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第8話のバグ、彼女が消えた日

 僕と神様は痛み分けになった。

 互いに舐め合うには深すぎる傷を背負ったために、お互い不干渉でいることを選択したのだ。

 やり場のない怒りは別の場所で発散せねばならないだろう。

 ただ、せめてお金を溜めるイベントが欲しいとだけは送っておいた。

 少し考えるってことだったので数日後には実装されるだろう。


 今日は7話を進めてしまおう。

 といってもこの話も街道を向う話だ。

 イリスの話じゃ10話が第一章の最後になるらしく、街に辿りついて落ち付く位がその話になるらしい。

 となると、次かその次に街に辿りつけると思われる。


 イリスの話だと話数をこなさないと次の街に辿りつくことなく永遠街道を彷徨ってしまうそうだ。

 MMOとかなら歩いて居れば次の街に行けるんだけど、ここはソシャゲ世界。

 いける状況になっていないと街が現れないのだそうだ。

 なんだその蜃気楼の街みたいな設定は? 失われた大陸か何かか?


 7話も街道に出た魔物退治、しかしレベルも上がっている今のメンバーなら充分対処可能だった。

 そもそもデイリーミッションの激戦を潜り抜けたリーハがいるのだ、半分以下のレベルの敵相手に遅れを取る訳が無い。

 邪魔する奴も居ないしね。


 そして8話。選択した瞬間少し遠くに城門が見えた。

 ついさっきまで見渡せる平原しかなかった筈なのに、目の前に突然街が現れたのである。

 思わず指差しながらルーカを見る。


「ああ、うん。言いたいことは分かるけどねー。仕様ですとしか」


 この世界、本当に謎が多過ぎる。バグなのか仕様なのかわからない、そこが問題だ。


「どうやらあそこに辿りつくと8話目に突入するようね」


「おっけー。んじゃこのまま進もう。戦闘班はいつでも闘えるように」


 僕の指示に頷くメンバー。

 僕は両隣りにリーシャとシオを引き連れ街門へと近づく、すると街門の近くで戦闘が始まった。

 金属音がして誰かが闘っているのが見える。


「どうやらアレの危機に気付いた私達が助っ人に入る、というのが今回の話のようです」


「イリスからの説明が無いと進められないとか、不親切設計だよな」


「サポートキャラの仕事の一つですから。あらルーカさん、何か?」


「いいぇー、なんでも」


 頬を膨らませむっとしているルーカ。

 どうやらサポートキャラなのに僕がイリスに聞いてばっかりだから拗ねているようだ。

 といってもさ、普通にイリスの方が頼りになるんだよ。

 たまにルーカに振ってもそのくらい自分で考えなさいよとかいう台詞しか返って来ないし、サポート舐めてるだろアイツ。


 黙って愛想振りまくだけのマスコットキャラでいいんじゃないかと思うよ、サポーターとしてはルーカ役に立たないし。

 イリスさん頼りにしてます。

 街に付いたらイリスが欲しい奴何か買ってあげよう。


「すいません、助太刀します」


 イベントは協力、ということだったので助太刀に向かう。

 闘っていたのはむっさい男三人と敵対している華奢な女性。

 男達はぼろい防具を身につけているし、悪人面だからこっちが敵だろ。

 女性は黒髪のクール美女……って、あれ?


 僕は思わず隣を見る。

 闘っている女性と同じ女性が隣に居た。

 シオである。


「アレがオリジナルシオか」


「わ、私のオリジナルですか」


「冒険者か、助かる」


 どうやら彼女を助けるのであってるらしい。

 戦闘班が配置に付く。

 嫌な予感を覚えつつも戦闘開始。


「せぇっ」


 最初の一太刀。オリジナルシオ、略してオリシオによる攻撃がスカり、真後ろに居たお爺ちゃんを直撃する。


「どうやら、お迎えがきたようじゃ……」


 おじいちゃーん!? へっぽこというか天然味方殺しスキルはオリジナルも健在らしい。

 ケンウッドは開始3秒にも満たない時間に死亡してしまった。

 これは、マズい、時間をかければ仲間が殺されるッ。


「リーハ、サクヤ、レスティス、短期決戦だ! スキルを迷うなっ」


 必死に叫ぶ。

 皆了解と気合を入れ直す。


「火炎ブレスだ」


 リーハの口から炎が吐き出される。

 当然ながらレベル差の御蔭で一撃必殺。

 盗賊と思しき存在三体を一瞬で消し済みに変える。

 WAVE移行。再び現れる三匹。


「主は来ませり」

「水神破砕線」


 レスティスとサクヤの攻撃が第二部隊を削り切る。

 FINALWAVEに突入したようだ。

 ただ、スキルを全て使ってしまっているので通常攻撃なってしまう。


 補助スキルは使えるけど意味は無いしなぁ。今回は全員攻撃で力押しするのが正解だろう。

 そんな思いが功を奏した。

 ただ、最終WAVEでオリシオが自滅して死んでいた。


「よし、終わったな」


「すまない、危ないところを助けられた」


 !!?

 あれ? え? どういうこと?

 突然隣から声が聞こえて振り向けば、隣に居たシオが何故か真剣な目で僕を見て来る。


「良ければこれから街に戻るつもりだ、君達も来ないか?」


 待って、ねぇ、待って。あんたオリジナルじゃないよね、コピーのシオだよね? え? なんでオリジナルみたいな口調で案内しようとしているの? 僕側のシオどこ行った!?

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