第二章開始、結局こっちのバグは治らないようだ
朝、起きるとルーカが凄い寝相で寝ていた。
俺のベッドに片足だけ残して宙ぶらりんになって寝てたんだ。涎垂らしてぐーぐー言ってた。
イリスは既に起きているようで部屋の隅で本を読んでいる。
部屋の中に居るのはサクヤとリーハ、リーシャとレスティスだ。
他のメンバーは見当たらない。
イリスに聞いてみると、アニキは昨日のうちにダンディと一緒に武器屋に向かったままとのこと。多分僕が寝た時点で向こうで寝てると思われる。
ダンディは武器屋の親父だろ、向って大丈夫か?
レゴウ二体は危険なのでストック場所に待機させているとのこと。あそこなら取り出されるまで時が止まってるそうなので知らない間に同じ場所でストックされてる村人軍団が虐殺されている心配も無いんだとか。
「まぁ、その辺りはご都合主義か。とりあえず顔洗って来るよ」
僕が動き出すことで他の皆も動き出す。
皆さん下のカウンター前で待っとくそうだ。さっさと着替えて来いだとさ。
まぁルーカ居るからゆっくり着替えよう。
流石に放置したら怒るだろうから忘れないようにしないとな。
顔を洗って部屋に戻る。
なぜかルーカが床の上でお腹見せてグーグー眠っていた。
意味がわからん。
とりあえず頬を引っ張ってみるが意味がないようだ。
仕方無いので足を持って持ち上げる。
ぷらーんと揺れるルーカ。気分は絞められたあとの鶏だ。
それでも寝てるのが凄いよな。
ルーカをぶらんぶらんさせながら皆の待つ入口のカウンターへと向かう。
すると、なぜか同じ顔が二人もいらっしゃった。
「あれ? リーシャが二人?」
「あ、あの時のお兄さんっ!」
キャラストックの場所に入れたままになっている筈のヘタレ少年マリクと、リーシャ二人が僕に気付く。
あの時ってどの時だよ。いや、そうか。この二人は昨日助けたことになるのか。
つまり、昨日の御礼をしにきてくれたようだ。
「昨日はありがとうございました。僕とリーシェを救ってくれて」
「別に助けろとは言ってないけど、一応ありがとう、と言っておくわ」
ツンデレか。
というか、今気付いたけどマリクの奴、リーシャのことリーシェって呼んでない?
……これ、もしかしてバグか?
とりあえず神様にメールしてみるか。あとついでにアレについても聞いとこう。
「おーう帰ったぜぇ」
「ったく、何故俺まで店仕舞い手伝わねぇといけねぇんだよ」
あ、ダンディとアニキが返って来た。
「僕ら、ダンディさんが庇ってくれたから助かったけど、ダンディさん死んじゃって……」
「惜しい人を無くしたわ。マリクが犠牲になればよかったのに」
二人はダンディ達が戻って来たのに気付いて軽く会釈した後、昨日のことを話しだした。
いや、ダンディの前でダンディ死んだとか言ってやらないで?
何か可哀想になってくるからさ。
「しっかし、あの武器屋のおっさん、俺に任せろってやって来た癖に役に立たなかったわね」
「だから、リーシェは僕が守るって言ってるだろ」
「貴方も役に立たないのよ。気付きなさいな」
容赦ねェよこの子。オリジナルリーシャは酷過ぎる。
「大丈夫、僕は守ってみせるよリーシ、シシシシシシシシシシ……」
おわっ!? なんかマリクが壊れたレコードみたいな声を出し始めたぞ!?
「シャ!」
シャって何さ!?
「じゃあ、その、ありがとうお兄さん」
リーシャとマリクからフレンド登録が来たので了承しておく。
既に、持ってるんだよなー二人のキャラクター。
「じゃあ帰ろうかリーシャ」
「ええ」
そしてリーシャとマリクが去っていく。
気のせいか、マリクがリーシェではなくリーシャと言い始めていたような。
つまり、神様、やっぱり今のバグだったのか。
というかマリクの台詞途中に直したから変な言葉になってたのかな?
宿屋を出てイリスの案内で2章1話で行くべき場所に向かう。
向う先は騎士団詰め所だそうだ。
……そう言えば、ここにもバグった奴が居たなぁ。
僕がガチャで当てた筈のシオ。レベルが低いしへっぽこだから別にいいっちゃいいんだけどさ……
オリジナルが戦闘中に死亡してコピーがオリジナルの代わりに役割を演じ出したのだ。
正直意味が分からないんだけど、そのまま今に至っているのでウチのメンバーからシオが抜けている状態になっている。
一応メールで連絡しといたから何かしらの手は打たれるかと思ったけど未だに治る気配が無い。結局どうなってんのか、全く音沙汰がない
本当に直す気あるのかね神様よ?
カララン、カラランと鐘の音が聞こえ出す。
騎士団詰め所に着いたと同時に中から慌てたように騎士団が吐き出され、シオやグラッツまでも全身完全装備で走りだす。
なにか、ヤバい事でも起こったのか?
僕らも向った方が良さそうだ、多分イベント発動してます。




