戦闘終了と共に壊れた設備は自動修復されます
シークレットの言葉により戦闘は強制終了となった。護衛兵のお姉さんたちとシークレットの部屋に移った僕らはシークレットに戦闘になった顛末を説明する。
僕はぽちっと神様に言われるままボタン押したらシークレットの部屋前に出現していたこと、有無を言わさず強制戦闘になったこと。神様に聞いたら強制だから闘って倒せと言われたこと、遠慮なくバギーで突っ込んだのはアニキが勝手に判断したことをしっかりと告げた。
近衛兵からは突然目の前に不審人物が群れを成して現れたので誰何して攻撃したこと。
相手が一方的に攻撃して来て城を破壊したこと。
シークレット姫の知り合いだと知らなかったことを説明する。
シークレットは双方の言い分を聞き、むぅーっと唸る。
顎に手を当て必死に悪と罪を考える。
はい、僕としては一番の害悪は運営だと思いますっ。
「そうですね。一番の巨悪は神様でしょう」
―― あれ? シークレットさん、なぜこっちに飛び火した? ――
神様普通に出て来たし。
もう、諦めて私が黒幕ですって認めちゃえよ。
「残念ですが、私では神を断罪する術がありません。よって、今回ダイスケ君と貴女たち双方不問とします」
寛大な処置ありがとうございます。
「ただし、城を破壊した損害についてはダイスケ君達に支払って……あら?」
ちょ、金欠な僕に何つー危険なことを、借金まみれになるじゃないか。と思ったんだけど、シークレットが僕の背後を見て小首を傾げる。
「損壊、してないですね?」
「へ?」
言われて振り向けば、バギーが通過して粉砕された筈の壁が普通に復活している。
ドアを開けないと廊下に出られない状態に戻っているのだ。
―― そりゃ戦闘が終われば周囲の破壊は無かったことになるからね ――
仕様だった。
そこ重要だからさぁ、そういうことは早めに教えといてくれないかな運営さん。
常識だから言わなくても分かるよね? じゃ分かんないからねっ。
そういう説明が一番重要なんだよ運営さん。ということで抗議メール出しとこう。
なんか他にも説明省かれてる事がありそうだし。そういうことあるなら早めに教えてくれってね。
「まぁ、これを使えば神様に抗議ができるのですか。ぜひ私にも一言添えさせてください」
シークレットが興味を覚えてメールに自分の意見も書き込む。うん、神様の犯罪に関する抗議文がこう、恐ろしいことに。魔法処女やべーわ。神様まで断罪しようとしてるし。
この呪いの文章見た神様が震えてそうで可哀想に思えてくるよ。同情はしないけど。
「さて、気を取り直して、改めて初めまして皆さん。私はこの通り、この国の王女、シークレットと申します」
手を自分の胸元に当て、自己紹介を始めるシークレット。
秘密の暴露でこちらを驚かそうとしているように思えるんだけど、既にその秘密知ってました。ついでに魔法処女だってのも知ってるよ?
「ふふ、驚いて……ませんね? あれ?」
「ごめんシークレット。王女様なのは城に向かった時点で分かってた」
初めから分かってたけど話の整合性から考えてこう告げた方がいいだろう。
「あ。そっか。城に連れて来られたらそう思っちゃいますよね」
失敗失敗。と恥ずかしそうにするシークレット。目隠れ系少女の照れ顔、御褒美です。
どうぞ、ごゆっくりしてください。と言われたんだけど、この部屋にずっといるのも……あのイリスさんや、もしかして……
「多分ここから話を続けるには次の話をタップするようですね。戦闘があると思います」
つまり、次の話はシークレットと会話中に何か戦闘になるようなことが起きるってことか。
全然想像つかないぞ?
この状況でどうやって戦闘……まさか、シークレットを怒らせてしまうのか?
嫌だぞ、あの拷問器使われるの。
とりあえず、もうちょっとシークレットと話したいのでタップはまだ止めとこう。
シークレットが腰元位の棚の上に置かれていた呼び鈴を鳴らす。
メイドさんがやって来て、お茶の用意を言い渡されて去っていった。
僕等にお茶を御馳走してくれるそうだ。
カフェを楽しむために設置されていた丸テーブルに案内される。
テーブルも、それに掛かってるクロスも座る為の椅子もなんか全てが高級感を醸し出している。
これに、座ってお茶会するのか……なんか気後れするな。
椅子は四つしかなかったのでルーカとイリスはテーブルに直接乗り、僕とリーハ、サクヤの三人が座る。
僕の左右に二人が、そして対面にシークレットが座る形だ。
そしてしばしの間歓談しながらメイドさんを待つ。
一時間が過ぎたころだろうか、シークレットがはて? と気付く。
「メイド、随分遅いですね?」
あ、もしかして、この先ってイベント進めないとメイドさん来ない感じですか?




