説明を受けようチュートリアル編
とりあえず十人が出そろいました。
初ガチャで入手出来たキャラクターは、
村人Aが四人。村人Dが一人。後は一人づつ、毒舌少女リーシャ、へっぽこシオ。病弱老人ケンウッド。快楽殺人者レゴウ、そして魔王グレヴィウスリーハ。
うん、色々言いたいことがある。
隣のルーカに抗議の視線を向ける。ルーカは居づらそうに瞳を逸らした。
「ルーカさんや……」
「な、何でしょう?」
「まず、同じ人が四人もいるんだけど」
「ガチャだからね。☆1キャラは何度も被るのは普通でしょ?」
成る程、ガチャだと確かに普通だ。最初の内は融合とかさせて強化させるんだけど流石に初っ端から四体も出られると全て破棄したくなるね。
だってこのガチャ、この世界の住民全員入ってんでしょ。なんでピンポイントに村人Aしか出て来ないんだ?
「リーシャちゃん、毒舌とか二つ名付いてるんだけど」
「二つ名はそのキャラ特有のものなのよ?」
「シオ、へっぽことか書かれてるんだけど?」
あの容姿でへっぽことか、詐欺だろ!? 絶対使える人材だって思ったのにっ。
しかも☆2だってよ。
快楽殺人者のレゴウの方が☆3で強いらしいんだよ。どうなってんの!?
「ま、まぁそんな人もいるよね」
「レゴウ、どう見ても仲間にしちゃダメな人物だよね?」
「な、仲間になったら私達に攻撃とか殺害とかはしてこないから。ほら、ご都合主義ご都合主義」
本当かよ? 僕はレゴウに視線を向ける。
「ひゃははははは。全部殺すぜ。壊して遊ぼうぜぇマスタァァァァ。仲間もマスタぁも鱠斬りだぁひゃははははは」
絶対ヤバいだろ。背中見せたら切り裂かれるっしょ。
視線で訴える。ルーカは視線を逸らした。
あ、これ絶対ヤバい奴だ。
「極めつけはさぁ、☆5。どう見ても魔王様、だよねぇ!?」
「魔王様だね。これから倒すべき最終目標が最初から仲間だよ、やったね!」
「やったね! じゃねぇよ!? 魔王だよ!? ラスボスだよ!? 最初に仲間になっちゃダメなやつでしょ!? 最終目標どうすんの!?」
「あ、大丈夫大丈夫。魔王自体は健在だよ。呼び出されたのはホラ、コピーみたいなもんだから」
つまり、この世界の住人であれば誰であれコピー品として複製されるのがガチャで出てくるメンバーだということである。
世界中の人がコピー品とはいえガチャで出てくるというのはちょっとどうかと思うけどな。
でもその中でも村人Aが多いよな。
やっぱり外れキャラだからかな?
「とりあえず村人Aを融合させて強化かな」
「え? そんなの出来るの?」
「え? それ聞くの僕の方なんだけど」
僕の言葉にルーカは小首を傾げる。
あれ? ダブったキャラって融合でスキルアップとかしないの?
「と、とりあえず今から出来ること説明するね。その後で考えてみよ?」
「まぁ、そうだな。じゃあ皆集まって、一先ず説明聞こう」
「ふっ。主様よ我は魔王であるぞ。説明など不要である」
いや聞こうか。流石に説明無しでこの世界調べるのは骨だぞ。
「まず、この初期画面ですが、これはプレイヤーであるダイスケが今いる場所が背景となります」
よくわからんけどとりあえずゲーム画面に映ってるのが僕が今見てる場所ってことでいいのかな?
「そしてですね、まずは左上から。こちらに描かれているのは日付です」
見上げた左上の辺りに変化する数字がある。多分日付の下にあるのは時間だろう。
今は9:43。何故日付も時間も日本表記なのかはツッコんじゃいけない所なのだろう。
「時間の下にあるのはダイスケの名前とレベルね。レベルが上がると特典があるよ」
「特典以外は?」
「……」
あ、また視線逸らしやがった!?
ということはレベル上げても意味は無いってことか。
「自分の名前から少し離れた右側にあるバーが行動力だよ。時間経過で回復します」
ソシャゲではよくある行動を行うと減る数値だな。棒グラフで現されているようだ。
一応数値でも見えるようで、15/15と書かれている。
ついでにさらに右側には金色の丸い、多分金貨かな? マークと0という数字。右端には期間限定クエストと書かれたボタンがあった。右下の端にはクエストと書かれた丸いボタン。多分メインクエストはここから行くようだ。
名前の下側には実績、プレゼント、フレンド、メニュー、お知らせのボタン。
左下に来ると、ショップ、編成、強化、ガチャ、なるほどソシャゲなら見たことのあるボタンが沢山だ。
とりあえずボタンに歩み寄り、背後に回って見る。
どうやら空中に浮かんでいるボタンのようで、背後や側面はそこらの岩と同様の材質に見えた。
これ、手抜きじゃないの?
「これ、空中に浮かんでんのな」
「神様の不思議パワーですね。ほら、舞台の裏側見なくていいので正面からボタン選んでください」
ツッコミ入れたい所は色々ある。
僕しか居ないのにフレンドってなんだよ。とか上のボタンはどうやって押すんだ。とか、そういう突っ込み所を総スルーして、僕は言われるままにボタンを押すことにした。とりあえず、実績かな。