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神々の反撃

「ふぅ……」


 ダイスケたちの無事を確認し、ホイホイ君はようやく息を吐いた。

 自分と駄女神だけならまず間に合わなかった。

 助っ人に来てくれた神々を見回し、改めてお礼を告げる。


「んにゃー。ダイスケ君たちはなんとか救えたけどホイホイ君が作ったソシャゲ世界は完全崩壊、折角作ったのににゃぁ」


「仕方ないよ。駄女神が関わった時点でこうなるって分かってたし」


「なんだとぉ!?」


「まぁそれは仕方無いと諦めよ。それよりもソシャゲ世界を破壊した人物だ」


「ほぼ確定してんだけどねー。ギルガめ。この代償は高くつくわよ」


「あら? 何かメールが……」


 気付いたのはミルカ。パソコンをいじっていた彼女は直ぐに気付いてメールを開く。


 ―― セフィーリアです。ダイスケさんが無事だったので私は別行動で世界を破壊した神を討ちたく思います。つきましては神様方にそちらの世界に引き上げていただきたく…… ――


「うわーお」


 コピー体がギルガ殺害のためにこちらに来たいらしい。


「どうしたのミルカ?」


「駄女神、これ、ギルガ死んだんじゃない?」


「え? うわーお。来ちゃうのか」


「いや、こちらに連れて来なければ大丈夫じゃろ?」


 ザレクがそんな事を言う、が、そう告げた瞬間ダキュンと後頭部から額に向けて風穴を開けて倒れた。


「お、おじいちゃ……ぎゃぁーっ!?」


「面白い話をしてますね。私もそのふざけた神殺し、参加致しますよ。コピーさん、一緒に行きましょう」


「オリジナル来とるーっ!?」


 セフィーリアの出現に押し黙る神々。

 ピエロの服を着た神だったものを片手で引きずりながらやってきたその女性は、ミルカの元へ向うとメールを打ち込む。

 途中、意識を取り戻したピエロの頭にヘッドショットを決めて黙らせながら、コピーの自分に迎えに行きます、とメールを送ったのだった。


「な、なんでここに?」


「私のコピー体とやらが不正利用されているという情報を聞きましたので、そのような行為を行った神を殺しに……」


 ざっと神々は左右に別れるように逃げだし、ホイホイ君だけが取り残される。


「え? ちょっとま……」


「と、思ったのですが、状況を見た結果このピエロと同類のクサレ神がいらっしゃると知りました。SAN値直送ルルイエ急便さんに手伝って貰って拾ってきますね」


 あ、これ強制だ。

 神々は思わず納得する。

 嵐のように去っていく彼女を見送って、神々はほぅっと息を吐く。


「いやー、ダメだわ」


「ありゃヤバい。機嫌損ねちゃダメなやつだわ」


「儂らより下位次元の存在なんじゃがのぅ?」


「稀にいるのよああいうの。下手に遊ぼうと手を出すとこっちが滅ぼされちゃうイレギュラー。ギルガも手を出しちゃいけない時に出しちゃったわねー」


 しみじみと告げる駄女神。


「あ、そうだ。ホイホイ君、オリジナルのセフィーリアが殺しに来たらこいつが全ての元凶だってちゃんと伝えてあげなよ」


「うぉい待てっ、あちしは無実。無実ですよ。暗殺されるいわれはないのだよ!?」


「そりゃ無理じゃのー。おや? おいミルカよ、これ、グーレイ君のフォルダ見てみい」


「え? グーレイの?」


 ザレクに言われてミルカはグーレイと書かれたフォルダを調べる。

 そこにあったのは、一つのアプリ。

 バックアップと書かれたそれに、神々は思わず息を飲んだ。


「こ、これって、まさか……」


「いや、確証はないから期待しちゃダメよ。でも……」


「グーレイさん、まさか……」


 アプリの横に、メモ書きも残っていた、まずはそちらを開く。

 グーレイから、ホイホイ君へ当てられたメモ、そこに書かれていたのは……


「駄女神が関わってる以上何らかの状況でデータ全消しの可能性もあるから、とりあえずバックアップ取っといたよ。間違ってデータ飛んだら使ってくれ」


 グーレイが消える前のデータではある、だからバグも多い、また直しまくらないといけない。

 それでも、全てが消えた後よりは、充分に起死回生の一手が打てる隠し玉である。


「ぐ、グーレイさん……」


 転ばぬ先の杖。先手を打ってバックアップを取ってくれていたグーレイに涙ぐむホイホイ君。

 もう二度とソシャゲ世界を作れないと嘆きかけた彼には、まさに命の恩人とも呼べる存在だった。

 思わずその場で両手を合わせて祈りを捧げる。


「グーレイ神様、ありがとう」


「おい、神が神に祈っとるぞ?」


「よくあることでしょ。しっかし、これがあればソシャゲ世界の再誕が楽にできそうね。あとはウイルス除去が優先、か、折角のバックアップまで死なれると困るし」


「ウイルス除去ね。駄女神、しっかり手伝いなさいよ」


「うおーし、これなら充分、やってやんぜー。やるわよホイホイ君」


「わかった。皆、もう少しだけ手伝ってください」


 こうして、即席ソシャゲ世界再誕チームが結成されたのだった。

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