ついに出現コラボガチャ
日本家屋の一室。気のせいかと思ったけどふと思い立って障子を開くと、目の前に広がる日本庭園。メンテナンスの時間潰しにこれは丁度良い。
人数分のお茶も用意されてるし、急須にポットも常備され、お茶受けまであるので一、二時間程なら充分にここで過ごせるだろう。
僕はシークレットと二人縁側に座って庭園を眺める。
砂利が綺麗に並べられ、枯山水っていうんだっけ? 庭園はよくわからないからこの庭がその有名なのかどうかはわからないけど。
あと時折ししおどしが鳴り響くのが何とも風流だ。
二人揃ってお茶を飲んでゆっくりする。
空を見れば青海で、雲一つない青空が広がっていた。
「ふはー、なんか、いいですねここ」
「ここに来るまでが大変だったけどね。確かにいい感じの場所になったなぁ」
あー、なんだろうこの幸福感。最高じゃね?
「な、なんだか御屋形様が老成し始めているような……」
「うむぅ、なんだろうな、メンテナンスの度に主様が壊れて行く気がするぞ?」
それからしばらく、シークレットに膝枕して貰いながら耳掃除して貰っていると、メンテナンスの延長が終わりを告げた。
非常にまったりとした素敵な時間でありました。
ただ、まぁ一言言えることがあるとすれば、だ。
メンテ終わった瞬間砂漠に戻すの止めてくれます!?
突然日本家屋が消えたせいで縁側に座っていたシークレットが砂漠にお尻から突っ込み、はずみで太ももに乗ってた僕の身体が浮き上がり、シークレットの手に持たれていた耳かき棒がずぼっと鼓膜突き破りそうになったんですけどっ!!
今のギリギリだったぞぎりっぎり。断固抗議だ!
「あ、お知らせ来たわよダイスケ」
「サンキュールーカ」
お知らせを見てみる。
今回のメンテナンスで直されたバグとイベントの説明があった。
メンテナンスで治ったのは、つい数時間前にメールした突然次の話に合わせて地形が変わるバグが治り、地形は事前に変えておき、新規に作る場合は周囲の人物が巻き込まれないようにしたそうだ。
それから国王たちが生還したバグ? についてもつじつま合わせて二ルート作ることで問題
なくなったらしい。多分そのせいでまた新しいバグ生まれてるとは思うけど僕は知りません。
僕にとって問題がないならそれでいいのだ。
さてさて、それよりも気になるのはコラボガチャという怪しい言葉。
この世界はソシャゲ世界だからソシャゲとして他のゲームとのコラボは分かるんだけど、世界規模で他のとコラボって言ったら……おお、やっぱり。
異世界に住む住民のコピー体コラボだ。
今回コラボで手に入るのは二体。専用ガチャで二つに分かれているようだ。☆5は必ずその人物が出るらしい。
いずれも☆5で一人は神殺しの怪人F・T。なんか冴えない青年にしか見えない。……うん、もう一人狙いでいいかな。ガチャ石余ったらやる程度でいいだろ。
もう一人は? ☆5廚二病吸血鬼真祖、ヌェルティス。なにこの西洋人形みたいな綺麗な顔立ち、華奢な体躯。廚二病? っつかもうそれは一つの御褒美だろう。
可愛い、綺麗。彼女にした……はっ!? 一瞬ぞくりと背筋がこわばった。視線を後ろに向ければ、目元が見えないシークレットがこちらをじぃーっと見つめている。
あれ、これ、アウト?
待ってシークレット、思っただけ、まだ思っただけだから、浮気じゃないからっ。ソシャゲのコンプリート魂だからっ。
「ま、まぁ、アレだ。ソシャゲだからな。限定キャラは是非欲しいよなー」
「ダイスケ、なんで棒読みなの?」
黙ってろルーカ。シークレットが怖いだろっ。
さ、さぁて折角だからヌェルティスさん狙いでやろうかなっと。
10連、いっけぇぇぇ!!
「なんか。気合入ってる?」
「むぅ……」
「くっくっく。主様も所詮は男か」
うるさいぞ外野。さーって、何が出るかな、何が出るかな。
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Dだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「さては南京たますだ……あら? 召喚されてました?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「闘いだけならアホでもできる。あっぽーぅ!」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Eだぁ」
「む、召喚か。私は王国守備隊に所属しているシオという。よろしく頼む」
「ヒィヤッハー!!」
爆死したようだ。
まぁ、流石に10連で☆5が毎回でる訳ないもんな。新キャラは出たから良しとするか。
えーっと、新人は三人。シオさんは村人共とストック行きだな。
まだあと10連出来るからメンバー確認より先に使ってみるか。




