神との闘い
「ま、待て待て待て! 話し合おう、まずは話そう、話せば分かるッ!!」
「「問答無用!!」」
セフィーリアたちが酷過ぎる。
相手に話し合いの機会すら与えないのか。
銃弾が飛び交い、これ幸いと魔王が二回攻撃。相手が一人なので全体攻撃は無意味になっている。
「マジか!?」
「くらえっ!」
オリジナルのセフィーリアが手に持っていたピエロを思い切り投げ飛ばす。
思わず受け取ったギルガ、その背中にコピーセフィーリアがロケットランチャーを叩き込む。
ひゅるひゅると迫る一撃に顔を青くするギルガ。
ああ、爆音に負けないくらいの悲鳴が……
「まだ生きてるわ」
「しぶとい。ならば動かなくなるまで!」
「「殺し尽くす!!」」
軽く悪夢だわ。
二人のセフィーリアに襲いかかられるギルガ、必死に逃げようとするが、爆発の威力で倒れた体にはピエロさんが乗っかっているので上手く動けないでいる。
そうこうしているうちにセフィーリア二人が彼の元へと辿りつく。
「辞世の句は必要かしら?」
「ま、待ってくれ、俺には何が何だか、話を、話をさせてくれ、たのごぶぇっ」
容赦ねぇ!?
でも、なんだろう? 違和感が……
「折角だ、我も参戦するぞ!」
「負けていられるか、ブチ殺してくれるっ!!」
魔神とリーハが争うように走りだす。
が、そこでようやくギルガも動き出した。
ギルガから衝撃波が膨れ上がるようにして、周囲の生物を撥ね飛ばす。
セフィーリア二人が明後日の方向に吹き飛び、隠れ身で近づいていたらしいミケが僕に向かって飛んで来たので思わずキャッチ。
ごろごろごろっとリーハがその横を転がって行く。
魔神だけは一歩下がったものの、衝撃波に耐えきっていた。
「むぅぅ、なんという威力」
ネビロヌは? と周囲を見れば、海魔様の触手に捕らえられて爆風から身を守っていらっしゃった。
なんでそんな状態に?
「話そうって言ってるだろ、野蛮人共め!!」
「そうは言ってもねぇ、あんたがウイルス仕込まなきゃここまでのことになって無かったんだけど」
「あぁ? ウイルス? ダイスケならお前と同姓同名だからって理由でアカウントハックやりやすそうだったからやってみただけだよ。マロンへの挨拶みたいなもんさ」
違う、偽ダイスケはもういいんだ。
僕が言いたいのはその後だ!
「エンドレス、リーハ、ミケ、ネビロヌ、最終決戦だ!」
当然だ! と動き出す四人。セフィーリアたちも、そして海魔もまた動き出す。
しかし、まさか神様と闘うことになるなんてなぁ。まぁ僕自身は闘えるような存在じゃないからお任せするしかできないけどさ。
皆、頑張れ!
「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺!!」
「くたばれぃ、虹色星破壊光線」
ふと思ったんだけど魔王も魔神もディザスターなんだね。語呂が少ないと言うか。ホイホイ君の語彙力の無さが露呈してる気がする。
ネビロヌがバインドボイスで攻撃。
神の動きすらも止めるか、死霊のボス地味に強い。
「ええい、邪魔だァ!! 俺は今ダイスケと会話してる途中だっての!!」
おお、気合いと共にバインド状態を解いた!?
だが、そこに突撃するセフィーリア二人。ああ、盾にされたピエロさんが銃弾と踊っているっ!!
さらに海魔が触手を伸ばして捕縛しにくる。
ギルガは必死になってこの連撃を避けながら、少しずつ僕に向かって前進して来る。
ひえぇ。僕は関係ありませんよ!?
ダメージを受けつつも近づいてくるギルガ、逃げたいけど逃げ場がないのでどうしようもない。
もう一度衝撃波を放って全員を引き剥がしたギルガは、僕の前に来て告げた。
「どうなってる! 俺はダイスケを送っただけだぞ、それ以外の理由で襲われるいわれは無いっ」
「へ?」
え? ちょ、どういう?
「え? でも、世界崩壊のウイルス仕込んで……」
「なんだそりゃ? 流石の俺でも全神々敵に回すようなことはしねぇよ。つか俺だってホイホイ君のソシャゲ世界やるの楽しみにしてんだけど……」
「……は?」
「あ、ちなみに、俺のアカウント【日本大好き】な」
「お前日本大好きさんだったのか!」
驚き攻撃の手を止めたのは海魔さん。
って。ちょっと待って。今情報が一気に入って混乱し始めてるんだけど?
「え、と、じゃあ、ギルガさんは、その、ソシャゲ世界を崩壊させるウイルス作ってない?」
「おう、ダイスケは送ったぞ。悪戯のために」
それもそれで僕に迷惑だったけどもっ。でも、じゃあソシャゲ世界を崩壊させた犯人って……
「まぁ、なんとなくだけどわかったぜ」
「え?」
「全ての原因は大抵奴だ」
くっくと楽しげに笑うギルガ。
なんだろう、こう、嫌ぁーな予感がしてきたよ僕。