ソシャゲ世界よ私は帰って来た!
バグが一通り取り除けたってことで、僕らはSAN値直送ルルイエ急便さんに送って貰いソシャゲ世界へと舞い戻った。
結局駄女神の世界とやらは一瞬しかいなかったな。
魔神さんが迷惑掛けなかったから問題は無いけど、もうちょっと別世界を探索して見たかった気もする。
ソシャゲ世界は既に解放されていたようで、始まりの街に降り立つと同時に魔神美味しいさんが笑顔で出迎えて来た。
他の神々も少しずつだけどアバター使ってプレイヤーとしてやって来ているようだ。
何人か聞いたことのある名前の神々もプレイしていて、挨拶された。
ザレクさんとか、ミルカさんとかアルテさんとか、メンテナンス手伝いながら世界探索もするんだと。
あと駄女神と共にセフィーリアが二人もいて、三人でバグ探し旅をするそうだ。
セフィーリアに挟まれたニート生活始めてそうなメガネ女がくたびれた顔で連行されていた。
アレが、駄女神のアバターか。駄女神感が凄い容姿だ。
「やはりここに居たかダイスケ!」
「え?」
始まりの街でログインして来る神々を見ていた僕等の元へと近づいてくる一団。
誰だ? と見てみれば、シュヴァイツァーを代表に、死んだ筈の仲間たちがぞろぞろと近づいて来ていた。
「あ、アニキーっ!!」
ブラッディレイブンを見付けたルーカがアニキの胸に飛び込むように飛翔していく。
「皆!? どうして!? 崩壊に巻き込まれた筈じゃ……」
―― やぁダイスケ君。驚いてくれたかな ――
ホイホイ君?
―― グーレイさんがバックアップを取っていてくれたからさ、そこに存在していた彼らに記憶だけ移植したんだ。ちゃんと全員君の仲間として登録されていたキャラだよ。バックアップ後に仲間になってたキャラで死んでたキャラにも記憶は移してあるよ。死んだキャラは特別に既に仲間になった状態にしといたよ。記憶だけでもサルベージするの大変だったけどね ――
じゃあ、彼らはバックアップキャラだけど僕と過ごしていた記憶があるってことか。
ウッディたちが雪達磨を抱えている。
動くよ雪だるまには感謝しなきゃな。彼の御蔭でコピーパルマは死ななくて済んだわけだし。
「皆無事、といっていいのか分からないけど、お帰り」
「死んだ筈だったんだがなぁ、蘇ってしまったわ」
はっはっはと笑うシュヴァイツァー。
この人大統領だったっけ? そのせいか豪快な上に威厳があるんだよなぁ。
「なかなか稀有な体験しちまったな」
涙するルーカに抱き付かれたまま、アニキがやってくる。
確かに世界崩壊に巻き込まれて意識飲まれてからのサルベージ、なかなか体験できるもんじゃない。やりたくないけど。
でも、それが出来るんなら僕が巻き込まれても……いや、彼らはこの世界で作成されたデータだから復旧させられたけれど、僕はどうだろう? 魂は地球製、果たして崩壊世界に巻き込まれていたらサルベージなど出来たのかどうか。
「全く、突然いなくなったから探したぞダイスケ」
「え? あ、ごめ……ん?」
リーハの声が聞こえたので振り向く。そこにはリーハ、シークレット、サシャ、サシャ、セフィーリアが待っていた。
……ん?
僕は背後を振り向く。
リーハ、シークレット、サシャ、サシャ、パルマ、ヘルファータが魔神美味しいさんと談笑している。
……んん?
前をもう一度見る。
リーハたちがいらっしゃる。
背後を見る。リーハたちがいらっしゃる。
とりあえず頬をつねる。痛い。
「神ぃぃぃぃぃぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
ソシャゲ世界の中心で、僕は絶叫するのだった。
何が起こったか?
それは簡単だ。だって、グーレイさんがいた時点でバックアップ取ってた、オリジナルキャラは全員そこに仲間として存在している。そう、魔王様やシークレットも。
そこに、異世界に逃げ込んでいたリーハやシークレットが戻ってくる。
キャラ、被る。
結果、サシャが二人から四人に増えた。他の女性陣も二人に増えた。それだけのことである。
やりやがったなホイホイ君、最後の最後でなんつー爆弾放り込んでくれやがった!?
どうすんだよこれ!?
「なんだ貴様は? コピーではないな?」
「我は魔王だ。貴様こそ何者だ?」
リーハとリーハ、当然ながら二人ともオリジナルな魔王がガン付けを始める。
サシャ四人もなんでー? と互いに見あって楽しそうにしている。
シークレットは二人してあらあらうふふと笑い合う。
いいんだ。彼女達は別にいいんだ。
コピーセフィーリア、また増えちゃってるじゃん。
僕はセフィーリアさんに他のセフィーリアがいるから現状聞いといて、と送り出す。もうこの人とはできるだけ関わりたくありません。駄女神に押しつけよう。
あとホイホイ君、セフィーリアがそっち行くかもだけど、僕のせいじゃないからね。