皇国の愛すべきバグたち
神様から城外は自由に行動していいって言われたから本日は皇国のバグ探しに向かうことにした。
とりあえず探すだけ探して報告書にまとめておくのだ。
折を見て告げるつもりではあるが、今は大変そうなので下手に報告すると雷落とされそう。
なので、イリスとルーカにもそれを伝えて、一先ず三人が別々に行動することになった。
それぞれ護衛として、僕にはシークレット、サシャ×2、コピーハ、魔王様、サクヤ。
イリスにはパルマ、サボ、若いケンウッド、セルジュ、カルシェ、タダシ。
ルーカにはアニキ、レスティス、俺の尻で泣け、Gババァ、ついでに盗賊見習い三人組がルーカたっての願いで一緒に向かうことになった。
ついでなのでハッサンとラパティ、ギドゥ、ヘイグル、ダンディというメンバーを作って別行動でバグを探って貰う。
無理せず適当にな。レベルも上げてないから戦闘なんてしないように。
証拠写真とか取って来てくれることを期待して、送り出す。
さって、んじゃシークレット、お邪魔虫が結構いるけど皇国デート行こうぜ。
ってなわけで、中央広場にやってきた僕らは四方向に向かうことにした。
一番危険な北方面のお城側にはパルマを近づけないということで、イリスは南方面に。
逆にルーカは城見てみたいとアニキと共に向って行った。
盗賊団丸ごと皇城見学とか、捕まらないかね?
なのでヘイグルとダンディにハッサンの保護を頼んで西に送り出す。
絶対ハッサンがどっか行くのでまともな思考を持ってる二人に保護者を頼んだのである。ギドゥは諜報。役に立ってくれればいいけどな。ナルタ、追加で悪いんだけど彼らの護衛頼むわ。
なんか心配になって来たので一応壁役にナルタを起用。小さい我が子をおつかいに送り出す気持ちで彼らと別れる。
集合は夕方にここだからなー。
シークレットたちと東側探索を始める。
皇国は無駄に広いので何があってもおかしく……ブハッ!?
超高速で足踏みしながら動くお婆さんが目の前を横切る。
変に一瞬一瞬立ち止まるから唖然とせざるをえなかった。
しかも少し離れた場所には杖付いたお爺さんが超高速バイブレーションしている。
か、かかか神様ーっ!!
思わずGMコールしてしまった。
しかし、返ってきたメールに僕は呆然とする。
―― 仕様だってよ。あの駄女神マジ殺す ――
あー、うん。了解。つまりバグじゃなく駄女神マロンの足跡がそこかしこに残ってる訳な。
―― とりあえずアイテムボックスに紙入れといたから、それに駄女神がやった非道が書かれてるから確認しといて。それ以外のバグはあとで直す。うん、後で、とにかく城内。それ最優先だから ――
これは神様へのメールは本気で控えた方が良さそうだ。
少なくとも城内関係が片付くまでは、ね。
とりあえず城内作れたら連絡くれるそうなので、それまでは話を進めず皇国内散策しといてくれだそうだ。
しっかし、こうして歩くだけでも気になるのが結構いるな。
ネコミミ生やしたおっさんとか。無駄に尻尾が振れてるのが凄く気になる。
ゾンビが普通に徘徊していた。でも皆気にしてない。
あーっと歩くゾンビに子共がぶつかる。
倒れるゾンビ。子供はごめんなさい。と謝ってさっさと走り去っていく。
ゾンビの体液かかちゃってるけど大丈夫なのか?
ぞ、ゾンビがここでも大量発生したりするのかな?
ゾンビ君も衝撃で倒れて背骨が折れたらしく凄い恰好で歩きだす。
上半身千切れるんじゃないですかね?
ひぃぃ、ブリッジしてるより怖い鯖折られ状態だよ……
誰か気付いて。
というか誰か気にしてっ。
ゾンビ君がヤバいよ、いろいろとヤバいよ。
おばちゃん。笑顔でこんにちわ。とか飴ちゃんいる? とか言ってる場合じゃないよ!?
「やぁ、私はグーレイ、ひぽぽぴぽぽるんちゃっちゃ」
突然話しかけられた。
誰かと見れば、全身銀色でアーモンド形の目を持った生物が訳の分からない言葉を吐いてくる。
正直宇宙言語とか分からないのでちょっと遠慮させてください。
「なんだこいつは?」
「気色の悪い生物だな」
魔王二人が酷い。
「ぴりぽのっぴょろんぷぷーぱぴっぴ」
なんか悪意を感じる言葉を喋るグーレイ星人。当然ながらマロンとやらの悪ふざけのためバグじゃない。
だから周囲の人も気にせず素通りである。
「ぴころぴころうーろーぱーぴろろろろろろろろろろろろろろ」
そしてぴろろと言葉を告げながらどこへともなく去っていった。
正直意味が分からな過ぎて怖い。
マロンさんや、あのグーレイになんか恨みでもあるのか? というぐらい意味不明生物として存在していた。
あ、ゾンビとグーレイが接触した。
れ、レーザービーム出た! グーレイの指先からビームでたよ。ゾンビが治った!?




