無理な話よね」
「それは太一の子種の強さ次第でしょう」
「太一にどんどんプレッシャーが……まあ頑張るわ。何を頑張ればいいかわかんないけど」
「初夜じゃないんだから!そんな緊張しなくてもいいって!」
「時間空いての2回目はまだ緊張するでしょぉ……」
もう結婚して半年以上経っているが、私達はまだ温泉街で初めてシた以来、一度も行為に及んでいないのだ
「まあまあ、とりあえず私達は声が聴こえると恥ずかしいだろうから、3時間ぐらい家から出てるから」
「さ、3時間もしないって……」
「分かんないよー?太一相当溜まってるだろうからね。もしかしたら3時間じゃ終わらないかも」
……私の身体が持つか心配になってきた