ゆったりとした1日 ~周辺にバグを添えて~
神様はこれからバグ取り作業のため修羅に入るらしい。
お爺ちゃんの家まで向かうのは良いんだけど、着いた後はそこから移動できない。つまり、暇になる訳だ。
それだったらまだ1日くらいここでゆったりしてもいい気がする。
「そうだ。デートに行こう」
シークレットを誘ってみた。
暇だから一緒に行くわ。
ルーカが同行者に加わった!
「なんでさ!?」
「だって面白そうだったから」
「「じゃあ私も一緒に行くー」」
「ふむ、折角だ同行しよう」
……っ!?
思わず僕は仲間たちを二度見した。
サシャ二人が同行を申し出たのは、まぁどうでもいい。
問題は……魔王様も二人いたことだ。
コピー体であるリーハはサクヤと喧嘩中。
では同行を申し出て来たのは?
当然、前回の闘いでフォローしに来てそのまましれっと同行して来たラスボスの魔王様でございます。
「帰って無かったの!?」
「ん? 何か問題が?」
「いや、ないけども」
まさか助っ人として現れた魔王がまだいるとは思わなかった。
「魔王城に居ても暇なのだ。基本出番まで何もすることないし」
まぁ、ソシャゲ世界だしね。
しかしデートって感じじゃなくなったな。
仕方無い、皆でバグ探しでもしに行くか。
結局デートはまたの機会ということとなり、僕らは砂漠の村を本日も見回りすることになった。
なんか凄いぞろぞろと大人数で歩くことになっている。
ストックに居たナルタとかも出しちゃってるからね。
どうせなら皆で行こう、ということでとりあえず適当にチョイスして外にだしたんだ。
村人Aとかナイチンゲルダとかリーシャとか、いちおうシオも出現させてます。
あと、ネタ枠として昭和世代ハッサンも出現させてみた。
昭和に外国にやってきたナニワ系日本人にしか見えないハッサンは、適当な場所向けてカシャカシャとカメラのフラッシュを焚いている。
あれ、何枚撮れるんだろう。気のせいか既に300枚くらいシャッター押してないか?
まさにカメラ小僧。気になることが少しでもあれば近づいてシャッターをあらゆる角度から押しまくる。
なんか普通にウザったい。でも面白い奴だからこのまま自由に行動させておこう。
さって、とりあえずはやはりあそこがどうなったか見に行こう。
いつものように露店に向かった僕は、女の子の店員の元へと向かう。
本日も女の子の露店にはおじさんがいらっしゃった。
うーんと難しい顔をして本日も悩んでいる。
何を買うか迷っているようだ。
……全裸で。
うん。何を言ってるんだって思うよね? 僕もそう思う。
全員目を点にして見つめてしまった。
こらハッサン、あんなのもん取るんじゃない。しかも前後左右からアングル重視で全裸おっさん撮るんじゃないっ。
何やら真剣に見つめるおっさん。
目当ての品は、女性用パンツ。
しかも女の子の古着なのかクマさんパンツだ。
「お嬢さん、これはいくらだい?」
「ひ、非売品です」
ひくつきながら少女は答えた。
しかしおっさんはパンツを手に取り頭に装着する。
「うむ。500000000出そう」
「いりません被らないでください、というか死んで?」
「ではここに置いて行く」
と、お金を勝手に支払ったおっさんが去っていく。
尻をきゅっと引き締め紳士のように。
「へ、兵士さ――――んッ!! あのおじさん変なんです――――ッ!!」
少女の嘆きが兵士を呼んだ。
変態紳士に向けて殺到する兵士達。
しかし、変態紳士は捕まる瞬間テレポートで逃げ去った。
「マーキング完了だ。絶対に逃すなッ!」
「ええい殺しても構わん、ひっ捕らえよッ!!」
「いたいけな少女を泣かせるとはなんてうらやま……けしからん奴。成敗してくれるっ」
兵士達が犯罪者を捕まえるため順次テレポーテーションして行った。
うん、まぁ、なんだ……がんばれ。
いろいろ突っ込み所が満載過ぎてツッコミ入れるのがめんどくなった。
とりあえず好きにやってくれ。と見なかったことにする。
あのおっさんはなぜ全裸になっていたのか、なぜパンツを被ったのか、なぜ凛々しく去っていったのか。意味が分からないことが多過ぎる。
「やぁ、お嬢さん、ご機嫌いかがかな?」
「あ、おじさんっ!!」
前回糞塗れの絵画を快く買って行った紳士のおじさんだ。
女の子の好感度も鰻昇りで、やってきたのに気付いた瞬間露店から飛び出し抱きつく少女。
なんか、恋する乙女の瞳をしています。
「あー。お幸せに?」
僕らはそんな言葉だけを残してその場を後にしたのだった。
その後、大通りに出た辺りで全裸のおっさんを取り囲む兵士達を見かけた。
おっさんはなぜかあくどい紳士のように振る舞い、「おやおや皆さん、今日はお揃いで。何の御用ですかな?」とか不敵に微笑んでいらっしゃった。当然、豚箱行きでした。




