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スキルもりもり神様渾身ボスのバグ

「っし、んじゃましっかりやらせて貰うぜ」


 アニキが気合いを入れる。

 今回は物理特化パーティーだ。

 魔法が効かないということなので魔王様とサシャ二人はともかくナルタ、ケンウッド、アニキという物理っぽいのをパーティーにしてみた。

 ケンウッドお爺ちゃんは安定の回避役。ナルタがその隣で物理攻撃を披露し、アニキは遊撃、後方にサシャ二人と魔王様が控える。


「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺スターダストディザスター!!」


 開幕魔王様必殺。安定の一撃だが、残念。

 魔王の必殺は魔法スキルに分類されるようで、敵の魔獣はどこ吹く風と火炎弾降り注ぐ中欠伸をかましている。

 敵の名前はアブソープウルフ。まんま吸収狼というらしい。


「行キマス」


 ナルタがロケットパンチ。アニキがバギーに乗って爆走、お爺ちゃんの節々が痛い。

 サシャ二人は必殺使わず物理攻撃を行った。

 しかし、敵のHPバー、減りが少ない。


 しかも、敵のターンになった瞬間、アブソープウルフが咆える。なぜかHPが回復した。

 さっき喰らわしたダメージが半分回復してしまう。

 今のはスキルか?


「チッ面倒臭い」


 魔王様が舌打ちして破絶之爪撃。四連攻撃で一気にHPを削る。でもそれでもHPバーは8分の3削れたくらいだ。

 次に動いたのはサシャ1号。アニキの元へ向うと裾を引っ張る。

 なんだ? と振り向いたアニキに、潤んだ瞳で告げた。


「お兄ちゃんサシャを助けて?」


「っ!? まかせときな!」


 なんとサシャが媚びてアニキの力がアップした。

 その横で走りだしたサシャ2号が敵に斬り込む。


「血浴令嬢!」


 魔王様同様四連攻撃のようだ。

 なんかデフテッドみたいな英語が一度出現。何だあれ?


「えーっと、多分だけどステータス異常攻撃だったんじゃないかな? 相手に無効化されると出る文字よ」


 珍しくルーカが解説してくれた。

 まぁ、なんでもいいや。英語読めないし、なんかステ異常が無効化されたんだとわかればいいや。

 お爺ちゃんが腰を痛め、アニキの秘奥・白蓮爆砕撃がまた英語を一回出して連撃を叩き込んだ。多分だけど即死が発動したんだと思う。残念ながら魔獣君には効かなかったようだが。

 ナルタは残ってるスキルが自己治癒と自爆しかないので物理攻撃に移行した。


 そして、アブソープウルフの攻撃が始まるのだが、彼は再び遠吠えをしてHPを回復した後、こちらを忌々しげに睨みつけるだけだ。

 ……なんだろう、なんというか、バグの気配がします。

 ずっと探しまくってたせいかなんとなく理解でき始めたぞ。

 GMコールを行うことにする。神様今話しできる? と送ってみる。


 ―― ダイスケ君か。何か用かい? ――


 おお、復活しとる。

 今第3章10話なんだけどさー。

 ボス居るじゃん?


 ―― ああ、アブソープウルフかい。強いだろう。ボスとして苦戦出来るように状態異常無効に魔法吸収、さらに毎ターン遠吠えによる自己回復まで付けたんだ! ―― 


 うん、なるほど。あの遠吠えはスキルじゃなくターン開始直後に使う常時スキルだった訳な。

 となると、やっぱりバグっぽいなぁ。

 何がって? だって、アイツ全然攻撃してこないじゃん。


 既に6ターン経過。敵がダメージの半分を回復するせいでなかなかダメージを蓄積させづらいんだけど、相手が攻撃してこないので回復に気を使うことなく普通に闘える。

 正直な話作業ゲーになってしまってるけどね。


 という訳で神様、こいつ、攻撃しないんだけど?

 トドメの一撃をどっちかのサシャが攻撃し、断末魔の遠吠えを上げたアブソープウルフが倒れて消えた。

 僕が神様にメール送った時には既にウルフさん散っちまってたよ。


 ―― え? え? 攻撃、しない? 嘘だろ!? ちょ、待っああああああああああああああああああああああああああ!!? ――


 メールなのに慟哭が伝わるとか草。

 どうやら頭抱えて絶叫したようだ。

 きっと向こうでは仰け反って頭抱えながら悶え狂ってびっくんびっくんしている神様が居るのだろう。


 満を持してこの闘いに相応しいボスを用意したのに攻撃することを組み忘れた運営さん、結果攻撃せずにただただ受身のボスが出現してしまったのであった。

 まぁ、負けることなく楽に倒せたからいいんだけどさ。


 戦闘が終わるとその場にはマルサが居なくなっていた。

 どうやら今の騒動の中で逃げてしまったようだ。

 他のアサシン共も居なくなってるし、これはどうしたらいいんだろう。


「あの、すいません、私のせいで」


 すまなそうに告げるパルマ。

 その後サシャとパルマの話し合いが始まり、サシャがお姉さん風吹かすようにパルマを嗜めると、なんやかんやでパルマの故郷である皇国へ向うことが決まってしまった。

 僕の意思無視ですね。まぁ分かってたけど。

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