メンテ終了
偽ダイスケが消え去った。
ホイホイ君によると元の世界に強制送還するんだそうだ。
良かった。それと、ありがとう皆。
ホイホイ君達の呼びかけで集まったオリジナルキャラ達にお礼を告げて行く。
皆が帰るのを見ながら手を振る僕、なのだけど……
一人のオリジナルキャラが帰る気配を見せません。
あの、そろそろ帰ったらどうですかね、魔神さん。
エンドレスは何故かずっと僕の隣で腕組んで立ってます。
あの、魔神だよね? ラスボスの先に居る危険人物だよね?
なんかこのまま付いて来る気しかしないんだけども!?
「おい魔神よ。戦闘は終わったぞ」
「知っている。魔王こそ貴様の出番は終わっただろう」
親子にしか見えない魔神と魔王が睨み合う。
なんでこんなことに?
とりあえずオリジナルキャラは魔神残して元の場所に戻っていったし、近くの街に向かって宿で休もう。
近くの街こと始まりの村に戻ってくると、どうやらメンテナンス終了の報告で神々が再びログインして来たらしい。
ホイホイ君が言うには、神々はそのまま現界する訳ではなく、アバター、つまりこの世界用の肉体を作ってソレを操作しているようなものらしい。
倒されても魂的な物は無事なので直ぐ復活するし、不測の事態が起こっても肉体を捨てれば神々の世界に戻れるらしい。
なので緊急メンテナンスが起こって強制排除したとしても本体は全く無傷らしい。
僕や偽ダイスケと違ってね。
「お、ダイスケ君じゃん。どうなったのアイツ」
「あ、えーっと魔神美味しいさん、でしたっけ。なんとか勝ちました」
「おー、おめで」
そして、魔神美味しいさんが消失した。
「は?」
いや、彼女だけじゃない、さまざまな神々が唐突に消え去った。
……あれ? ホイホイ君、これ、メンテ入った?
「ふむ、突然プレイヤーどもが消えたな。またプレイヤーはそなただけのようだぞダイスケ」
「なんでだよっ!?」
何が起こった。ホイホイ君、駄女神っ、一体何があった!
急いでメールを打ち込む。
なんだ、本当に何が起こって……
「む?」
「どうした魔神!?」
「世界が、変だ」
どういうこっちゃ?
「ふむ? よくわからんが、いつも通りに見えるぞ? なぁイリスよ」
リーハに言われてイリスが書物から顔を上げる。
「いえ、確かに変ですね。何か今までと違う感じがします。今検索を掛けてますのでしばしお待ちを」
何、何か変なの?
「何と言っていいかわからんが、この世界の根本的な何かが今少しずつ変わっているような……」
なんだそれ?
……待てよ、このタイミングで異変ってことは、何だっけ、エドラゴのギルガ? そう、まだ大ボスが残ってた筈だ。僕じゃ手も足も出ないのでどうしようもないんだけど、ほら、あの駄女神の知り合いが。アイツが何かした、とか?
だったら僕にはどうにもできないぞ。
大丈夫なのか!?
と、とにかくいつでも逃げれるようにしないと、アニキ、シュヴァイツァー逃走準備!
リーハ、悪いけどまた第二形態よろしく!
「何が起こるのだ? まぁいい、お前は我に乗るんだぞ!」
何故かアニキのバギーやシュバイツァーに乗ることを禁止されてしまった。
シークレット、いいかな?
よし、とりあえずオリジナルキャラは全員どれかに、雪達磨はシュバイツァーのヘリに詰め込んどいて。他のメンバーはアニキのバギーに。
「「お兄ちゃん、一緒に乗る」」
そういえばサシャたち二人は結局イベント無かったな。
もしかしたら期間限定イベントみたいなので後々やるつもりだったのかな?
「あれ? ネビロス、そう言えばパルマは?」
「奴ならヘリに乗っていたぞ、お前に合わす顔がないそうだ」
ああ、そうか。彼女だけは……いや、何も言うまい。
今回僕と共にリーハの背中に乗って飛翔準備に入ったのはシークレット、セフィーリア、ネビロス、サシャ二人、ミケ、ヘルファータそしてエンドレス。
『おい、重いぞ!』
「む、重量オーバーか? ダイスケよ誰か降ろせ」
「何であんたまで乗ってんの!? 魔神だろッ!?」
「何を言う? 逃げるのだろう?」
あ、これ多分話し聞かないタイプだ。
「すまんリーハ。無理してくれ」
『嘘だろ……』
溜息を吐くリーハ。
にしても、準備は出来たけど、何が起こるんだ?
ルーカとイリスが僕の前に寄って来て座る。二人もリーハに乗るようだ。
ドラゴン形態のリーハが我魔王なのだけど、とちょっと泣きそうになっていた。
オリキャラは全員乗ったな。
それと……何が起こったか僕の目でもようやく分かっちゃったわ。
遠く、地平線のかなたでそれは起こっていた。
世界が黒くなっている。
「あれは……」
「ソシャゲ世界が……崩壊し始めてる!?」
ルーカの叫びに目を見開く。
え、ソレヤバくね?