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うんえい は あきらめた。

 まずは落ち付け。

 一先ず落ち着こう。

 とりあえず落ち着くんだ僕。


 ここは騎士団詰め所、なんか重要問題になってしまったので部屋に籠っていたグラッツを無理矢理呼び出し、当人たちを僕の前に並ばせた。

 当人たちって誰? だって? そんなもん無限増殖系味方殺し騎士シオに決まってるじゃないか。


 今、僕らの目の前にはコピーシオと、オリジナルシオとオリジナルシオとオリジナルシオの4体のシオが困った顔で立っていた。

 お前らも困ってるだろう、うん。僕も困ってる。

 何がどうしてこうなった?


 何が起こったかと言えばオリジナルシオが消えてコピーシオに乗り移るバグが発生したことが発端だ。これを直そうとした神こと運営様はコピーシオからオリジナルの人格を抜き取り、オリジナルシオを新しく作った。それを配置したのがこの騎士団詰め所である。


 ただ、運営様はやり方を間違えた。

 プレイヤーが騎士団詰め所を訪れると共にイベント開始をしようとしたため、オリジナルシオはプレイヤーが騎士団詰め所内部に入った瞬間出現する設定にしてしまったのである。

 詰め所に一度入っただけでイベントが済めば良かった。しかし、僕らはグラッツに話があるのに一度出てしまった為に、オリジナルシオと共に詰め所にとんぼ返り、そこで二人目のオリジナルシオが生成された。


 そして僕がグラッツと話すために騎士団詰め所奥のグラッツの部屋に入ったことで、騎士団詰め所の兵士待機場所から一度出たと認識されてしまったのだ。

 グラッツの部屋から戻ったことでさらにもう一人オリジナルシオが生成されたのであった。

 当然矢のような速さでGMコールしてやったよ。ちなみにGMってのはゲームマスター、運営様の略である。


「あー、なんじゃこりゃ? どうなってる?」


 僕に呼ばれて部屋から出て来たグラッツも困惑している。

 シオが四人に増えているのだから驚きだろう。


「とりあえず、一番最初のオリジナルシオ」


「あ、私です」


「じゃあ、君がシオで」


「「ちょっと待ってくださいダイスケ殿ッ」」


 自分達もシオだ。と残りのオリジナルシオが声を揃えるが、異論は挟ませない。


「次、二人目のオリジナルシオ」


「え? あ。はい。私だ」


「君はオリシオ」


「お、オリシオ?」


「最後に三人目。君はオリジナルシオの後ろを取ってナルシオを名乗れ」


「ええええええっ!?」


 とりあえず三人ともシオだから呼び名も分かりづらい。なので区別するために適当に告げる。


「これで三人を混同することも無いだろう」


「あ、あの、私は?」


 コピーシオがうずうずした顔で聞いてくる。


「コピーシオは嫌か、じゃあコシオで」


「男みたいな呼び名じゃないですか!? 別のが良いですッ」


「シオピー、ピーシオ」


「ピーシオって、なんだか卑猥よね」


 リーシャの言葉にいやぁっと嘆くコピーシオ。


「コシオでお願いします」


 結局折れてしまった。よし、名前についてはこれでいい。

 さて、神様このバグどう収拾付けることになったんですかーっと。

 届いていたメールを開く。


 ―― シオ増殖バグに関する謝罪。増殖の元となったイベントは消去しました。ただ、既に出現している二体の重複シオは名前も区別出来たことを踏まえ別シオとしてそのまま残すことにしました。これはバグ取りを諦めた訳ではなく、そういうイベントにした方が後のイベントも作れるとふんでのことであるため…… ――


 そしてしばしの言い訳が書かれており、最後に、石3000をお詫びにプレゼントするとだけ書かれていた。

 うん、これ、多分諦めたな運営。

 とりあえず、詰め所に入ってもこれ以上のシオ増殖は防がれたようだ。


「んじゃ、解決したことだし、僕らは帰るね」


「へ? ちょ、待ってくれ、シオはどうすれば……」


「分かりやすいように名札でも付けて貰えばいいよ」


 どうするかなど僕が責任持つ訳ないでしょ。だってオリジナルシオは騎士団所属なのだから。頑張れグラッツ。味方殺し殲滅度が三倍になっただけだし大丈夫だよね?

 騎士団詰め所を後にした僕ら、宿に戻る気にはならないのでイリスが指定した露店街へと向かうことになった。


 しっかし、この世界結構バグが残ってるなぁ。

 本当に大丈夫かね、致命的なの残ってたら困るよ運営さん。

 とりあえず今のところはまだ無敵レゴウバグ以外はたいした問題じゃないからいいんだけどさ、アレは酷かったし。


「……っ!!」


 考え事をしながら歩いていると、突然何かにぶつかった。

 むにょんっと柔らかいモノに包まれる。

 なんぞ、これ?


「あ、あの……大丈……夫?」


 引き離された僕が目にしたのは、目隠れ系の地味娘。いや、亜麻色のストレートヘアーの女性だった。

 背丈は150から160位、何か綺麗な白ドレスを着た見るからに貴族ですって感じの胸の大きなお姉様だ。


「フレンド登録してくださいっ」


 だから僕は、当然のようにお礼を言った。……あれ、お礼?

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