街道に現れたヤツ
その日、さっさと宿に引き上げた僕はデイリーミッションを全てこなして早々就寝した。
デートしたかったのに皆来てできなかったし、デートスポット巡りはボーイズラバーな奴らのせいで景色を楽しむことなど不可能だった。
このまま砂漠の村に残っても嫌な思い出しかなさそうなので起きると同時に用意を整え村をあとにする。
村を出て4章1話をタップ。
イリスに案内されながらアニキのバギーで移動する。
流石に手狭になっているためオリジナルキャラ以外はストックに戻って貰った。
最後まで抵抗していたリーハもサクヤに首根っこ引っ掴まれて去っていった。
残ったのは、アニキと僕、そして後ろの席に座ったシークレット、パルマ、魔王陛下、最後に、僕の膝に座るサシャ二人。
なにがどうしてこうなった?
イリスとルーカは呆れた顔でパルマとシークレットの膝上に乗っている。
サシャさん、ちょ、動かないで。二人ともだよ。何でこんな危険人物が二人も野放しなんだ? おかしいだろっ。
奴隷だったなら命令でも出来たのに、二人とも奴隷の首輪引き千切ってるからね、大罪人が二人も野放し状態なの。僕いつ殺されるかひやひやもんですよ?
そんな状態なので安心できない僕はバギーに揺られて30分。
ようやく砂漠に終わりが見えた。
現れたのは、草原、ではなく雑木林だ。
一本の道が中央にあり、左右が雑木林という砂漠から緑あふれる場所への変遷が意味不明過ぎる場所だった。
一先ず砂漠から出たのでここでバギーから降りてストックから主要人物を出しておく。
砂漠終えるまでバギー。が、リーハがストックに向かう条件だったからな。ちゃんと出してやらないと僕がぶっ殺されかねない。
「ふぉぉ、嫌だ、ストックなんぞに魔王である我が入……あれ?」
ストック内では時が止まる。
つまり、入る前に駄々をこねてたリーハがそのままサクヤと共に出現した。
周囲の景色が違うことに気付いたリーハが言葉を止めて周囲を見る。
「おや、もう砂漠地帯を抜けたのですね御館様」
「なぬぅ!? ま、まさか、まさか我は、ストックに入れられたのか!?」
自室呆然のリーハに魔王様がニヤニヤしながら告げる。
「ふふ、コピーハよ、どうしたー? 砂漠をバギーで疾走していた時間、もしかしてストック内で止まっていたのか? 魔王ともあろうものが?」
「ぬぐぐぐぐぐ……」
うん、何が言いたいのかよくわからないけどリーハにはクリティカルヒットの悪口らしい。
コピーのケンウッドは出してもいいのかな? まぁいいか。とりあえず戦闘出来そうなメンバー全員出しとこう。
えーとナルタだろ、ナイチンゲルダも一体だしとくか、カルシェと、一応ギドゥも出しとくか。
危険な事があったら少しくらいは動くだろ。
あとは……
「おぅ嬢ちゃんども、遅かったな」
!?
そこにそいつは待っていた。
道の脇から勿体ぶったように現れたのは、緑色の生物。
テンガロンハットを被ったサボテン男は、銃口でハットのツバを持ち上げ、ふっとニヒルに微笑む。
「あんたはっ!」
「バウンティーハンターのサボだ。言ったろ、嬢ちゃんを護衛するってな」
サボの奴、二度も神様に消されたのに、復活しやがった。このオリジナルサボ、強ぇ。
「でも、私なんかを護衛しても……」
「はっ。わかってねぇな嬢ちゃん。あんたなんかじゃねぇ、あんただから護衛するんだ」
「……え?」
ちょっとサボさんや。サボテンの分際でウチのパルマを誘惑しないでくれます?
「ま、つー訳だ坊主。俺が強制的に仲間になってやる」
「あ、自分で強制って言っちゃうんだ」
てってれー。サボが仲間になった。サボからは逃げられない!
って感じだろうか?
なんかその内知らない間に消えてそうな気がしなくもないけどな。
サボを仲間に引き入れた僕らは雑木林に出来た道をゆっくりと歩く。
イリスによればもうすぐ戦闘に入るだろうということで、サボNPCにして闘えばいいらしい。
僕としてはここでサシャあたりをNPCにしたらサボ消えないかなってちょっと期待してる。
お、でたでた。えーっとワーウルフっていうのかな? それともコボルト?
そんな感じのが5体待っていた。
アレと闘えばいいらしい。
「ンじゃま、早速実力を見せてやるぜ嬢ちゃん」
「はぁ……」
だから、なんであんたはパルマに構うんだよ。
あまりにも露骨なサボテンにこいつはもう消えて貰った方がいいんじゃね? と思う僕。
当然NPCとしては魔王陛下を選択し、サシャ二人とサクヤ、そしてリーハを選ぶ。最後にアニキでいいかな? 他は見学で。
サシャとリーハが二人づついるけど、まぁ問題は無い。
どうせ高火力の魔王陛下による一撃が先制攻撃で敵倒すだろうし。
ほら、もう終わっちまったぜ。




