見つけろ砂漠の村のバグ探し7
なんだろうね、この体内に爆弾抱えたような気分は?
宿屋にやってきた僕らは一先ず部屋を一つ借り受ける。
これでいつでもここで寝れる訳だ。というか、部屋借りようと思ったら既に部屋は取ってあった。前回取った場所がそのまま僕らの部屋に割り当てられたよ。なんでこっちの部屋にメンテ後戻れなかったのか。神潰す。
正直疲れ過ぎて眠りたい気分ではあるけどついさっき眠りまくったからなぁ。
とりあえず皆を自由行動で部屋に残し、僕はイリスと共にバグ探しに向かうことにした。
すると、折角だし私も一緒にいいかしら? とマルサ、じゃあ私も行くー、とサシャが立候補。
ヤバそうな奴隷二人が一緒に回ることになった。
シークレットたちに皇女の護衛をお願いし、僕らは街中のバグ探しに向かうことにした。
流石にバグ探すだけだし奴隷に下剋上されることは無いだろう。たぶん。
まず調べるのは最初に来た時掴まってた路上トイレおじさん。
商店にやってくると、店番の女の子が可愛らしい声でいらっしゃーい。と告げて来る。
おじさんは既に露店におり、ふーむと唸っていた。
「お嬢さん、今日はこれを買おう」
「はーい。金貨900ですー」
微妙に高いティーカップを買うおじさん。
いつものように買い物を終えて家へと向かう。
そして再びモブのおっさんにぶつかりしばし。移動を阻害され壁に向かって直進。
が、壁通り抜けバグが直されているためそこで進行不能となっていた。
僕らの目の前で必死に壁に向かって歩き続けるおっさん。ある意味自分の信念を曲げない男の姿がそこにあった。
曲がり道を曲がるためだろう。壁に向かうのを止めたおっさんはこちらに戻ってくる。
そろそろ家に付く移動距離を歩いた彼は、なんと露店の女の子の元へと歩いて行く。
「え? あれ? おじさん? どうしたの?」
驚き慌てる女の子。
それを無視して露店商品の中央に無遠慮に踏み入ったおじさんは、そこでズボンを降ろし始めた。
あ、これ、さらにバグが酷くなったパターンだ。
「き、きゃあああああああああああああああああああああ――――っ!?」
そしておじさんは、衛兵さんたちに連れて行かれた……
「うえぇ。ひぐ。ふえぇぇぇ――――っ」
商品を穢され泣きじゃくる女の子。あまりにも不憫過ぎる結末に、僕らは何も言えなかった。
誰か、あの商品何とかしてやれよ。
そこへやってくる紳士風のおじさん。顔が物凄く青いんだが、大丈夫か?
いや、正気か?
汚物塗れの絵画をくれとか言いだしたぞ?
本人も嫌そうだが、プログラムされた行動なので強制的に買うそうだ。
女の子はあまりにも悲惨な絵を買ってくれる紳士に感動し格安で売っていた。
むしろ紳士さんとしては非売品にして貰った方が良かった気はします。
あんた、マジ足長おじさんやで。
人情味あふれる? 一連のイベントを見終え、女の子も泣きやんだので、僕らは次のバグを探しに向かう。
とりあえず、あのおっさんはもう牢屋から出て来ないでほしいと思う。
いや、でも、アレも神の被害者になるのか?
「お兄さん、そこのお兄さん」
ん? なんか女の子の声がする?
きょろきょろと周囲を見回すが誰も居ない。イリスたちに聞いてみたが何処に居るかはわからないようだ。
こっちこっち。と誘って来るので声のする方に向かってみる。
丁度路地裏になっていた場所に向かうと、壁に身体の後ろ半分が埋まった状態の少女が立っていた。
「か、壁に埋まっとる!?」
「数時間前にここ通ってたら急に通れなくなったの。なんとかできませんか?」
僕に言われてもと言いたいところだが、これはさすがに可哀想だ。
速攻GMコールして女の子と、あとおっさんバグ関連のテコ入れを要請する。
あれだけバグ取りしてまだこんなバグがあるとか、ほんと大丈夫か神様?
今回はメンテナンスをする必要もなかったらしく、女の子の姿が一瞬で消え去り、路地裏に出現する。
どうやらキャラ配置の場所を変えたようだ。
突然別の場所に移動した彼女は一瞬驚き、自由になった自分に気付いて大声上げて喜んだ。
あまりの歓喜で飛び跳ねながら僕に抱きついてありがとうっとお礼を行って来る。
フレンド申請も来たのでせっかくだから了承しておく。
☆1砂漠の村の少女ムールだそうだ。一般少女だね。フレンドになっただけの関係になりそうだ。
市場に戻ってみると、再びおっさんが露店を見ていた。あんた捕まったんじゃ……?
店主の女の子が親の仇を見るような目でおっさんを見ている。
お嬢さんこれをくれるかな? そちらは金貨8000000000000です。
怒りの彼女は商品の値段を思いっきり吹っ掛けた。
おじさんは金貨を支払った。……嘘だろオイ!?
ただの歯ブラシに金貨8000000000000を支払ったおっさんは踵を返して歩きだす。
通行人にぶつかりまた動きが阻害され、壁に向かって歩き出す。
結局治ってないじゃん。そう思った次の瞬間、おじさんの姿が一瞬で消え去った。
面倒臭がった神様は、おじさんをテレポーテーションで家に帰れる超人にしてしまったのだった。




