お爺ちゃんゾンビ化事件
「「あっははははははっ汚物は消毒だァ!!」」
二体のナイチンゲルダが汚物消毒を開始する。
ついさっきまで仲間と行動していたメイドさんと騎士二人が炎に呑まれてゾンビ達と共に光に変わる。
その光景を見ながら、僕は泣き崩れていた。
せっかく、折角全員助けようと思ったのに……
神よ、恨むぞ。絶対に、恨むからな……
そんな僕に、リーハがぽんっと肩を叩く。
「なんだよリーハ?」
「よく考えよ我が主よ。あれほどバグの多い世界を作る神だぞ。絶対に抜け道がある筈だ」
「そんなこと言われても……」
「まぁ、今は目の前の敵を撃破していかねばな」
「そう……だな。この元凶は絶対に許さん」
「目標、捕捉」
ナルタがロケットパンチを発射。目の前に居たゾンビが吹っ飛ぶ。
お爺ちゃんが腰を痛め、レスティスが光の筋を打ち放つ。
しかしゾンビの群れはまだまだ出現して来る。
ゾンビ達の攻撃。ナルタがダメージを受ける。
しかしゾンビ化はしなかった。
当然だ。生物じゃないんだからナルタがゾンビになるはずもない。
ゾンビ相手にはいい壁役だ。
一匹お爺ちゃんに向かう。
でも残念お爺ちゃんはきゅぴーんで避け……直撃したぁ!?
お、お爺ちゃんが!? お爺ちゃんが!? ゾンビになった!?
噛みつかれたケンウッドがゾンビ化してしまう。
そして僕らのターン。
ゾンビ化したケンウッドが動き出す。
節々が、痛いんじゃぁ。そう告げるように勝手にダメージ受けてスタンした。
ゾンビ状態でも痛いらしい。
「まぁ、任せな。ゾンビ化だって回復してやんよ」
そのまま武器になりそうな注射器を取り出す。大きさは片手で抱えてもう片方で下から落ちないように固定する大きさ。マシンガンとかロケットランチャーだと言われても納得できる巨大注射器である。
「くたばれっ!」
ナースが言っちゃいけない言葉っ!?
ずっぶぅっとケンウッドに注射器を刺し込……
お爺ちゃんきゅぴーん。
回復行動を回避しやがった!?
「あ、テメェ避けんな!?」
「任せな、あたしがやってやんよ」
もう一人のナイチンゲルダが注射器を持って迫る。
お爺ちゃんの背後から違法薬物をブッ刺す。
お爺ちゃんのお尻が大変なことに!?
お爺ちゃんが絶叫と共にゾンビ化解除された。
注射が終わると、力尽きたようにその場に突っ伏すお爺ちゃん。
体力全快、ゾンビ化も解除された。
ゾンビ化解除できるならメイドさん達も……
そう思った次の瞬間、お爺ちゃん副作用発症。ゾンビになりました。
……ゾンビ化解除したらゾンビになったんだけどどうしたらいい?
レスティスが天罰のロザリオで敵1体を撃破。
ナルタが拳で敵を粉砕。
残りは10体位いらっしゃるが、戦場に居るのは残り3体だ。
残りは次のWAVEだろう。
敵の攻撃。今回は全てナルタが引き受けてくれた。
が、流石に連続でダメージを喰らうとナルタのHPがやばくなってきた。
ここは回復、と行きたいがナイチンゲルダ二体は回復を使ってしまったんだよね。だから……
「レスティス、ナルタを回復頼む」
「はい、承りました」
ナイチンゲルダ二体がメスを投げつけ後方のゾンビ二体を撃破。
お爺ちゃんは腰が痛かった。
ナルタが最後のゾンビを撃破すると、WAVEが移行。残った7体のゾンビが戦場にやってくる。FINALWAVEである。
「御使い様、必殺、可能です」
「マスター、必殺、許可ヲ」
「「ふはは、今日は気分がいい。全員回復してやってもいいぜぇ」」
全員同時に必殺使用可能になったようだ。
この必殺が溜まる方法って良く分からないんだよなぁ。リーハは何か知ってる?
「私が知るか」
でも、回復ばっかりなんだよな。折角必殺ならド派手な必殺を……
その時、僕は閃いた。
「レスティス、必殺、その後ナイチンゲルダ必殺。ナルタ、自爆装置!」
一度は使ってみたかった。
思わず言ったが多分後悔は無い。
「はい、神の御加護をここに。神よ、奇跡を」
味方全体を少回復。防御力、回避力を増加。稀に1ターン無敵付与の必殺技。
ちゃんと今回も無敵が付与され……あ、自分だけ付いてないよレスティス。
「「そぉら、全員回復してやんよ」」
って、一人じゃなくて二人とも必殺使っちゃった!?
ナイチンゲルダが二人同時に必殺発動。
無駄なことしちゃってるよ御二人さん。
が、最初の一回をお爺ちゃんがきゅぴんしたせいで無駄にはならなかった。
お爺ちゃん、回復は素直に受けよう?
味方全体を全快。状態異常全回復。の為ケンウッドのゾンビ化も回復する。
散布式の回復技だったようで全員が回復、狂化した。
……狂化、した。
しまったぁぁぁ!?
「自爆シークエンス発動。3・2・1……」
って、待ってナルタ、やっぱ止め、レスティスが……
「発動済ミノタメ停止出来マセン。自爆、シマス」
全てを巻き込み、古代兵器が爆発した。
「ああ、神よ、身元に参ります……」
そしてレスティスもまた、天に召されたのだった……マジごめん。




