ボス戦は開始2ターンで
王女シークレットが光に包まれる。
変身シーンはやはり全裸になるようだ。
光の中とはいえ、貴重な変身シーンを思わず凝視する。
目が、目が痛いです王女様ッ。
「この変態っ」
「馬鹿野郎、魔法少女の貴重な変身シーンが生で見られるんだぞ。心のシャッター押すしかないだろっ、激写案件だろっ」
「救いようのない馬鹿ね。変態お兄ちゃんさっさと戦闘メンバー決めたら?」
リーシャちゃんが冷たい。
ジト目で毒を吐く幼い少女に見つめられ、僕のプライドと言う名の細い棒がボキッと折れた。
違うんだ。リーシャちゃん。そんな目で見つめないで。僕はただ魔法少女という希少な憧れの対象を観察しているだけなんだよ。やましい気持ちは……ちょっとだけなんだよ?
とりあえず、当初決めていた戦闘パーティーを選択。
変身したシークレット・メイデンの護衛用に二人を追加し、他の三人は奴で固める。
おっと、とりあえず奴のステータスを確認だ。使えればいいんだが。
華奢トロールオデーブ Lv10
必殺:
おで、がんばる
自身に超回復、くいしばり、鉄壁、急速再生付加。
スキル:
超回復
自身にHP継続回復を付加。3ターン持続。
かばう
味方一人のダメージを肩代わりする。
急速再生
2ターンの間自身に死亡無効状態を付加。
パッシブ:
華奢
ダメージを受けると身体のどこかが粉砕される。
土属性
水属性に強く風属性に弱い。
急速回復
ターン終了後にHPを回復。
「予想通りだ。お前に決めた!」
なんとなくトロールって所からタンクとして使えるかもしれないと思ってたんだ。これなら今回の闘いは使える。
「オデーブ、それとアニキ、今回はシークレットの護衛をお願いします」
「お、おで、でばん、か?」
「はっ。まぁいいか。やってやんぜクソガキ」
さぁて、勝負と行こうかローパー君。
「「「ひゃははははは、俺と出会うとはついてねぇなぁ!」」」
安定のレゴウくん三人組みであります。
前衛にレゴウ三体。後衛は真ん中に魔法処女シークレット・メイデン、その左右にオデーブとアニキ。
「レゴウ、死毒の刃!」
「「「ひゃはっ」」」
今回は全員が言うことを聞いて即死毒を付加する。
さぁ、最初の一回で上手く行ってくれりゃいいんだが。
「お、おで、まもるっ」
「おう、しっかり守りやがれ!」
「え、えっと、お願いします?」
シークレットはどうしたものかと困った顔をしながらも、二人にお礼をする。
こら、そこのデブ。エロイ顔してんじゃねぇ。僕のシークレットをそんな目で見んな。
ローパーの攻撃が襲いかかる。
伸ばされた触手は三つ。三人に攻撃がいっぺんに来るようだ。
二つはシークレットに向かって来る。
シークレットを庇ったオデーブが腹を突き破られるが、攻撃が終わると何事も無かったかのようにシークレットの護衛を再開する。
今のはエフェクトなの? 滅茶苦茶痛たそうだったんですが?
ついでに残った一撃がレゴウ一体に当り、即死していた。
2ターン目。最悪繰り返しも視野に入れる。やって見せろレゴウ!
「行くぜェ!」
「テメーが俺のターゲットだァ。死ぬまで追尾するぅぜぇ」
一人が攻撃でもう一人はターゲットをローパーに絞る。
今回はまともに機能してくれたか。
最初のレゴウの一撃。
「そらよォ!」
ずばっと一撃。ローパーに2のダメージ。まぁ、レベル上げてないからな。
そしてローパーが即死した。
悲鳴を上げて消滅するローパー。
「ば、ばかな!? こんなことが……」
「さぁ、お仕置きの時間です」
戦闘時間1分掛からず戦闘終了。ボス戦にしては異様な速さだ。
そしてシークレットメイデンの断罪開始。
ウィップで絡め取られたハンニンバルが空へと舞い上げられる。
「貴方の罪を数えましょ」
今回アイアンメイデンの出現は無かった。
代わりに巨大な鉄板が出現し、その下には猛る炎。
アツアツ鉄板に落下したハンニンバルが悲鳴を上げる。
さらに何処からともなく鋸が鉄板の前後に二つ出現し、徐々に前後からハンニンバルへと迫り始める。
だから、シークレットのスキルヤバ過ぎるからっ。
ハンニンバルの悲鳴が轟く。
なんか、もう、ヤバ過ぎるからモザイク入れてくれ。
しかもついさっき二つに裂かれた筈のハンニンバルがスキル終了した後は普通に生きてるし。
どうなってんの?
「ハンニンバル、本当に、残念です」
「た、たす、助け……ぎゃ?」
どすり、背後から来た衝撃にハンニンバルがなんだこれ? と自身を見下げる。腹を突き破る触手があった。
「じゃ、邪神さま? なじぇ……?」
死んだと思われた邪神もまだ生きていた。
ああもうレゴウの一撃で即死したんじゃないのかよ。




