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ゆったりとした1日 ~デートにならない日~

 街中を歩き、せっかくなのでデートスポットに向かってみるかと適当なカップルにいい場所ないか聞いてみた。

 話によると、街中に二つ。郊外に一つデートスポットがあるようだ。

 流石にデートは出来ないけど皆でゆったりするにはいいだろう。

 そう思って僕は皆を引き連れデートスポット巡りをすることにした。


 まずは中央広場にある噴水。

 噴水前のベンチが各方向に8つ。そのうち6つにバカップルがいちゃついてます。

 ただし、キスしたり公共の場にそぐわないことは行われていない。

 せいぜい焼き串を回し食べしたり、相手の肩を抱いて顔突き合わせて笑い合ってるくらいである。


 正直爆死しろと叫びたくなったが、隣にいるシークレットを見ることで怒りを鎮める。

 そうだった。今は僕にも彼女が居るのだ。リア充たちが爆死したら自分も爆死してしまうじゃないか。危ない危ない。さぁ、シークレット、あそこの空いたベンチに座らないかい?


 シークレットを誘おうとした僕だったが、直ぐにベンチは埋まってしまった。

 お爺さんとお婆さんのバカップルがいちゃつきながら座ってしまったのだ。

 もう一つ開いていた場所には厳つい全身毛むくじゃらの髭もじゃおじさんと若く逞しいお兄さんが頬を染めて座っている。

 ベンチが全て埋まってしまった。


 お爺さんの肩に頭を乗せて頬を染める皺苦茶のお婆さん。なんだろうね、この日本家屋の縁側でお茶嗜んでそうな昔風のお婆さん。めっちゃらぶらぶでやんの。

 その近くでは髭もじゃのおっさんに腕枕されて濡れた瞳を向けてる逞しいお兄さん。

 あかん、ここは未知の領域になってしまったようだ。


「ダリアス……抱きしめてくれないか」


「こんな場所でいけない子猫だオルトヴァイン」


 僕らは見なかったことにしてデートスポットを後にした。

 僕らの背後で抱き合う二人がなんかこうギャランドゥって感じになってたらしいけど、ルーカ以外に振り向いた好きモノはいなかった。


 次のデートスポットはサボテン並木の変わった道だった。

 今まではこの奥まった場所まで来た事が無かったので新鮮だ。

 無駄に背が高いサボテンの群れは、普通の桜並木のようで、影が出来ている場所が涼める場所になっているようで、デート以外でも人を見かける。


「ふむ、サボテンロードとでも言うべきか。これは面白いな」


「そう言えば魔王様はなんでまた魔王やってんの?」


「うむ? 魔王だからだろう? 他に何がある?」


 ごもっともだ。魔王という役割を神様に与えられたからだよね。


「それよりもダイスケ」


「うん、何?」


「なぜ我を魔王と呼ぶ? 前のように呼んでよいのだぞ?」


「あ、もしかしてリーハ? でも、それだとコピーのリーハと被るから……」


「いや、よい。あんなものコピーハとでも呼んでやれ。我を呼ぶ時はリーハだ。それ以外許さん!」


 許さんって、まぁ本人がそう呼んでほしいってことらしいし、リーハと呼ぶことにするか。


「わかったよリーハ」


「ちょぉッと待て主様! 我がリーハだ。そんなオリジナルなどオリーハで充分だろう!」


「黙れコピーハ。我こそが本物だ。コピーは黙って受け入れておればよい」


「黙れオリーハ。リーハは主様が我に付けてくれた名だぞ。頭が高い!」


 そしてリーハとリーハががっしと両手を合わせてうがーと咆え出した。

 魔王VS魔王のキャットファイトが始まった。

 なんだろう、危険な筈なのに微笑ましいのは。ほら見てイリス。二人とも互いの口を引っ張ってむにーってやってるよ。


「ここはよいのぅ婆さんや」


「素敵ですねぇお爺さん」


 なぜかお爺さんとお婆さんのバカップルが噴水広場からこっちにやって来ていた。


「オルトヴァイン、ここは人に見えない位置に木蔭がある。や・ら・な・い・か」


「ダメだよダリアス、人が見てるから……」


 そしてなぜかおっさんと青年のカップルもここにやって来ていた。

 なんかこれから恐ろしい腐の連鎖が始まりそうだったのでそそくさと僕らはサボテンロードを後にした。

 何であいつら僕の後ろから同じ場所にやってくるんだよ。ふざけんなマジで。


 郊外のデートスポットにやってきた。

 砂漠が一望できるオアシスだ。

 ここではラクダに乗せてくれるサービスがあるらしく、お爺さんとお婆さんのバカップルがひっつきながら乗ってラブラブしていらっしゃった。


「だ、ダリアス、くっつき過ぎ……」


「付き合ってるんだ、問題はないだろうオルトヴァイン」


「ダメだよ、あ、当ってるから……」


 だから、なんでテメーら僕の行く所行く所に現れるんだよ!?

 ざっけんなチクショウ。あいつらぶっ殺してやる。

 ゲイバー店員ミキちゃんをストックから呼び出し指示を与える。ヤッちまいな!


 男達のカップルへと突撃していくミキちゃん。恐ろしい修羅場が発生しそうだったので、僕らは即座にデートスポットから撤退した。

 この村はダメだ。もう、色々ダメだ。さっさとケンウッドオリジナルに会いに行こう。

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