グレイシアコラボイベント3
大ピンチだ!?
いきなりアニキが死亡してしまった。
リーハのHPもかなり減ってる。一応コピーキャラとしては一番レベルが高いのに。
逆に炎属性に強いサクヤにはダメージがそこまで入って無かった。
キマイラ無駄に強い!?
リーハが火炎ブレス。サクヤの水連弾。サクヤの攻撃がかなり効くのは相手が火属性だからだろうか?
おじいちゃんはやっぱり腰が痛かったりで大変だ。長命水飲ませたらこの状態のまま腰痛くなくなったりしないだろうか?
折角だしもう一回泉に向かって水汲んでみるか? 別の水出て来て有効なのがあるかもだし。
そういえばナルタは?
うわっ、HPかなり減ってる。でも死ぬほどじゃない。
とりあえず今回は自己治療して貰おう。
「そうだ。イベントのタダシさん、えーっとリーハを娘認定で」
「あ、はい」
そういえばこのタダシさんの方は設定してなかった。
慌てて戦闘中に設定をさせて貰う。
これでタダシの特殊スキルが発動するはずだけど……
今回はブレイブザッパーで攻撃してくれたようだ。
ズバンと傘が真下に振り下ろされ、遥か遠くまで衝撃波が進行。
なんとキマイラが真っ二つになった。
そして敵の攻撃時、なぜか五体満足のキマイラさんが前足を振るう。
ナルタが瀕死になった。
ヤバいなナルタが死にそうだ。
回復を……と考えた次の瞬間キマイラは二度目の攻撃をナルタに叩き付けた。
そしてナルタが離脱する。
「二連攻撃かよ!?」
「あーあぁ。私が出てれば楽勝なのにぃ」
「同感だ。コピーハには荷が重かろう」
サシャとリーハは戦闘組から外されたせいで不満気味だ。
分かってるけどさ、君等が入ると即殺できるでしょ。
しかし、流石にこれは予想外だ。
リーハの攻撃とサクヤの水神破砕線が敵のHPを削る。
もう半分以上削れた。今回はサクヤが大活躍かもしれない。
おじいちゃんが杖でぽこん。1ドットほど削れた。
最後にタダシがパリィを発動。
あの、タダシさん、敵は魔物だからパリィ意味無い気が……
ばさばさっと浮かびあがったキマイラによる体当たり。
駆け抜けるキマイラに激突し、皆のHPががくっと減る。
リーハのHPが消え去り第二形態へと移行した。
サクヤのHPもレッドバー状態。
お爺ちゃんは……
「お迎えが、来たようじゃ……」
お、お爺ちゃーんっ。
くそ、また一人命を散らしちまった。
ここはやはりお爺ちゃんに若返り水飲ませた方が良いかもしれん。
これはマズイか? そう思ったモノのタダシさんだけはHPバーが殆ど……というかまったく削られていない。
防御力高過ぎない!?
というか、あのスーツの防御力が高いらしい。
リーハの必殺が可能になるのはあと1ターン。サクヤも同じだ。
そのため今回は攻撃だけを行っておく。
そしてタダシの攻撃力が半端なかった。
敵のHPがついにレッドバーへと変化する。
そして敵の……体当たり。
いかんっ。と第二形態になってたリーハを庇うただし。メガネがグシャグシャになって宙を舞う。
クリティカルヒット。一気にHPが消え去った。なんでだよ!? 庇うと大ダメージになるとか逆だろ。普通庇う使ったら防御1・5倍とかで硬くなるはずだよね!? あれか、生身の顔面に激突したからか!?
ここでタダシも脱落か!?
思った次の瞬間、HPバーが1ドットだけ回復した。
おお、流石一家の大黒柱。娘を守るためなら命をかける価値がある。
でも、いいのだろうか?
リーハは第二形態に入ってるのでドラゴン形態なんですが?
あ、それでも娘認識しちゃうんだね。父の愛は凄いってか? 神様によるインプリンティングが半端ない。
もはや許さん。とリーハが星屑達乃虐殺EX。サクヤが蟒流水撃。そしてタダシが父の背中を見せつける。
流星群火炎弾はやはりダメージが少ないようだ。逆に蟒流水撃が大ダメージを与える。
瀕死状態のキマイラに、タダシが動き出す。
傘を携えゆっくりと歩きだすタダシ、途中で振り返り、リーハに優しく微笑んだ。
「グレヴィウスリーハ。よく見ておきなさい」
まるでわがままな娘を諭すように、タダシは告げる。
そして、ゆっくりと、徐々に加速して走り出す。
「私の、家族にぃ……」
まさに光の如く、冴えないサラリーマンが気力を振り絞って激突する。
「手を、出すなぁぁぁぁぁ――――ッ!!」
キマイラはアルブレラという傘に貫かれ、一瞬にしてHPバーが真っ黒に変化する。
そこから振り返りながらの切り上げ。相手に背を向け弧を描いたアルブレラが地面にたたきつけられる。
トドメの一撃に最適な必殺でした、ありがとうございます。
危機迫る顔で突撃したタダシ。頑張るお父さんに思わず敬礼してしまう僕だった。
くそぅ、アニキ並みにカッコイイじゃないかおっさん。
傘を振るって血飛沫を飛ばし、残心を終えてゆっくりと戻ってくるタダシさん。
先程までのうだつの上がらないおっさんの姿はそこにはなかった。
まるで歴戦の戦士のように凛々しき漢の帰還が、そこにはあった――――




