第2章のっけからバグってるんだが?
どうやら街の外から襲撃が起こったらしい。
この世界の街や村って毎回のように襲撃起こってんのかね?
襲って来たのはなん……ぶふぅっ!?
なんか笑顔の赤ちゃんがはいはいしながら無数に襲ってきてます。
移動速度むっちゃ速ぇ!? 普通に大人が歩く速度で這い進んで来るぞ。
何アレ、恐い、これどんなシナリオ!?
「くっ、ゴブリンの群れだ!」
ゴブリン!?
いやいや、ゴブリン何度か闘ったけど緑色の生物だったっしょ!?
ちょ、イリスさんどういうこと!?
「バグですね。キャラ画像間違えてるんだと思います」
「そんな馬鹿な!?」
接敵した赤ちゃん軍団と騎士団。
あかちゃんが「あー」と腕を振り上げ攻撃する動作を行うと、なぜか騎士団の兜がぼこりとヘコむ。
え? なんだ今の?
「こん棒で殴られたようです」
「こん棒!? 持ってないよね!?」
「ゴブリンはこん棒を持っているから、画像が変わっても効果は一緒ということでしょ」
つまり、相手はこちらに見えない攻撃を行うことができる、と?
何そのバグ、最悪過ぎるだろ。
「ええい、とにかくリーハ、蹴散らしてくれ!」
「待っていた。行ってくるぞ我が主よ!」
血気盛んな戦闘メンバーが戦場へと走りだして行く。
もう戦場は放置してても勝手に闘ってくれるから楽でいいね。
自動戦闘にしてリーシャたちと見学する。
「しっかし、リーシャ」
「んー、なーにお兄ちゃん」
「お前のオリジナルって、辛辣だよなー」
「えー、そんなことないし。マリクほんっとうに役立たずなんだし、武器屋のおじさん強面なのに気が小さいから見かけ倒しもいいところよ。それにほら」
と、指差すのは、騎士団長グラッツ。赤ちゃんの一撃喰らって昏倒してしまい、今は他の騎士団員により戦場外に運ばれ強制休暇を取らされていた。
群がる赤ちゃんを光の筋が一掃する。おぎゃーと消えて行く赤ん坊。
しかし数が多い。
魔王様の火炎ブレスで焼かれ消える赤ちゃんたち。
正直なんだこの地獄絵図。日本のテレビにこんなの映したら大炎上間違いなしだぞ。
まぁ、現在進行形で炎上しとるけど。
赤ん坊の泣き声が響き渡る戦場。傍から見れば児童虐待甚だしい。
大の男達が剣を振り被って赤ん坊たちを虐殺して回っているのだ、酷過ぎる。
幾らゴブリンだからってこの光景は酷い。
「外道共の饗宴ね」
そんなことをリーシャがポツリと漏らす。
ルーカ、そんな意味深くないから頷いてないでなんとかしろよこれ、見るに堪えないって。
とりあえず神様にメールしておく。バグ残し過ぎだよ神様。
「にしても、これは絵面が酷いわね。神様は何故こんな状況を作りだしたのかしら」
「イリスが珍しく本を読まずに酷評してる!?」
神様ソシャゲ世界作るの初めてだとか言ってたしな。今頃必死こいて手直ししてるんだろうぜ。
ん? なんかメールが、えーとなになに、この闘い終わったら緊急メンテナンス始めます。メンバー諸共一時避難場所に移動して貰うので固まって待っていろ?
またメンテ入るのか。まぁいいけどさ。暗闇に一人じゃないならまだ耐えられる。
せいやーっとシオの攻撃が仲間を突き刺す。
おいおい守備隊が守備隊倒したぞ!?
しかもシオさん「よしっ次ッ」じゃないだろ。仲間だよソイツ。
次々にシオの犠牲者になって行く守備隊たち。
リーハたちはシオの攻撃範囲外に居るので今回はしばらく危険は無い。でもやっぱり時間を掛けるとヤバいので全力攻撃一辺倒だ。
すでにFINALWAVE。後少しのところだが、やはり巨大モンスターは存在した。
おそらくゴブリンリーダーかゴブリンナイトだろう。巨大赤ちゃんがずしずしと四つん這いで這いずりながらやってくる。
ほ、ホラー過ぎる。
二メートル位あるぞあの赤ちゃん。
だぅーと言いながら掌を掲げ、サクヤに押し潰しを仕掛ける。
「避けろサクヤ!」
「ひぃっ!?」
慌てて飛び退くサクヤ。ギリギリで回避するが、衝撃波で吹き飛ばされダメージを受ける。
化け物じゃないか。
リーハの攻撃はそれなりに効いてるけど、数ターンは掛かりそうだ。
サクヤとレスティス、アニキの攻撃でようやくリーハと同等のダメージになる感じかな。
そしてお爺ちゃん。一番先頭に立ってぷるぷるスタンしている。
「ダメだ。おじいちゃん頑張って、皆急いで、シオがもうすぐ辿りつくぞ!」
まるで敵の増援が数ターン後に来るような気がする。
リーハとサクヤが攻撃を行い、レスティスがおじいちゃんを回復。
節々が痛過ぎて減ってしまったHPが回復されて行く。
相手の攻撃避けまくってるのにHPどんどん減ってくの、大丈夫かおじいちゃん?
「ええい、あの姿を何とか出来んのか!?」
「戦闘終了後になんとなるらしいわよ」
「役に立たん神だなァオイ」
「神を侮辱するか不心得者めッ」
あ、馬鹿!?
アニキの不用意発言で激昂したレスティスがアニキを襲撃。非力なのでそこまでダメージ無かったが突然の友軍から裏切られたことでアニキが驚いている。
「仲間割れしとる場合かっ」
リーハの叱咤が轟いた時、シオが戦場へと辿りつくのだった。




