知ってたか? フレンド登録と友達になるって、違うんだぜ
「ご、ごめんなさい?」
突然のフレンド申請お願いしますコールに女性は戸惑いながらも断った。
「ぐはっ!?」
「え、っと、ごめんね、お母様から良く知らない人とはフレンド登録しちゃだめって言われてるの」
目隠れ系地味娘。しかし美人だ。しかしオッパイお化けだ。
つまり、何が言いたいかと言えば、大好きだっ!
「こ、これもきっと運命の出会いって奴です、お願いします」
「ええっ!? うーん、フレンド登録はダメだけど、その、お友達からなら……」
おずおず告げるお姉さん。フレンドはダメだけど友達はいいらしい。
……? ん? ???
え? 何、どういうこと? ノットフレンド、イエス友達?
英語に直せば、ノットフレンド、イエスフレンド。
「どゆことーっ!?」
思わず頭を抱えて叫ぶ。
頭がパンクしそうだ。僕が間違ってるのか?
なぁ、僕が変なのかい? 教えてくれ、ルーカ、イリス!
「あー、えー? フレンド登録と友達ってどう違うのイリス?」
ルーカはイリスに丸投げた。
「同じ言葉の筈ですが?」
ですよね? そうだよね。
「えーっと、じゃあ友達申請送ってくれますか?」
「はい。えーっとこれを送ればいいのですか?」
フレンド申請が来ました。当然Yes。
で? フレンド申請だとダメなのに友人としてならフレンド申請オッケーとなる訳ですが、なんだこのややこしいやり方。
フレンド登録が出来たので相手のステータスを見ることが出来るようになった。
これによると、何とこの人、☆5キャラである。
それと言うのも、どうやらこの国の王女様らしく、お忍びで露天に来ていたらしい。
名前は、秘密王女シークレット。
「お名前、聞いてもいいですかお姉さん? 僕はダイスケといいます」
「あ、はい。初めましてダイスケさん。私はシークレットといいます」
ふかぶか礼をすると、ぶるんと胸が揺れた。
なんだこの凶器。
目隠れ系地味美女のシークレットさんに僕はもう釘づけです。
「ちょっとダイスケ、鼻の下伸び過ぎ」
「エロスケですね。サイアクです」
女性からの視線が痛い。
「むぅ、胸か、そんな脂肪の塊の何が良いのだ」
「悔しい、スレンダー過ぎるこの肉体が恨めしいですわっ」
「どうせ彼女になる可能性なんて1%もないのに無駄な努力よね」
ぐはぁ!? 最後のリーシャの容赦ない一撃が僕の心にクリティカルヒット。
いいじゃないかぁ、僕だって夢見たって。
「だってぇ、シークレットさん理想のお姉さんって感じなんだよぉ、いいだろぉ夢見たって」
思わずリーシャに返す。
するとリーシャは汚物を見る目で僕を見て来た。
「うわぁ、キモい」
ごふっ!?
あまりに強烈な一撃に、僕はその場で崩折れた。
ダメだ、立ち直れそうにない。
「あ、あの大丈夫、ダイスケさん?」
そんな僕に心配そうに語りかけてくるシークレット。
優しすぎる。そんなことされた僕、僕……
「惚れてまうやろ――――っ」
どっかの芸人よろしく大空に思いの丈を叫んでいた。
きっとこれが、世界の中心で叫んだ愛の言葉だったんだ。
聞いてしまったシークレットさんが顔を赤らめ恥ずかしそうにしていらっしゃった。
「落ち付いた?」
「はい、はっちゃけてすんませんっした」
露天の中央でこんな行為をしていたと気付いた僕は、恥ずかしさで幾分萎んだ気分である。
「折角ですしシークレットと一緒に回ったらいいんじゃね?」
ルーカはどうでもいいようにこけしを抱きしめて言葉を告げる。
「そうですね。それで良いんじゃないでしょうか?」
イリスは魔王の頭の上に寝そべりながら本を読んでいる。
魔王の上に寝そべるって、どんなサポーターだよ。リーハも何とか言ってやれよ。
「んじゃー、適当に散策しようぜ」
と、アニキが音頭を取って皆が散開してしまった。
後には僕とシークレットだけが残される。
「えーっと、私は遊びに来ただけなので、どこか一緒に見て回りますか?」
「僕でよければぜひとも」
計らずともシークレットとデートすることになりました。
皆気を利かせたのか散り散りになってくれている。
リーハはなぜかサクヤと二人で回っている。実は仲良しか?
リーシャはダンディとアニキ、ついでにシオと共に回っている。
マリク出してなかったな。そのせいでリーシャはアニキたちと一緒に居るようだ。
レスティスは徘徊老人と化したケンウッドの世話だ。なんかスマン。
メガネはどこかいのぉ。ケンウッド様メガネは最初から持ってなかったでしょ。とコントじみた話をしていらっしゃった。
放っといても皆大丈夫そうだな。イリスとルーカも適当にリーハたちと回るみたいだし。
なので僕は遠慮なくシークレットと二人きりで露店を回ることにした。




