狙い外れる
「さぁ、2ターン目開始だなァ、オイ」
「くっ……」
「クク、どうしたァ? まるで狙いが外れた顔だなァ、アァ?」
さも楽しげに告げる偽ダイスケ。
悔しいがその通りだ。完全に予想が外れている。
だが、まだ1ターン目だ。落ち付け。落ち付け、とダイスケは自身に言い聞かせる。
しかし、1ターン目が終了したことでゲリンデルの開幕防御スキルが無くなってしまった。
盾に使えるのがシンデルくらいしかいない。
いや、あまり使ってないけどファラシオンやウッディもタンク役か? その無駄にむっちりした筋肉を見せつけてやれ!
村人A達が一斉に突撃を始める。
クレイズ君も結局強制参加で突撃して行った。
僕の傍に残るのは前衛シンデル、ウッディ、ファラシオン。
中衛、ヘスティカーナ、リーハ、ヒーロー、サクヤ、サシャ、サシャ。
後衛にゲリンデル、ヘルファータ、シークレット、ネビロヌ、タダシ、村人、動くよ雪だるま。
遊撃部隊がセフィーリア、ミケ、トウドウ、アッキス、若ケンウッド、セルジュ。
これが今居る僕の全戦力。
まずはセフィーリアが村人に紛れて特攻。
ケンウッドも同じく紛れて突撃だ。
セルジュも必死に追っているが村人に紛れるというよりは巻き込まれている感じがする。
アッキスは何処に行ったか分からない。
ミケもいつの間にか消えていた。
そしてトウドウ、敵のヒーロー君相手に恫喝を始めていた。
何してんだあんた!? ヒーロー君もなぜか謝りだしてるし、地上げしてる場合じゃないだろッ!?
あ、見ろ、温存していた戦闘メンバーが出て来たぞ。
リーシャ、マリク、マッスルマサール、バザール、盗賊頭兄貴分のブラッディレイブン、デーゴ、ザルー、ゲイバー店員ミキちゃん。
アニキ以外は全員☆1じゃないか。しかもレベルも1。
被ってるキャラも何人かいるぞ!?
クソ、これって絶対に遊ばれてるよな。
まぁいい、見下されていた方が逆転の目はある。
相手が戦力温存してるんだ。こっちだって温存を……
待て、開幕必殺使える奴が下がって後ろに誰か出て来た?
精霊ミゼラだ。
なんで……いや、そうか。後衛だから攻撃が全体じゃないとまず届かない。
雑魚だらけの中でアイツだけが遠距離全体攻撃を仕掛けてくる。
こっちのHPを削っていくつもりなんだ。
全体攻撃……サシャ、頼む!
僕はサシャに指示を送る。
おっけーっとサシャがスラッシュブラッド。
しかし、偽ダイスケもまた指示をだす、いや、アレは……アイテム!?
レスティスに必殺ゲージ回復アイテムを惜しげもなく与えて必殺を使わせる。
確率ではあるけれど無敵状態に入る敵チーム。
サシャの一撃を受けつつも数人の雑魚キャラが生き残ってしまう。
さらにアイテムを注ぎ込みミゼラの必殺。
「全身盾構え!」
シンデルが即座に盾を構え防御する。
必殺をくらいはしたけど彼以外にダメージは皆無だ。
彼のダメージはHPの半分喰らったけどまだ大丈夫。
「皆、大丈夫か!?」
「ぜんっぜん問題無いよ。でも無敵面倒」
雑魚いレベル1とはいえ束になられるとそれなりのダメージになる。
シンデルのHPが徐々に削れていく。
一番きつかったのはアニキの秘奥・白蓮爆砕撃。
即死こそなかったものの、連撃喰らってるシンデルみた時には流石に気が気じゃなかった。
味方も敵も見知った顔だけになんとも不安だ。
敵の攻撃を知っているからこそ、即死攻撃の恐怖にドキドキしてしまう。
「まだまだ村人共がいるぜぇ?」
「くっ」
まだ出てくるのか村人A。
流石に200体以上いるとなかなか面倒だ。
こっちも村人たちは居るけど大して役に立たないし。
それでも、皆一斉に立ち向かい村人同士の闘いが始まる。
クワとかスキを持って突撃する村人A、B、C、D、E。
村人同士の闘いとかちょっと一揆感が凄いんだけど。
ただし、無敵状態が居るせいでこちらの旗色が悪い。
あれ、何とか出来ないだろうか?
即死スキルくらいしかないか……ネビロヌ、必殺出来るか?
「良かろうダイスケよ。我が力の真髄を見せてやろう。だが、次のターンになるぞ」
「分かってる。問題は……次の相手の攻撃だな。出来るだけ多くの敵を巻き込みたい」
小声で伝える。
ネビロヌの必殺を使えばなんとかなるか? 死霊が大量に出回るだろうけど、そこは仕方無い。
死霊、といえばアイツを出せないだろうか?
「ネビロヌ。ここの近くの村にさ、ヘイグル君の墓があるんだけど、アレ再召喚とかできないかな?」
「やってみよう。だが既に倒したのでは?」
「それでもあいつなら出て来そうな気がするんだ」
「分かった。このターンで死霊召喚を行うとしよう。上手く出てくればいいが」
ネビロヌが召喚を始める。
さぁて、出て来てくれるかな。僕を攻撃するか、アカウントであるダイスケを攻撃するのかはちょっと不安だけど。