じいさんの実家へ
戦闘は簡単に終了してしまった。
サボは? うん、なんかまた消えちまったな。
とりあえず、サボ見た人~?
「はて、そういえば緑の奴どこいった?」
「ふむ。先程まで居たような気がしたのだが」
「サボさんなら、私の目の前で戦闘開始時に消えたけど?」
パルマが見てた。
あと魔王二人はサボなどという些事はどうでもいいらしい。
消えたことすら今気付いてやがる。
しかし、戦闘開始と同時に消えたのか。一応神様にバグ報告としてだしとこう。
別にサボ居なくても問題はないだろ。
2話目を押してしばし歩く。すると、雑木林から森林へと入り込み、徐々に坂に……というか、これもしかして山登ってない?
気のせいじゃなかった。
僕らはいつの間にか山道を歩いている。
2話目タップしてからだな。それまでは雑木林だったのに、深い森の中歩いてる感じだ。
しかもどんどん登って行ってる。
「あれ? おにいちゃん、なんか登ってない?」
「サシャも気付いたか。どうも山登ってるみたいなんだよな。山なんて目の前に無かった筈なのに」
「神様バグ?」
「多分仕様の方だろ。次話タップしたら場所が切り替わるようになってるんだろ、それも自然に」
「砂漠に出た後その話タップしたらどうなるんだろうね?」
「……サシャ、お前天才か!?」
―― 天才じゃないッ、いちいちアゲ足とらないでくれます? ――
神様が見ていた。
残念だけど確認に向かうことはできないようだ。
ところで次話はどうなって……あ、なんか出て来た。
蛇だ。蛇が4匹出現したぞ。
ナルタとナイチンゲルダは居た方が良いかな?
リーハ二人とサシャ二人を入れれば六人。
やはりオリジナル魔王様をNPC枠で戦闘参加させるしかないか。
ということで、やっぱり1ターンキルが連続する。
サシャも魔王様もレベルMAXだもんね。
戦闘はもはや作業ゲーだね。レベルMAXのキャラが仲間になってるのは流石にゲームバランスがダメなんじゃないか? まァ楽でいいけど。
お、戦闘終わったら少し離れた場所に小屋を発見。
たぶんあれがケンウッドの家だな。
皆に視線を向ける。
頷き返されたので代表して僕が扉を開く。
まずはノックを行い、しばし待つ。
「はい、どちら様……?」
年若い青年が顔を出した。
「あ、すいません旅の者です。山越えをしようと思ってるんですが、その途中に家を見付けたもので、どなたが住んでいらっしゃるのかと……」
「そうでしたか。あまり何も無い場所ですが、良ければ休んでいかれますか?」
「いいのですか?」
僕らは青年の御好意に甘えて家に上がり込む。
流石に人が多かったのでオリジナルキャラ以外をストック行きにさせて貰った。例外はリーハとサクヤだ。この二人だけはストックに入るのを拒絶したので仕方なく一緒に付いて来て貰っている。
「初めまして、私はセルジュといいます、あちらに父が寝ていますが、別に感染するような病状ではないのでご安心ください。ただの老衰です」
言われた場所に向かってみれば、ベッドで寝込んでいる見知ったお爺ちゃん。
ケンウッド、こんな所に居たのかい。
「おや、おばあさん、なんかようかの?」
いや、僕ばあさんじゃないからね?
「どうも痴呆も患ってるようで、亡くなったばあちゃんをお客さんに重ねたりするんだ」
「そ、そうなんだ……」
「昔はとても強い武闘家だったんだけどね。はぁ……せめて若返りの秘薬があればなぁ」
「若返りの秘薬?」
「ええ。僕がここに家を建てたのも、その秘薬がこの近くにあるって聞いたからなんだ」
「へー。ん?」
待てよ。それってつまり、その秘薬をてにいれればケンウッドがさらに使える存在になるんじゃないか?
「その秘薬。どこにあるの?」
「ここから垂直に山に登った場所に洞窟があるんですが、その最奥にあると聞いてます」
「ふーん」
「イベントかな?」
「神様に一応聞いてみる。向って大丈夫なのかも聞いとかないとイベント設置されて無かったり、進んじゃいけない場所だったりするかもだしね」
「ああ。それはありうるわね」
で、メールを送ってみたんだけど、どうやら特殊イベントの洞窟らしく、既にイベントは設置済みだから向って構わないそうだ。
イマイチ不安だけどキャラクター強化イベントがあるなら行っておいて損は無いよね。
そう言えばシークレットとかも特殊イベントあるんだろうか?
一回いろいろ戻ってみた方が良いかもしれないな。
まぁとりあえず今はケンウッドの特殊イベントクリアを目指そう。
青年に教わった通り、山道から垂直に山を登ることにした。
しばらく向かうと、確かに洞窟が一つ、2メートルほどだろうか、結構広そうだ。
よし、ケンウッド若返り計画開始だ。行くぞ皆ッ!




