って、なんであんたと闘うの!?
「ダイスケ、戦闘メンバーを選んで。NPCで選択出来るのはシークレット、パルマ、サシャよ」
「了解!」
とりあえずギドゥを取りやめ、マルサは火属性っぽいのでサクヤを投入。
ナルタ、ケンウッド、アニキ、サクヤ、カルシェ、サシャというメンバーで突撃する。
敵はマルサ、そしてアサシン5体。WAVEは1しかないようだ。
というか、この面子だと相手が攻撃する余裕ってないんじゃね?
ちょっと過剰戦力だったような……
ほら、サシャの一撃で全滅じゃんか!
一瞬で戦闘が終わってしまった。やはりレベル80とか強過ぎでしょ。
まだ3章なのでMaxレベルが出てるのがおかしいと思う。
戦闘が終わると自動復活するマルサ。
それでもバトルによる無数の傷で頭から血を流している。
……おかしいな、頭は狙われて無かった気がするんだけど?
サシャがトドメを刺そうと近づいて行く。
これで終わりかな。そう思った僕の横を誰かが走りぬけた。
皇女パルマはサシャを追い抜きマルサの前にやってくると、彼女に背を向けサシャに向かい手を広げる。
まるで、止まれ、彼女は殺させない。そう告げるようだった。
サシャも怪訝な顔で足を止める。
「何のつもり皇女様?」
「止めなくていいのサシャさん……だって、マルサは私を殺すのでしょ?」
「そ、そうよ? だから私を庇う意味はないんだけどぉ……?」
「いいえ。むしろ、私を殺してくれるのならば、この絶望しかない世界から救ってくださるのなら、私を殺して欲しいのです」
ちょ、パルマさんっ!? ってかこのシナリオ作るとかやっぱり神様闇が深いよ。クソッ、このままだとパルマ死ぬんじゃないのか?
「何ソレ? 意味分かんない。帝国スパイに自分殺して下さいって、意味分かってんの?」
「はい。私には絶望しかなかった。このまま絶望の中を彷徨うよりは、死んで楽になりたいのです。さぁ、マルサ、私を殺し逃げてくださいませ」
まさかの殺害対象から了承されたマルサ、一瞬呆気にとられた彼女は、くふっと思わず笑みを漏らす。
「あっははははははは、馬鹿なの? ねぇ馬鹿なのあなた! 自分から殺して下さいって普通言う? いいわ、あんた殺して予定通り皇国が怒り狂ってココを攻め落とすよう仕向けてあげるッ」
マルサが嗤いながら短刀を煌めかす。
ああ、やっと楽になれる。パルマが救いを求めるようにナイフを見つめ……その首根っこが引っ掴まえられ真後ろにぶん投げられた。
驚くマルサの腕を飛び上がりながら蹴り上げ、サシャの拳が顔面に突き刺さる。
「ぐぶっ!?」
ふんっと吹き飛ぶマルサを見送り、サシャが地面に着地する。
ギロリ、後ろに投げ飛ばされたパルマを睨む。
「そぅ、そんなに死にたいなら私が殺してあげる。絶望しながら死ねるように生かしたまま全身の皮膚を割いて血を一滴残らず吐き出させて、寒い寒いと言いながら絶望して死ねっ!!」
ちょ、コレヤバくね?
って、あれ? 皆の動きが止まった?
……まさか、僕は思わずイリスを見る。イリスも気付いたようで諦めたようにゆっくりと首を横に振った。
「第9話。どうやらサシャと闘うみたいね」
「うそーん。仲間じゃないの? ちょっとヤバくね?」
敵の攻撃力は強力、レベルはMax。僕らの中で最高レベルは? おそらくシークレットの50レベル。これ、勝てるのか?
いや、やるだけやってみるしか……
「いや、無理でしょこれ。何とかならない?」
「そういわれましてもデイリーミッション周回するのが一番でしょうか?」
「待って、あるよ、助っ人呼べばいいのよ!」
ぽんっと手を打ったのはルーカ。
そうか、僕らにはアイツがフレンドに居たんだった。
早速フレンド選択を行い連絡を行う。
すると、魔法陣が煌めき、そいつは仁王立ちで現れた。
「フ、ハハハハハーッ!! 我が助成が必要か、良かろう。ならば戦争だ!」
いや、意味分からないよリーハさん。
魔法陣から現れたのはフレンド登録していた魔王陛下である。
レベルはこちらもMax。
やる気満々で現れた魔王様は何故か僕の近くに居たリーハの元へ向う。
「どうだコピーリーハよ、ダイスケとの旅は」
「ふっ。なかなか良いぞ? それがどうしたオリジナル」
「せいぜい誘惑しておけ、その内我が貰ってやる」
「誰がやるか。貴様を殺して我がオリジナルとなってやろう」
「「ククク、ハーッハッハッハ!!」」
火花をばちばち散らしながら嗤い合うリーハ二人。
なんか、魔法陣から出て来たリーハさんオリジナルっぽいんだけど、どうなってんの? 二回目のフォローで呼ばれるのってコピー体じゃなかった?
僕の疑問に答えられるものは、この場に一人として居なかった。




