神様倒れる
神は焦っていた。
砂漠の村バグの経験から皇国でのバグ探しもかなり精密になったはずなのだが、予想以上にバグが多過ぎて再び4徹に入っていたのだ。
正直ダイスケの相手をしながら片手間に出来る作業じゃない。
限界近い時にダイスケは気にせずGMコールを行い泉の水の獲得率を変えろとか面倒なことをぬかしおる。
ふざけんなバーカ。と返しそうになり、すんでのところで留まった。
危うく再びバグ報告デスマーチが始まる所だった。
自分の首を真綿で締めるような趣味は無いのだ。
気分が荒んでいる。
流石に休息を取った方が良さそうだ。
幸いダイスケはケンウッドの家でしばらく過ごすようだし、一日くらい寝ても問題はないだろう。
ベッドを呼び出ししばし眠るため、ダイスケ達には悪いがメンテナンスに入ることにした。
流石に自分が寝てる間に変な報告入れられても困るため、メンテ中の日本家屋に飛ばさせて貰った。
仲間と一緒だし不満は言わないだろう。
ただ、眠るので大規模メンテと同じ時間潰れることになる。
とりあえず6時間程を予定していると連絡をして、もしかしたらちょっと伸びるかも。とメールしておく。
そんな作業を終えて、さー寝るぞーっ。とベッドに横になった瞬間だった。
「おっはー、元気してるー」
「うがあああああああああああああああああああ!?」
「おわっ!? な、なに?」
様子を見に来たマロンとアルセという二人の女神が出現したことで神は発狂した。
シルエットだけしか見せていなかった二人だが、その気配だけで神は激しい痙攣を始める。
そのままばたり、気絶したように深い眠りに沈んでいく。
「あー、うん、限界近い時に来ちゃったッぽいね」
呆れたマロンにアルセが苦笑いする。
「しっかし、ダイスケ君だっけ、彼を放置して気絶はヤバいんじゃね?」
そういいながら作業画面を覗き見るマロンとアルセ。
「うん、そうだねー。メンテナンス中みたいだからちゃんとフォローはされてるみたい」
アルセが指で指し示したダイスケたちの現状を確認し、マロンはうんうんと頷く。
「で、これが第4章と5章の話ね。今取りかかってるのは……うっは、すっげーバグ。こりゃひどいわ」
見てみ。とアルセに画面を見せるマロン。取り除き中のバグを見たアルセは驚きに目を見張る。
「王様に面会すると進行不能になるバグから王様の会話ループ、王妃様全裸徘徊にアサシン風の男が普通に通路を歩いているバグ。城下町はさらにひどいわね。ほら、まだ手を付けてないけど街中で魔物とエンカウントする仕様になってる。え? これ? あ、本当ね。お爺さんが武器として登録されてるわ」
冒険者の青年がお爺さんの足を手に持って振り回しているのを見付けたアルセ。
さすがにこれはと呆れるマロン。
ふと、そんなマロンさんは気付いた。
「彼、疲れてるみたいだしぃここはこの天才プログラマーのマロンさんがちょちょいっとバグ直しちゃおうか。ふふん、泣いて喜ぶがいいわ」
「いじっちゃ、ダメだよ?」
しかしアルセの言葉を無視して腕まくりのジェスチャーをしたマロンは世界改変に着手したのだった。
「折角だしちょちょいっとじゃなく抜本的にやってみようかなー。あとちょいっと私がやりました的な物を世界内に残してやりたいから新しくプログラミングしてぇ……」
「黒歴史に……ならないといいね……」
呆れたアルセはマロン説得を諦めた。
皆が言うように、この駄女神はろくな事をしないのだ。致命的なことにならないことだけは祈っておくことにして放置するアルセだった。
そんなアルセは次のコラボガチャに付いて調べる。
まだ登場させるキャラは決めてなかったが、既に枠組みは出来ていた。
あとは出現するキャラを決めてステータスをこの世界に反映させるだけである。
その出現キャラも、なんとか今回候補を三名決めて来た。あとは神に選んで貰うだけである。
「そうねぇ、どうせだからさっさと登録しちゃおうか。なんのデータ持って来たの? へー。あ、でもこのキャラの特性だと微妙なことになるわね。ちょっと弄っちゃおう。あ、大丈夫。家族じゃなく家族認定した相手を守るようにしておくから、うん、そうそう。そんな心配そうな顔しなくてもいいわよ。ちゃーんとこのマロンさんに任せなさい」
イマイチ不安しか感じられない。
不安そうなアルセにまかせろっと胸を張るマロンがアルセの世界からのコラボキャラデータを打ち込んでいく。三名ともコラボキャラとして登録されてしまった。
出来るならばこの世界の神様に登録して貰いたかったのだが……
「あはは。ネタキャラばっかじゃんアルセー。あんたも分かってるわねぇ。キャラコラボっつったらネタキャラ入れとかないと、ねぇ」
「ネタキャラじゃないのに……」
「いや、ネタでしょどう見ても」
納得いかないアルセに呆れるマロン。
今回のコラボキャラは三体。いずれもネタとしか思えないキャラチョイスだ。アルセのチョイス力を疑ってしまいかねないネタチョイスであった。




