頼りのモノが消える時
ネビロヌのスキルにより召喚されたのは二体のゾンビ。
うん、流石に出現はしなかったか。ヘイグル君はもう居ないようだ。
ゾンビたちはゆらゆら揺れながら村人たちの元へ。
敵の村人に噛みつきゾンビ化させていく。
そうか、これはこれで使える。
ネビロヌが操れば敵だけをゾンビ化させられるぞ!
ホイホイ君が喜びそうだけどな。
「ネビロヌ、ゾンビ達に敵だけ襲うように指示を!」
「承知!」
ゾンビに指示が出されてゾンビパニックが始まった。
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「おいおい、こりゃどうなってやがる?」
突然現れたゾンビ二体が村人たちに噛みつきどんどん派生し始めている。
流石にこれはマズいと偽ダイスケは焦りつつも隣のイリスに尋ねる。
「何って、ネビロヌが居るからでしょ。あいつは死者を操れるの」
「マジか。面倒な……」
偽ダイスケは考える。
死霊を倒すなら丁度良い光属性が居た筈だ。
ならば致命的な状況になる前に次のターンで一気に殲滅させるべきだろう。
「救世主カミナだったな光属性のゾンビ特化は」
「その通りよ。でも必殺どうするの? ゲージを溜めないと」
そんなものアイテムを使えばすぐだ。
どうでもいいことだったのでイリスの言葉を無視してターンを終える。
2ターン目の攻撃はほぼ終わっているのだ。
リアルタイム戦闘といえどもターンは存在し、敵と味方全員の動きが終わってから次のターンに入る。
ゾンビ達の移動速度が遅いので、彼らの行動が最後になってしまうのだ。
面倒ではあるがゾンビパニックで増えて行くゾンビたちをしばし見守る。
全てのゾンビが動きを終えて3ターン目に入る。
即座にアイテムを使ってチャージを終え、指示を出す。
「必殺だ、レスティス、カミナ!」
「はい、必殺を……来ますッ」
「は?」
ネビロヌの必殺死に惑え愚か者どもが発動した。
直ぐにレスティスが魔法を唱え無敵化を行うが、死ななかったメンバーも直ぐ隣で起き上がったゾンビに噛みつかれ無敵のままゾンビ化する。
「マジか、ゾンビになると無敵状態でも貫通すんのかよ」
「ゾンビは状態異常としてカウントされるみたいですからね」
そう言って、カミナも必殺を発動する。
ゾンビ化した存在とネビロス向けて浄化の光が襲いかかった。
「ぐ、ぐあぁぁぁぁ!? おのれ、おのれぇぇぇぇ!!」
「ふん、幾らゾンビ化しようが光で浄化させちまえば終わりだろが」
ネビロヌの消滅を確認し、偽ダイスケは下卑た笑みを浮かべるのだった。
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やられた!?
カミナの全体スキルはゾンビ系に刺さる一撃だ。
ネビロヌすらも一撃で屠るとは思わなかった。
御蔭で戦術が一瞬で瓦解した。
でも大丈夫、ヘルファータのキャンディマジックによりネビロヌが復活。
そしてまたゾンビを……
……って、ヘルファータ!?
「あーら、ごめんあそばせ?」
テメェマルサ!? いつの間にっ!?
ヘルファータがスキルを使おうとした次の瞬間、その背後から首を掻き切ったのはコピーマルサ。
偽ダイスケが密かに隠ぺいスキルを使わせ近づけていたマルサがヘルファータを暗殺したのだった。
即座に気付いたリーハによりマルサを撃退するが、これで復活が出来なくなった。
それよりもなによりも、ヘルファータが死ぬ姿を見せられた方が辛い。
「ヘルファータ!?」
「ん……ごめん」
消えて行くヘルファータ。少し残念そうに、その言葉だけを残して居なくなった。
「クソッ」
「嘆いている暇は無いぞダイスケ!」
「分かってる、第二陣が来る、皆力を貸してくれ!!」
絶対に負けられない。
今居るメンバーを確認する。
☆2キャラ達の出現に対応できるのは誰だ?
前衛シンデル、ウッディ、ファラシオン。
中衛、ヘスティカーナ、リーハ、ヒーロー、サクヤ、サシャ、サシャ。
後衛にゲリンデル、シークレット、タダシ、村人、動くよ雪だるま。
遊撃部隊がセフィーリア、ミケ、トウドウ、アッキス、若ケンウッド、セルジュ。
ウッディたちが役に立つかどうかも分からないからサシャの全体必殺が一番か?
やっぱり開幕をスカされたのが痛い。
この面子だとやはり長期戦には向かないのだ。
相手の☆5はリーハ五体など面倒な相手が多い。
そこまで持つか?
このままで勝てるか?
いや、勝つしかない。勝つしかないんだ。
気楽に考えて勝てる奴じゃない。しっかりと考えて戦略を練って必死に抗うんだ。
皆を、絶対に守り切る為に。
皆を、絶対に取り戻すために。
負けてたまるかっ。