直視注意!
異世界のシークレット達が待つ場所へ、僕たちは舞い戻る。
正気度を削ってしまう神様ではあるが、移動手段に使われてるのがなんとも可哀想に思う。
と、思ったんだけど最近はなんか商売にしてるらしい。僕らは下位世界の人種なので無料で移動してくれるそうだ。
なのでギルガとピエロはしっかりとお金と思しき何かを毟り取られていた。
最初こそ嫌がってたけどセフィーリアの元に直送するよ? と脅しを掛けられしぶしぶ支払っている感じだ。
多分支払ったところでその内セフィーリアさん来るぞ?
「ダイスケさんっ」
「シークレット!」
僕が海魔神から降りると、ずっと待ってくれていたシークレットが駆け寄ってくる。
ぐお!? な、なんて弾力……
思い余って抱きついて来たシークレットを受け止める。
が、受け止めきれずにそのまま後ろに倒れる僕。締まらないのは草食系男子だからってことで許してくれ。
丁度後ろに海魔神がいたままだったので背中に物凄い弾力が、ひぃぃ、天国と地獄がいっぺんに!?
「「ダイスケお兄ちゃーん」」
思わず抱きついてしまったことに気付いたシークレットが慌てて飛び退いた瞬間、僕のお腹めがけて飛び込むサシャ二人。ぐほぅっ!?
「こ、こら二人ともっ」
「「きゃははははっ」」
わざとか、わざと腹に頭突きで突っ込んだな二人とも。
内容物が飛び出るかと思ったわっ。
「……お帰り」
ヘルファータはちゃんとお留守番してたみたいだな。
僕はヘルファータの頭をなでながら立ち上がる。
「あ、あの……」
恐る恐る近づいてくるのはパルマ。
彼女は偽ダイスケのせいでまた絶望体質に戻りそうになってるから自分から近づいて来ようとはまずしない。だから、僕は両手を開く。
戸惑いながらも胸に飛び込んでくるパルマ。
やっぱり受け止めきれずにぶにょんと海魔神様の身体に背中を打ちつける。
うん、もうちょっと女性の突進受け止められる程度の筋力は欲しいなぁ……
「それで、どうなったんですリーハさん?」
「うむ。そこに居るのがギルガだ。首謀者かと思ったが真犯人ではなかった。真犯人は今セフィーリアたちが折檻中だ」
「な、成る程。じゃあ、もう問題は解決、なんですね?」
「その筈だ。後はバグ取りを行ってソシャゲ世界とやらを復活させるだけのようだな」
「ふん、我は暇だぞ、折角の暇潰しも直ぐに終わってしまったしな」
ダメだこの魔神。放っておいたら何かこの世界の人に迷惑掛けそうだ。
「あの、海魔神様」
小声で海魔神に問題提起。
「何かな?」
「あの魔神、大人しくさせる方法ないっすかね? このままだとこの世界の人に迷惑掛かりそうって言うか……」
「ああ、うってつけの居るから神ったーで連絡とるよ。ほい、直ぐ来るって」
「来ちゃった♪」
早ぇよ!? 今打ったばっかじゃん!?
やってきたのは魔神美味しいさん。アバター姿の綺麗なお姉さん。
彼女は来るや否や、飛び出さんばかりの魔神の背後に向かうと、ちょいちょいっとわき腹を突く。
背丈の関係上肩ではなくわき腹が丁度突きやすい位置なのだ。
多分他意は無かったと思う。
でも丁度敏感な部分だったようで魔神エンドレスがおふっと変な声だして悶えていた。
「何をするか貴様!?」
「んー、いい肉付き。素敵な魔神だわ。ねぇ、ダ・イ・ス・ケくぅん」
「へ? は、はい、なんでしょう!?」
なんか魅惑的な顔で僕の名を呼ぶ魔神大好きさん。ちょっとイケナイ雰囲気を纏った姿にちょっと期待値が膨らんでしまう。
「この魔神、食べてもいぃい? お・い・し・そ・お」
「え? あ、え?」
「いいよね? いいよねぇ。食べてもいいよね。美味しく食べていいんだよね、ねぇ!」
ちょ、え? 何あの人、何言って……ぎゃああああああああああああ!?
それはあまりにも凄惨だった。
ばくりと人型だったモノが開き、魔神エンドレスに覆い被さる。
さ、SAN値が、正気度ががががががが!?
「あー、確かにアレは人にはきついよね、はい見ない見なーい」
海魔の触手で強制的にクルクル回され海魔の身体に顔面からうずまる。
ぶぇっと今顔にぐにゅっとぬめっと。
「な、何すんですか?」
「ああ、うん、ショッキングな捕食シーンは終わったからもういいよ?」
「え?」
はっと振り向けば、幾分お腹をぽっこりさせた綺麗なお姉さんがこちらに満足げな笑みを向けて微笑んでいた。
あれ? 魔神エンドレスは?
「げぇっぷ。ふぅ、いやー、満足満足。では私はこれで。ソシャゲ世界でまた会おうねダイスケ君」
そして魔神美味しいさんは陽気に鼻歌歌いながら神界へと戻って行った。
えーっと、あの、海魔神さん。エンドレス何処行ったか知らない?
その後、エンドレスを見たものは、誰も居なかった……