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真の犯人

「あら? ホイホイ君、ちょっと」


 ミルカが弄っていたパソコンに違和感を覚え、ホイホイ君を呼ぶ。

 なんです? とホイホイ君がやってくると。画面を見せる。


「グーレイさんが残してたバックアップと比較しながら何処にウイルス仕掛けられてるかと調べてたんだけどね、これ見て」


「これは? イベント……ですかね? 私が作った奴ではないですが」


 それはプレイヤーが強制退去した時に内部のキャラたちがプレイヤーについて忘れるというギミックだった。


「ああそれ? ホイホイ君が寝てる時あったっしょ。そん時作ったのよ」


「つまり、パルマの親と兄たちを皆殺しにした城内消失事件な」


「うぐ、藪蛇……と、とにかく、ほら、その当時はダイスケ君と仲いいキャラが異世界に行くとか考えてもなかったっしょ、だからさ、ダイスケ君がいなくなった時に世界のオリキャラたちが失意に暮れないようにダイスケ君がこの世界から移動すると皆からダイスケ君の記憶が消えるようにするプログラムを、ね?」


 作って世界の端の方に埋め込んでいたらしい。


「ミルカさん、それがどうしたの?」


「ああ、うん。その……世界崩壊の起点、ここみたい」


 ……

 ミルカとホイホイ君が駄女神に視線を向ける。


「え? 何、どうしたの?」


『ホイホイ君ホイホイ君、応答願いますっ』


「え? ダイスケ君?」


 唐突にテレビ電話のように画面が開きダイスケ君の顔が神パソに表示される。


『あ、マジで繋がった』


『言っただろ、僕のアカウントでホイホイ君相互フォローしてるから話は出来るって』


 ダイスケの後ろに見覚えのない存在。駄女神を彼を見てギルガ!? と驚いた顔をする。


「ダイスケ君、何があったの? そいつは?」


『こっちはセフィーリアたちが暴走してギルガ討伐に連行されたんだ。でもさ、なんか僕の偽物送ったのは認めたけどギルガさん世界バグらせたりしてないって』


「え?」


『いや、俺も流石に命狙われるとは思ってなかったよ。でもこれは本当だからな。ちゃんと開始地点とか調べろよ、怪しい奴他に居るんじゃないのか?』


『そう言う訳でさ、セフィーリアさんたちが真犯人の元へ行くって、これから向かうんでよろしく』


 連絡が途切れた。

 ホイホイ君達はむぅっと唸る。


「どう、思う?」


「うん、多分だけど理解出来たよ。私のソシャゲ世界、その崩壊を行った犯人は、この中に居る」


 その瞬間、その場に居たメンバーは一斉にホイホイ君に顔を向けた。

 まさか、という思いと、自分は違う。そんな思いを込めた目だ。


「そいつはね、私が力尽きた時、私の代わりにバグ取りをしてくれたんだ。普通にバグ取りしてくれるだけなら問題なかったでも、悪ノリをした。ダイスケ君がこの世界から移動すると皆からダイスケ君の記憶が消えるようにするプログラムを気を利かせて世界に作ったんだ」


 そう、本人はただ気を利かせたつもりだった。


「でも、その後にいろいろとあったせいで他のメンバーに伝えるのを忘れてしまったんだろう、そのまま誰も知らない爆弾になってしまった」


 そのままならば、不発弾。あるいは普通に皆の記憶が消えるだけ、になるはずだった。


「問題が起こった。ギルガによって偽のダイスケ君が現れダイスケ君のアカウントを奪ってしまったんだ。私達はこいつからアカウントをはぎ取りダイスケ君に戻し、そして偽ダイスケ君を異世界に送り届けた。そしてここで、不発弾が爆発した」


 本来ならダイスケと過ごした日々だけを世界中のキャラが忘れる。それだけの爆弾だった。

 確かにダイスケがそのままこの世界に戻ってきた場合は哀しい結末になるが、二度と会えない異世界に向かってしまったダイスケを待ち続けるよりはマシだ、そういう神の気まぐれ、それは、偽物のダイスケが異世界に旅立ったことでダイスケがいなくなったと発動してしまったのだ。


 だが、ここで問題が起こった。

 居なくなったはずのダイスケが世界に存在していたのだ。ダイスケが異世界に旅立った筈なのにこの世界に居るままになっている。

 そして、プログラムは誤作動を起こした。文字通り、バグったのだ。


「これが、世界崩壊の真相だ。つまり、世界崩壊させた真犯人はギルガじゃなく……」


 ホイホイ君はゆっくりと触手を持ち上げ、その人物を指し示す。


「犯人はお前だ、駄女神マロンッ!!」


「な、なん」

「だ」

「って」

「ぇぇぇぇぇぇ!?」


 ミルカ、アルテ、モルグ、ザレクといった面々が驚きを露わにする。

 後ろによろめくのは駄女神。驚愕に目を見開く。


「ま、待って、え? マジ?」


「正直信じたくなかった。でも、証拠が全て、お前を指し示してるんだよッ」


「あ、ああ。し、知らなかった。知らなかったのよぉっ」


 泣き崩れるマロン。

 それはきっと哀しい事件になる筈だった。

 仲間内だけで終わっていれば、次からは気を付けるように、そう告げるだけで良かったのだ。


 びきり、空間が裂ける。

 正気度をごっそり削るような邪神に乗って、神殺しの戦乙女たちが現れる。

 あ、駄女神死んだわ。神々はそう、思ったそうな。

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