次話が選択されるまでは出て来ない仕様です
「ゾンビはどうなった?」
「はぁ? ゾンビ?」
「ふむ? どうやら次話はゾンビが出てくるようですね」
……ルーカは全く記憶にないらしい。
イリスも記憶はないようだが僕の言葉で少し理解したようだ。
なので、イリスに聞くことにした。
「イリス、今のってやっぱり僕死んだ感じ?」
「そうですね。つい先ほどまでシークレット王女と談笑していた筈ですが、気付いたらダイスケがベッドで寝ていました。おそらく先程までのことは夢だったという夢オチエンドで繰り返す状況になっているようです」
「あー、やっぱ今のは全滅したってことか。いや、むしろ全滅出来てよかった、かな。中途半端に残って次の話にいくよりはいいか……」
正直SAN値がごっそり失われた気がしないでもないが、次の話数に向かうにはちょっと準備が欲しい。
ボタンを押して話数を進めなければ事件が起こらないということなら、まずは何処からゾンビが来たのかを調べた方が良いだろう。
「こんなところに居られるかっ、僕は帰るぞっ!」
「って、ダイスケ、それフラグじゃない?」
「あれ? そうだっけ。まぁいいや。とりあえず城の中見回りたいんだけどいいかな?」
「あ、それだったら私も一緒に回るよダイスケ君。私が一緒ならお父様に見付かっても大丈夫だから」
そうだった。シークレットはともかく他の王族や大臣に見付かったら言い訳が難しい。それならシークレットが居てくれた方が説明もしやすいし、ある程度の貴族なら対応してくれるはずだ。
下手なのに見付かって無礼打ちされたり犯罪者扱いされるくらいならシークレットと一緒に居た方が良いだろう。
シークレットが部屋を出るということもあり、結局皆揃って城内探索を始めることとなった。
部屋を出ると、護衛の為A子さんとB奈さんも一緒に付いてくる。
大所帯で移動を始めていると、とある部屋の前で困った顔で佇んでいる女性が一人。
シークレットにお茶を汲んでくるよう頼まれたメイドさん。まだ生きてたようだ。
「あれ、メイドさん、こんなとこに居たんだ」
「あ、こ、これは姫様!?」
「どうしたの? 私、その、お茶を頼んでから一時間以上経つけれど?」
「そ、それが……なぜかここから先に進めなくなっておりまして。ドアが開かないのです」
僕がメイドさんの代わりにドアを開いて上げよう、とドアノブに手を掛けるが、動かない。
鍵が掛かっている訳ではない、しっかりと鍵が外れる。でも向こうに向かえない。
「おそらくですが、ここから先は次話で重要な役割を担う部屋なのではないでしょうか? なのでプレイヤーは向えないのかと。この世界の住民も向えないとなれば次話に彼女はこの扉を開き、内部を見た後ゾンビになるのでは?」
「それは可能性高いな。となると、話しを進めるとこのメイドさんは速攻ゾンビになっちまう訳だ。よし、メイドさん、悪いけど一緒に来てくれ。お茶はまだいらない」
「え? あ、はい」
「あとフレンド登録お願いします」
「な、何してるんですか、それは浮気ですっ」
「ええ!?」
ちょっと待ってシークレットさん。フレンド登録で浮気ってどういうこと!?
「待った、落ち付けシークレットさん。フレンド登録で浮気ってどういうこと?」
「え? あれ?」
シークレットは僕らを見回し、あれ? と驚く。
「え? あの、フレンド登録って、結婚相手とするものなのでは? 騙されたとはいえ私は申請送って登録してしまいましたし、ダイスケ君と結婚するんだって……」
シークレットの肩を、ルーカがぽんっと叩く。はーっと深く溜息を吐きながら頭を横にゆっくりと振った。
「誰に聞いたのか知らないけれど、フレンド登録って言うのはね、お友達になりましょうっていう申請なのよ。結婚しなくていいし、何人に送ってもいいの。まぁこの世界じゃダイスケに送るしか使い道ない奴だけどね」
「そ、そうなんですか?」
シークレットが愕然とする間にメイドさんにフレンド申請して貰う。当然了承です。
えーっと、☆1薄幸メイドフハイちゃん……ゾンビ化するの確定してるような名前だなオイ。
護衛の二人もモブ1号2号って感じだし、この三名はゾンビ化が確定してる気がする。
廊下を探索する。
階段があったので降りようとしたんだけど、見えない壁があって移動できなかった。
どうやらこの先は無理らしい。
こうして城内を見回ってみると、行けない所は結構あるものの、ゾンビは欠片すら見当たらない。
つまり見えない場所、行けない場所にゾンビの群れが犇めいていると見ていいだろう。
「謁見の間、ってどこだ?」
「お父様の居場所ですか? でしたらそちらを……」
折角なのでこの国の王様の安否、調べておこう。
ゾンビ対策どっかにないかなぁ? あ、ガチャで何かでるかも? あとはアイテムを探すのがいいか。
いろいろ対策してから再戦、だな。




