辿った道は力となりて
喉元に嫌な感覚が生まれている。
付き付けられた刃に全身が硬直する。
視線だけを動かせば、僕に刃を当てているギドゥの姿。
なんで……こいつ、全然動く気配無かった奴なのに。
そもそも今まで姿見せなかったから死んだと思ってたのに。
どうして、偽ダイスケの命令に従って動いてんだよギドゥ!?
「すまないな、依頼だ。せめて一思いに終わらせる」
「ま、待てよ。プレイヤーを殺したって意味ないだろ?」
「いいやぁ? 意味はあるだろダイスケ君よぉ。テメェが死んでる間は指示ができねぇよなぁ。起きた時にはそこに居る最後の一人が死んじまった後だろうぜぇ」
偽ダイスケ!? お前、そんなことまでするのかよっ!?
「く、屑野郎ッ」
「なんとでも言いな! テメェは負けたんだよッ。終わりだバーカ」
げひゃひゃと笑う偽ダイスケ。
悔しいけど、畜生、何も手がない。
ヒタリと当てられた刃が首に食い込む。その、刹那。
ターンッと乾いた発砲音が一つ。
悔しくて唇を噛んでいた僕の喉元から、刃が消えた。
え? と驚きギドゥを見る。
こめかみから血を噴き出し、ギドゥが倒れる所だった。
「え?」
「はぁ?」
「おいおい、楽しい事をしてるじゃないかダイスケ。俺らも混ぜてくれよ」
そいつは、緑の身体にガンマン風の衣装を着て立っていた。
テンガロンハットに硝煙くすぶるハンドガンの銃口を付け、ふっとニヒルに笑みを浮かべる。
「さ……サボ?」
「助っ人が、いるんだろ? ちぃと遠すぎて遅れちまったがな」
サボだ、オリジナルの、サボが居る。
え? でも、こいつは仲間になって無かった。国王になって……
サボの後ろに居たのだろう。オリジナルパルマが顔をだす。
「神様から連絡受けたわ。この世界のオリジナルキャラ、その全てが貴方の味方よダイスケ」
この世界の、オリジナルキャラ、全て?
「おい、おい待て! 嘘だろ? はぁ? 何言ってんだテメェ? 全ての、オリジナルキャラ?」
「残念だったな偽モノ。俺達だけじゃない。これから続々集まってくるぜ、ダイスケを慕うオリキャラが。まだ見ぬオリキャラも、テメェを倒すために皆集って来てんだよ」
「ふ、ふざけんなッ! そんなの卑怯だぞッ!!」
「何言ってやがる? 戦闘方法は総当たり戦。ダイスケの味方であるオリジナルキャラを全滅させればテメェの勝利。そう納得したのはテメェだろうが!」
サボ、それ、いちゃもんの部類じゃ……いや、でも、確かにそうだ。
僕の味方のオリジナルキャラ、後から追加されるのはダメ、とは言われてない。
第一一度ストックに戻して順々に追加したのは偽ダイスケの方が先なのだ。
「雑魚ダイスケ、助っ人に来たわよ。まぁ闘えないんだけど」
オリジナルリーシャ代表で町人たちがぞろぞろとやってくる。
「おや、出遅れてしまいましたか。ダイスケ殿、助太刀に来ましたぞ」
空中から全裸男が現れた。
あいつは仲間にしたくなかったなぁ。
ついでに兵士さん達が変態追ってやってきた。
「ふん、仕方ないから来てやったぞダイスケ」
「私はセフィーリアさんに助けられましたからね、今度は私が助ける番です」
国王ガラムスとウーラさんも到着した。
軍隊と一緒に現れたのはグラスパー、バカダナー、マルサ。
国ごと助っ人に来たのかよ!?
「ムナゲスキー国王ならきっとこうするだろうと思って国中の猛者を集めて来たわダイスケ」
あんた誰!? なんか気持ち悪い男集団が現れた。
どう見てもハレンチな王国の住民だ。
「よぉダイスケ。あたしら呼ばないってのぁどういうつもり! 勇者ピン・チーとその仲間たちを忘れてんじゃないよッ」
勇者国からは勇者軍団。例え死んでも勇者国の教会に舞い戻って一時間後に復活して来るヤバい奴らが束になって現れた。
「陛下ヲ救ッテクレタカラナ、手伝ウ」
魔王城からも援軍が来た。
大小無数の魔物たちは殆ど見たことのない生物ばっかりである。お前ら初めて会ったんだけど、誰よ?
「護衛対象確認。これより警護を開始する。ダイスケ、手伝います」
シュゴーッと空中から降り立ったのはまさかのオリジナルナルタ。
ガションと地面に降りると僕に背を向け守りに入る。
畜生、なんだよ。遅いんだよお前らは。でも、でもありがとう。もうダメだって、僕、もうダメだって思ってたから……
「ふん、折角封印を解いて世界に出てみれば、我まで助成せよとはどういうことだ馬鹿神め」
そしてナルタの間横に落下して来る巨大な男。
3メートルはある大男は身体が鎧で出来ているなんか厳つい存在だった。
「えーと、あんたは?」
「魔神エンドレスだ。よく覚えておけ小僧。その内敵対するのだからな」
……魔神、来ちゃってるんですけど。
神様、これはさすがにチート過ぎませんか!?
―― 調子乗っちゃった。てへぺろ ――
駄女神ぃぃぃぃぃぃ―――――ッ!?