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砂漠の夜は寒いんだよ

 暑い、死ぬ。そう思っていた。

 直ぐに皆が戻ってくるんじゃないかなって思っていた。

 結局夜になっても戻って来なかった。


 寒いです。

 砂漠の夜は寒いとです。

 ガタガタ震えながら僕はその場でひたすら待っていた。

 多分寝たら死ぬ。


 時折砂団子を押してるスカラベとか、片手片足を上げてたまに手足を入れ替える蜥蜴が日光浴していたりした砂漠は、夜になると急激に気温が下がった。

 あまりの急低下に身体が付いて行かずなんかもう眠くなってきたよ。

 そろそろ、お迎えが来そうな気がする。


 震えながら意識を手放す、そう思った瞬間だった。

 目の前から砂煙を立ち昇らせる一台のバギーが見えた。

 あは、お迎えはバギーに乗った世紀末系アニキと魔王様か。まさに地獄への片道切符じゃないか。草生える。


「お、いたぞ!」


「全く、なんでこんななにもねぇ砂漠に居やがるんだ。街中探して無駄骨折っちまったじゃねぇか」


 ああ、一応探してくれてたのか。

 でも見当違いの所を必死に探したせいでこの時間になったと。

 イリスがもしかしたら、と思い浮かばなかったらまだ街を探していたらしい。

 やっぱりイリスが今の所一番頼りになるのかもしれない。


 魔王様に回収されて自動運輸される僕。

 動けないので魔王様の抱き枕にされてます。

 なんだこれ、天国か?


「で、なぜあんな場所にずっといたんだ? 寒かったであろうに」


「行動力切れて移動出来なくなったらしい。神コロス……神コロス……」


「あー、仕様じゃしゃーねぇな」


「ルーカの奴がどうせうろちょろしてるから放置しとけばいいとか言っていたが、迎えに来て正解だったな。あのままだったら死んでいたぞ?」


 ホントにな。ルーカあとで殴る。そして神は殺す。もはやこれは確定事項だ。

 こんな仕様絶対に許さん。

 必要な時に移動すら出来なくなるとかマジふざけんな。

 しかもその説明すらないってどういうことだよ。


 砂漠で一人きりとかすっごく不安で死の危険しかないんだぞ!?

 暑過ぎて眠れないし、夜は寒過ぎて寝たら死ぬし。

 神ぃいいおぼえておけよぉぉぉ。


 凍えながら恨み事を吐く。

 絶対に許さないと心に誓い、神に対する報復をどうするべきか考える僕だった。

 マジでどうしてくれような?


 街へとやってくる。

 砂漠の街だからか土で作られた四角い建物が多い。

 屋根は無く窓も無い。まぁ日中暑いから四六時中開け放たれていた方がいいのか。蒸し風呂になりそうだしね。


 宿屋は少し大きめの家といった感じで、安全性はほぼ皆無。だって窓枠造られた場所から誰でも入り放題だし。何でこんな状態にしたんだ神様。この国安全性が全く無いよ?

 まぁ、イベント造り易くはありそうだけど。


 近くには湖があり、ここを生活用水にしているようだ。

 ところでこの湖、一体どこに水源あるのかな?

 見た感じ水の流れが感じられないんだけど。完全な湧水?

 これが……神秘か。絶対適当に創っただろ神様。

 おし、決めた。神への対抗策はネチネチ作戦だ!


 そうと決まれば、僕はアニキとリーハを連れ立ちこの街を探索する。目を皿のようにしてしっかりと記憶に留め、メモしていく。

 ちなみに自分では歩けないのでアニキにおぶって貰いました。

 ほんと、面倒見いいよなアニキは。


 そして宿に辿り付き、イリスたちと再会。

 ルーカが涎垂らして眠っていやがったのでゴミ箱に放り込んでおく。

 さぁ、寝るかぁ。


 全て移動をアニキに任せ、寝る時もアニキにお姫様だっこされながらベッドに入れられた僕はアニキにありがとうごぜぇますと感謝を告げて眠りに……あぶねぇ!? またアニキ崇拝洗脳されかけてたぜ。

 ふぅ、とりあえずアニキではなく隣のベッドで眠るシークレットの寝顔を見ながら寝よう。


 ……

 …………

 ……………………


 ふぁー。おはようございます。

 起きたら丁度皆も起きたようだ。

 動き出した皆が各々好きな行動を始める。


「イリス、おはよう」


「はい、おはようございます」


「昨日は気付いてくれてありがとな」


「サポーターですから。しかし、やはりバグ関連でしたか」


 行動力不足だとは思わなかったようだ。まぁ、多少間違えてても結果は一緒だからいいか。

 さぁて、とりあえず街中探索だな。にしても蒸し暑い。

 砂漠の真ん中にある街だからだろう。凄く暑い。


「ところで、ボタンタップしたのは良いけど、次の話の戦闘って何処?」


「え? あー。えっとですね、この町ではなく少し手前ですね。確か馬車が襲われそうになっている場所がありました。私達が辿りつくまでは襲われはしないと思うのでゆっくり向かえばいいかと」


「つまり、僕は適当に過ごして大丈夫なんだな。よーし、粗探しするぞー」


「面白そうだからついて行くわ」


 今回はイリスと二人で街中探索することになったのだった。

 ……はて? なんか忘れているような? と、鼻をかんだティッシュを丸めてゴミ箱にぽい。

 うぎゃっと声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

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