王城へ行こう! 仕様に付き入れません♪
「あ、こんな所にいたんですか?」
レスティス達の元へ向うと、少し間を置いてシークレットが僕を見付けてやって来た。
どこ行ってたのさ全く。シークレット・メイデンが居なくなってから出てくるとかタイミング良すぎな気もしなくもないけど、きっとお花摘みしていただけさ、なぁそうでしょう?
「それで、あの野蛮な方はどうなりました?」
「とりあえずいなくなったよ」
戦闘後に居なくなってたし撃退したのか死んだのかは知らんけど。
リーハたちも戻ってきて全員が一所に集まる。
さて、とりあえずこれで第2話終了って所かな。
「私はそろそろ家に帰らないといけないのですけど、もしよければ家に来られませんか?」
「シークレットの家に? 行きますッ」
即答に決まっていた。
例えそこが王城だったとしても、なんか嫌な予感がひしひししていたとしても、である。
だってもしかしたら自室にご招待なんてことも、さらに言えばお近づきになる可能性も……ヤバい、オラワクワクすっぞ!
僕らはシークレットに連れられて王城へと向かう。
どうやらシークレット、王城の皆さんには秘密で抜けだしてきてしまったらしい。
おいおい、頼むぜ、問題起こすようなことにしないでくれよ?
王城には正門からではなく裏道があるらしい。
こちらですよ、と案内されたのは王城西にある林からの隠し通路。
その中へとシークレットが入っていく。
よし、僕らも後を追うぞ、そう思った僕だったが……隠し通路に入れません。
なんか見えない壁みたいなのがあって階段を降りれないのだ。
え? これなんだ? 王族しか入れない場所か?
「シークレット、ちょっと待って、なんか移動できないんだけどっ」
既にシークレットは下に降りてしまって僕の声が聞こえないようだ。
ええいクソ、神ッ、神ーっ!
困った時のGMコール。神様に報告してバグじゃないのか確認することにしました。
―― 仕様です ――
答えは直ぐに来た。
しかも一言だ。
他に説明も無い。舐めてんのか?
―― 次話をタップしてください。王城王女部屋前からになります ――
そこ重要。早めに連絡くれれば僕としてもイラつき覚えたりしないんだよ神様。
全く人が悪いなぁ、もぅ。
んじゃあ第3話をぽちっとな。
選択した瞬間だった。
自分が居る場所が唐突に切り替わる。
石造りの廊下にガラスの入っていない吹きっ晒しの窓。壁は青色のレンガのように組み合わさった石作り。
すぐ前には豪奢な扉があって、二人の兵士が左右に立っていた。
「な、何奴!? ここはシークレット王女の部屋よ!」
女性兵らしい。唐突に出現した僕等に警戒感を露わに……っていうかもう戦闘態勢じゃん!?
「ダイスケ、これ多分強制戦闘!」
「マジッすか!?」
まさかの王国の近衛兵と戦闘になるとか、ちょっとシークレットさん何とかしてぇーっ。
でも、この二人を倒さないとイベント進行しないんだろうね。シークレットが気付いて出て来てくれることを祈る。
「これ、戦闘終わったら倒した相手も復活するんだよな!?」
「分かりません。神様に聞いてみた方がいいのでは?」
「指示があるまで動かないから戦闘中でも聞ける筈よダイスケ」
「了解、神様聞いてるよな、そこんところどうなの?」
―― 仕様です ――
ブチッ。
多分堪忍袋の緒が切れた音だろう。僕の内部で確かに盛大にエコー響かせ鳴り響いた。
いいんだな。本当にそれでいいんだな?
とりあえずMMS。MMS。まっしんがーんめーるさーびすぅー♪
―― なーんて嘘さ。その闘いは相手を倒しても復活するから問題な……あ、ちょ、メール多過ぎ!? なにすんだおい、やめrwa ――
言うのが遅いんだよっ。よし、倒していいなら遠慮はいらん。リーハ、サクヤ、やっておしまいなさい。
僕の許可が出たので戦闘班が近衛兵と敵対する。
リーハの火炎ブレスが周囲を焼き、サクヤとレスティスの光線がドアをぶち抜く。
トドメにアニキのバギーが通路を破壊しながらドアに激突。大破とともにドアが爆散し、呆然としたシークレットと眼が合う。
「な、なにしてるんですかー!?」
「シークレット!? 頼む戦闘止めるように告げてくれ」
「え? え? いや、でも、今バギーが部屋に突っ込んで……」
「頼むシークレット、二人が襲いかかって来たんだ、止めてくれっ」
「ふ、二人ともその人たちは知り合いですっ」
戦闘は1ターン目の味方が終わった瞬間終了した。
僕らが一方的に城を破壊しただけだった。
敵対した近衛兵は何か言いたそうにしながらも戦闘となったきっかけが自分たちと言うこともありあえて口を噤む。
「け、結局何があったんですかー」
さあて、魔法処女が襲いかかって来ないようになんとか言い訳しないとな……




