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メンテナンス後彼女が増加した

「ゴブリンを退治しましたし、騎士団に向かえば報酬が貰えるかもしれません」


 と、イリスが言ったのでおそらく次の話は騎士団に向かえば進むようだ。

 訳が分からず部屋に残される村人Dと笑顔で手を振りながら逆の手で村人Dの首根っこ引っ掴んでいるムナゲスキーさんを宿屋に残し、僕らは騎士団詰め所に向かうことにした。

 どうせだし、ムナゲスキーとはここでお別れするとしよう。

 あんな危険人物を仲間にしたままになどしてられるか。


 騎士団に辿りつく。

 グラッツさんに会おうと思って内部に入ると、シオが二人談笑していた。

 何を言ってるんだって思うだろ? 僕も思った。

 だってさ、面と向かい合って椅子に座りながらテーブルに肘付いて二人のシオが楽しげに会話してるんだぜ? 意味不明じゃないか。


「ああ、来ましたかダイスケ殿。神に聞きました。どうやら手違いがあったようで私とオリジナルが融合していたそうです」


 メタ発言キター!?

 普通に神とか言っちゃったよこの人。

 というか、こっちがコピーシオなのか。

 オリジナルシオに別れを告げたコピーシオが僕の元へとやってくる。


「不束者ではあるがこれからもよろしく頼む」


 顔は綺麗だしスタイルいいのに戦闘面では足を引っ張りまくるシオさんが再び付いてくることになった。

 それはいいけど、万年ベンチ暖めることになるけど、問題無いよね?

 戦場には流石に出せないぞ。


「では私のコピーをよろしく頼む」


 立ち上がったオリジナルシオがコピーシオを見送りするようだ。

 なんか話の流れで強制的に外に出ることになった。

 オリジナルシオと共に一度騎士団詰め所を出て別れの挨拶が始まる。


「って、シオ、僕らはグラッツに用事があるんだよ」


「あ、そ、そうなのですか。てっきりコピーを回収しに来ただけかと。すいません」


 謝るシオに問題は無いよ、と告げながら騎士団詰め所に戻る。

 そして、僕は入り口で立ち止まった。

 何故って? それは、うん、そうだね。今から僕の目の前で起こったことをありのまま言うぜ?


 騎士団に入ったらテーブル席に座ってたオリジナルシオが僕に気付いて手を振って来たんだ。

 何言ってんだお前? って思うだろ。僕もそう思う。

 だってオリジナルシオもコピーシオも僕の後ろにいるんだぜ? なのに僕の目の前にはもう一人のオリジナルシオがにこやかに手を振ってるんだ。


「来たかダイスケ殿。神に聞いたんだが、実は手違いがあったようで私とコピーが融合していたそうなのだ」


 いや、違うから、あんたオリジナルじゃないから。コピーでもないから、ちょ、神ー、神ーっ!?

 当然即座にGMコールである。

 お前、多分だけどオリジナルシオ新しく作ったろ。しかも僕がここに来ると出現するように設定しただろ!? 被ってるやないかーいっ!!


 三人のシオが一堂に集い私がオリジナルだとオリジナル同士が取っ組み合い、それを諌めようとするコピー。全員シオなので誰が誰だか分かりません。

 もはや収集付かないのでとりあえず放置して隊長であるグラッツの部屋へと向かう。


「おお、ダイスケ君か、どうした?」


「グラッツさん、ゴブリン討伐の際の報酬はありませんか?」


「ゴブリン討伐……ああ、あの時の報酬はまだ渡してなかったか。手伝ってくれて助かった」


 イリスの言葉で報酬がプレゼントボックスへと入る。

 で? この後ってどこ行けばいいの?

 話しはこれで終わりらしく、グラッツが世間話を始める。


「いやー、しかしダイスケ君たちがいなければゴブリン共を倒しきれずに国が滅んでいたかもしれん、助かったよ」


 あれくらいで国が滅ぶのか。兵士弱過ぎないか?

 というか、襲撃毎回のようにあるんだろうし、あのゴブリン達で国が滅ぶなら既に数十回以上国が滅んでると思うよ?


「俺なんか気付いたら闘い終わってたしなぁ。結局団員たちの頑張りがまた見られなかったぜ」


 うわー、そういえばこいつ見かけ倒しの雑魚だったな。

 うん、フレンド登録でコピー呼び出しは止めとこう。


「しっかし、なんか最近ゴブリンが増えてる気がするんだよなー。騎士団としても緊急出動増えてるし、なんかあるんかねー。ほら、どっか近い場所にゴブリンの巣があるとか、そういう可能性があるのかもしれないな。もし気が向いたら誰か潰して来てくれないかな。チラッチラッ」


 聞く気はなかったので僕らは早々お暇することにした。

 何で僕がわざわざこの国の為に何処にあるかも分からないゴブリンの巣を破壊せにゃならんのだ。イベントであるならやるけどもっ。

 そして、詰め所に戻った僕らが目にしたのは……


 言い争いを行う三人のシオから離れたテーブル席、そこで僕らを待っていたオリジナルシオがにこやかに手を振る姿であった。

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