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「私ももう隠さない」



「私と……離婚して下さい」



そう言い放つ加蓮に驚きを隠せないが、なんとか俺は平静を装った。あたふたすれば、悪い方向へとずっと話が進んでいくと感じたからだ



「……なんで離婚したいの?」


「今さらだけど……奏斗に迷惑ばっかりかけてるなって」



しおらしい表情をする加蓮。連れて行かれる前はあんな表情、見た事がなかった



「奏斗達と離れてる間、家から出れなくて……ずっとずっと考え事してた。奏斗達のいる家に戻りたい……でも、また同じ事が起きるかもしれない。ただでさえ私のワガママで奏斗の人生を狂わせたのに、これ以上迷惑はかけられない……そう思ったの」



加蓮の目には涙が浮かんでいた



「正直、良い機会だなって思った。いつまでも関係があやふやなまま、奏斗に頼る現状を直す……奏斗を解放してあげるべきなんだって」



流れる涙を拭いながら話す加蓮



「あの2人にも私から奏斗を自由にしてあげて欲しいって頼むから心配しないで。奏斗がちゃんと好きな人と結婚出来るように。だから私と……ううん。私達と離婚して下さい」



頭を深々と下げる加蓮



今日は加蓮の見たことない姿ばかり見ている気がする。しおらしい表情、泣いてる所、頭を下げる所。全部全部初めて見るけど……全部見たくなかったことばっかりだ



「加蓮。顔を上げて」



加蓮は俺の指示通り顔を上げた。そして俺は……手を振りかぶった



加蓮は何をされるのか理解した様子で、目を瞑って覚悟を決めていた



そして俺は……加蓮の頬に優しく手の平を当てた



「迷惑なんて思ってない。確かに最初は迷惑だったけどさ。急に婚約者になれって言われて、聖頼の美少女ランキング2位と3位と結婚させられて、周りからの嫉妬の目がチクチクと刺さる刺さる。俺の学園生活は無茶苦茶だ」



俯く加蓮。だが、頬に当てた手の親指で顎をクイッと上げ、顔を上げさせた



「でも、その分家での生活が楽しくなった。学園生活が気にならないくらい、ここに充実した生活がある!俺は……結婚してよかったって。巻き込まれたのが俺で良かったって心底思ってるよ」



そして人差し指で、加蓮の涙を拭った



「俺は離婚したくない。加蓮が本当に好きな人が出来たって言うなら、俺も離婚に応じる。でもそうじゃないんだったらさ……俺はこの生活を続けたい。4人でずっとずっと一緒に過ごしたい」



「俺は……加蓮が好きだよ」



そして俺は、加蓮とキスを交わした。こちらから無理矢理キスをした形だが、加蓮は抵抗する様子はなかった



「嫌なら抵抗してくれて良かったのに」


「い、嫌じゃない……びっくりはしたけど……」



顔が赤い。まあ俺も多分真っ赤なんだけど



「……本当に私が好きなの?」


「ああ。大好きだ」


「私の為に言ってるとかじゃなくて?」


「本心だ。もう隠さないって決めた」


「……私なんかのどこがいいのよ」


「全部だ‼︎」



卑屈な考え方をする加蓮を真っ向から捻じ伏せてやった



「……じゃあ私ももう隠さない。私は……奏斗が好き。この世界で一番好き!」



加蓮は俺に飛びついて、押し倒した。そして……加蓮からキスをしてきた



「フゥゥー‼︎お熱いね‼︎お二人さん‼︎」


「「うわっ‼︎」」



いつの間にか帰ってきていた2人が、俺達の熱いキスを見届けていた



「アッチかったね‼︎ねえ穂乃美?」


「うん。情熱的だった」



加蓮と俺は更に顔を赤くしていた



「熱すぎてホットケーキ焼けそうだよね!」


「いや、それはありえない。ホットケーキを焼くのに必要な火力は約160℃。人間がそんな温度を体内から出してたら、身体が真っ黒焦げになってる」


「例えのつもりだったんだけど、まさかこんなにマジレスされるとは……まあとにかく!お二人さん熱かったよ!」



恥ずかしい……実は俺達は家族になってからキスを交わしたのが、加蓮が結婚式、今日を合わせて3回。日伊乃が結婚式で1回。穂乃美に至っては、未だにした事がない



「はぁ……不覚でしたわ」


「まあ……マンションの一階のコンビニだと、これぐらいで帰ってくるよなぁ……油断したわ」



2人で大きなため息をついた



「あ、奏斗!私にもキスしてよ」


「はぁ⁉︎」



日伊乃が唐突なお願いをしてきた



「きゅ、急に何言い出すんだよ!」


「えー?私も奏斗の嫁だよ?加蓮ばっかり贔屓にしてズルくない?」



確かに回数だけで言えば贔屓と捉えられなくもないが……



「だからって2人の前でするーーんっ‼︎」



日伊乃は俺に有無を言わさずにキスをしてきた



「お、おまっ!」


「短いー!もっとー‼︎」



首の後ろに手を回され、そのまま強引にキスをされた



「ぱー!よし満足!」



加蓮とほぼ同時間、キスを交わした



「私も3回目かー。加蓮には負けてらんないなー」


「何の勝負よそれは……まあ私の方がこれからする回数多いでしょうけどね」


「わかんないよー?じゃあこの1ヶ月でどっちの方が多くキスするか勝負しようか?」


「望むところですわ!日伊乃には負けません!」



と、俺が絡む勝負で、俺の合意なく勝負が決まってしまった



「奏斗」


「ん?どうした穂乃ーー」



……穂乃美にも不意を突かれる形でキスをされた。何が起こったのか一瞬理解が追いつかなかった



「ほ、穂乃美⁉︎」


「い、今奏斗とき、キスしてーー」


「……まず一回」



理解の追いつかないまま、更にもう一回



「んっ……2回目」


「ほ、穂乃美……?」


「んっ……これで3回」


「ちょ、ちょっと待っーー」


「うんっ……これで4回」


「きゅ、休憩させーー」


「っ……はぁ……これで5回だね」



頭がクラクラする……穂乃美と初キスどころか、もう5回もしてしまった



「私が5回で、2人は3回だから、私が一歩リードだね」



勝ち誇った顔をする穂乃美。その姿を見て、2人は悔しそうにしている



「まさか穂乃美が……」


「こんなに大胆な人だとは思ってませんでしたわ」


「今のところ私が1番。私が1番愛が深い」



煽る穂乃美に焚き付けられたのか、加蓮と日伊乃は獣のような目で俺の方を睨みつけた



「奏斗!キスしますわよ!」


「奏斗!キスさせなさい!」



迫り来る2人。その目は、獲物を狩る獣そのものだった



「き、今日はもう勘弁してくれー‼︎」



俺は自室に閉じこもった



「……無理矢理迫るのは違いますわね」


「だねー。まあさっきも十分無理矢理だったけど……」



……どうやら諦めてくれたようだが、しばらくはずっと警戒心を緩められない……これも平穏の証拠なのかな?



何にしても……加蓮が戻ってきてくれて本当に良かったと、俺は改めて思ったのだった

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