謁見の間に座る王、台詞は1パターン事件
謁見の間に辿りつく。
入口に当るドアの前には二人の門番が居たのだが、シークレットに聞いてみると、この二人はゾーンとビーという名前だそうだ。二人合わせてゾンビー。うん、こいつ等は多分救えないな。諦めよう。
「むぅ? シークレット王女? なぜここに」
一番最初に気付いたのは謁見の間玉座横に立っていた男だった。
まるで軍人のようながっしりとした体躯とガ○ル少佐みたいな箒頭を根元数センチですぱっと斬りそろえたような……短すぎるし角刈と言った方がいいかもしれない。
「あちらが宰相のハンニンバルです」
事件の首謀者にしか思えない名前ですね。
「そしてあちらに居るのが私のお父さま。イケニエ国王です」
ゾンビになるかどの道悲惨な最期を遂げそうな国王ですね。
まぁいい、とりあえず次の話に移動する前に挨拶だけでもしておこう。
「初めまして生贄こ……イケニエ国王。私は……」
「よくぞ来たダイスケよ。国王として異世界からの賓客を持て成そう。ゆるり、楽しむといい」
……あの、まだ自己紹介すらしてないのですが……
「お父様、ダイスケ君の話の途中ですよ?」
「よくぞ来たダイスケよ。国王として異世界からの賓客を持て成そう。ゆるり、楽しむといい」
……んん?
「コホン。あー、王女、それとダイスケとやらよ。国王陛下もゆっくりしていけと言っている。部屋に戻り二人の時間を楽しんでおくといい」
堪らず宰相さんが告げる。
でも、とりあえずもう一回。
「国王陛下。娘さんをくださいっ」
「ふぇ!?」
突然の宣言にシークレットが驚き、顔を真っ赤にする。その刹那、父親は厳かに告げた。
「よくぞ来たダイスケよ。国王として異世界からの賓客を持て成そう。ゆるり、楽しむといい」
「ありがとうございます」
娘さんをくれと告げた男を賓客として持て成してくれるらしい。これはもう父親の了承を得たと言ってもいいだろう。
「聞いたかいシークレットさん。君のお父さんは貴女と結婚したいと言った僕を賓客として持て成してくれるらしい。これってもう結婚オッケーなんじゃね?」
「えええええ――――っ!?」
「こらそこ、バグを悪用しないっ」
「ハハハ、ルーカさんや、一体どこにバグがあるというんだね」
それでは失礼します。
と、いうことで、僕らは一旦部屋に戻ることにした。
とりあえず、次話が始まると王様はゾンビになると思われる。つまり謁見の間も安全じゃない。
何しろ王様手抜き感満載だったからな。
宰相はおそらく次の話が始まった瞬間別の場所に移動する。彼はゾンビ化しないと思っていいだろう。あるいはマジで黒幕かもしれんが。
とりあえず王女の部屋に戻ると、一度休息する。
「はわわ。わ、わた、私、結婚?」
これから大変だけど必ず生き残る。というか、全力で守り切る。
その為に、来い、ゾンビに対抗できる戦士たち。
10連ガチャ、開……
「あら? ダイスケ、これ見て」
10連ガチャを引こうとした瞬間だった。右端に矢印があることにイリスが気付く。
「なんだそれ? ガチャ画面で右側?」
とりあえず調べてみることにする。
右側に画面をスライドすると、ガチャ画面が切り替わった。
第二章ピックアップガチャに……
「あるんか~いっ」
思わずチク○ドリルノリでツッコミ入れる。
そういうことか。一章二章で必要になるキャラをピックアップしてくれてたか。
説明しとけよ神ェ……
ピックアップガチャの詳細からガチャの出現率を調べる。これによるとピックアップとして出現確率が上がっているのが☆5絶対消毒ナイチンゲルダ。☆4古代兵器ナルタ。
この二体は折角だし手に入れておきたい。
ガチャ回すのは絶対にこっちだな。行け!
「ひゃはははははは、次に殺されてぇ奴はどいつだぁぁぁぁぁ!?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「り、リーシェは僕が守るっ」
「……ワタシ ガ アナタ ノ マスター デスカ?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「あばら折れた うでとれた 召喚 された」
そして魔法陣が輝きを放つ。まさか、☆5来ちゃったか!?
「あっはははは汚物は消毒だぁーっ!!」
やった、さっき☆4のも来てたし運がい……
魔法陣がさらに輝きを放つ。
「あっはははは汚物は消毒だぁーっ!!」
えぇ――――っ。いきなし☆5被ったし……
嬉しい筈なのになんだこのガッカリ感?
ま、まぁ戦力的には攻撃力二倍ってことだから、問題は無いよな?
と、とりあえずしばらくは種集めしてレベルを上げないと。
待ってろよゾンビ共。全員汚物として消毒してやるぜ!!




