そのバグダメだろ運営さん
「うおおおおおおっ。アニキ――――ッ」
戦闘勝利の文字を見て、僕は思わず叫んでいた。
思いの丈をぶつけるようにルーカも叫ぶ。
戦闘が終了し戻ってくるメンバー。レゴウの猛攻を血を噴きながらも耐えきったブラッディレイブンに僕らは称賛の声援を送る。
「アニキッ」
「アニキッ」
「えーと、アニキ?」
僕、ルーカ、イリスの順に叫ぶ。僕とルーカがアニキコールを行い始め、ブラッディレイブンのアニキが少し恥ずかしそうに顔を赤らめ頭を掻く。
「あー、なんだ。あいつら逃げ切れたってことでいいんだよな?」
「勝利したのだ、それでよかろうなのだ。しかし、確かに良く耐えた。我が部下としても優秀だぞブラッディレイブン」
「オイコラ、リーハとかいう奴、テメーの部下にいつ俺がなったんだ?」
「クックック、主様のモノは我のモノ、我のモノは我のモノだ。つまり主様の部下になるということは同時に我が部下と言うことなのだ」
むちゃくちゃだよリーハさん。
まぁいい。これで9話クリア。見ろよ皆、あそこでレゴウさんが地団太踏んでやがる。
「どうやら10話でレゴウとのボス戦、それで第1章は終わりみたいだな」
「その通りよダイスケ。で、10話もさっさとやっちゃうの?」
「そうだな、行けるか皆?」
僕はメンバーに尋ねる。
皆それにこくりと頷いて見せた。全員やる気に満ちている。
「うむ。次は絶対に奴を殺すぞ」
「絶対に負けませんわ」
「神は見ています御使い様、必ずや天罰は下りましょう」
「ところでここはどこかいのぅ?」
「っし、俺も準備は完了だ」
全員やる気に……うん、満ち満ちてるよ、うん。どっかのおじいちゃんが変なこと言ってるけどどうでもいいよね?
「よし、第10話選択する。皆、全力でぶっ倒せ!」
10話を開始、皆が戦場へと向かう。
レゴウをここで永遠にぶっ殺す。
彼らならレベルも高くなってるしいける、そう思っていた。
「破絶之爪撃」
「主は来ませり」
「水弾三連」
「節々が、痛いんじゃぁ」
「オラオラァ、ボサッとしてっと轢いちまうぞオルァ!」
光の筋がレゴウを襲い、水の三段攻撃。バギーに乗ったアニキがレゴウを跳ね飛ばし、落ちて来たレゴウにリーハの爪攻撃が最大の6回決まった。
これだけでも充分大ダメージだ。……普通なら。
「馬鹿な!?」
僕は驚愕に目を見開く。
レゴウのHP、一ミリたりとも減ってません。
え、これ、どういうこと!?
「これは……」
「知っているのかルーカさん」
「多分だけど神様、9話のレゴウをそのままボスキャラとして10話で出してるわね」
え? 意味分かんない。どゆこと? 僕の聞き間違いかな?
「つまり、9話で無敵状態になったレゴウが使用されている、ということですね」
イリスの言葉でああなるほど、と頷く。って、ダメじゃん!?
目の前ではレゴウ無双が始まっていた。
リーハが死に、サクヤが死に、お爺ちゃんが自滅する。
「え? 何、つまりレゴウ倒せないの!?」
「はい、無敵状態です」
「神ェ――――ッ!!」
叫んだ僕の背後に、気配。
はっと気付いて背後に視線だけ向ける。
レゴウオリジナルが、そこに居た。
「これで、最後ォ」
あ、死んだわこれ……
……
…………
……………………
「勝てるかッ!!」
メイン画面に戻った僕は即座に叫ぶ。
とりあえず壊れたこけしの頭を手にして思い切り地面にぶつける。
「きゃー、こけちゃぁんっ!?」
くっそ、無駄に殺された。
「それじゃ、GM連絡しますね」
確かに、あれじゃ越せない。うん、レゴウ殺せないから進まないよね。けどね……
「まぁ、待てイリス」
僕の怒りは既にマックスです。
「ダイスケ?」
「コールはまだいい。まだやれることはあるガチャを引くぞ!!」
神よ、お前の挑戦は受けて立とう。最高の敵をありがとう。二度とレゴウなんざ出現させたくなくなるように徹底的に潰してやる。
まぁ、来ればいいんだけどな。
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「ひゃはははははは、次に殺されてぇ奴はどいつだぁぁぁぁぁ!?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Cだぁ」
「お、ダイスケ君じゃないか、よろしく頼む」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「ひゃはははははは、次に殺されてぇ奴はどいつだぁぁぁぁぁ!?」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
「余がハレン・チー王国の王である」
「おお? 召喚されちまっただか。オラァ村人Aだぁ」
相変わらず村人A率多いな。
新キャラは、あ、ヘイグルがいる。
あと毛がふっさふさしてるお爺さん、自称ハレンチ王だそうだ。




