暴かれた手の内
あの野郎、シークレット見て言ったのか!?
クソ、絶対に負けられない。あんな奴に皆が虐げられる未来だけは見る訳にはいかない。
まずは相手の開幕必殺をシンデルが受ける。
ヘルファータがこれを蘇生させて、そこからが闘いだ。ゲリンデルを前面に押し出し1ターン目は相手の攻撃を防御出来る。
つまり、本格戦闘は1ターン目でどれだけ相手を削れるか。
そして1ターン目の相手攻撃をどれだけダメージ少なく凌げるか、ここが問題だろう。
そこからだ。
生き残ったメンバーでの闘いがこの勝敗を分ける。
絶対に、負けてたまるかッ。
皆、絶対に勝つぞ!!
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気合いを入れるダイスケ。その姿を見ながら、偽ダイスケと呼ばれているダイスケはニヤリと薄く笑みを浮かべていた。
確かにオリジナルキャラは脅威だろう。
ただし、それはスキル構成が全く分かっていないため対策が立てれないというだけのことだ。
偽ダイスケには分からない。そう思っているからこそダイスケはやる気満々なんだろう。
だが、彼は一つ見落としている。
彼の姿を、オリジナルキャラ達を間近で見続けていた存在が居たことに。
「教えろテメェら。オリジナルキャラのスキル構成。奴がやってくる予想出来る攻撃パターンって奴をよぉ」
「ええ、面倒なんだけど……」
即座に言葉を返して来たのはルーカ。
サポーターとしてあまりにも使えない存在だ。
こいつは使えないな。即座に判断を下した偽ダイスケはイリスに視線を向ける。
「まず敵メンバーですが、魔王グレヴィウスリーハ、シンデル、ゲリンデル、ヘルファータ、勇者ヒーロー、サクヤ、シークレット、サシャ、ヘスティカーナ、ネビロヌ、ミケ、トウドウ、ウッディ、ファラシオン、村人、アッキス、若ケンウッド、セルジュ、家族の勇者タダシ、クレイズ、動くよ雪だるま、そして村人Aが多数、ですね」
「数だけ揃えりゃいいとでも思ってんのかあいつは?」
どうでもいいと呟きながら敵の特性を教わっていく。
そして基本戦術。
開幕必殺をシンデルが全て受け止め、1ターン目の攻撃をゲリンデルが受け止める。おそらくシンデルはヘルファータの蘇生魔法で生還するだろうこと。イリスの的確な予想に偽ダイスケはあくどいニヤつきが止まらない。
相手の必勝の策を事前に知って対策する。
相手の悔しがる顔が目に浮かぶようだった。
問題は相手からの開幕必殺だ。
「確かアイテムに必殺ゲージ上げる奴があったな。レスティスに使って開幕同時に必殺で無敵状態にしておくか。ふふ、そぉだぁ」
にやり、笑みを浮かべた偽ダイスケ、必勝の策を思いついてしまい笑みが零れるのを止められなくなった。
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まずは開幕必殺合戦だ。
敵である偽ダイスケの持ちキャラにだってヒーローたちがいるので開幕必殺を使われてしまう。
ゆえにシンデルの伝説の英雄で相手の必殺全てを防御する。
逆に自分の開幕必殺は突き刺さるッ。
行け! ダイスケの思いを乗せた攻撃が……
「アイテム使用、ゲージポーション、開幕必殺ポーション。レスティス必殺使用」
冷静に、冷徹に、偽ダイスケは悪魔じみた笑みを張り付かせ厳かに告げた。
レスティスがその命令を実行し、神よ、奇跡をを発動。
数体の仲間に無敵が付与される。
「そぉら、行きな雑魚共」
そして村人A、B、C、D、Eたちが一斉に走り込んで来る。
他のキャラクターは開幕必殺が使えるキャラ以外姿すら見えない。
リーハ五体も居ない? どういう……まさか!?
開幕必殺が突き刺さる。
無敵が掛かっていない村人の殆どが魔王の一撃と勇者の一撃に沈んで行った。
これは……まさか!?
そして開幕必殺のお返し、全てを受け止めたシンデルが雪だるまに変化しながら力尽き元の身体に戻って遺体となった。
直ぐにヘルファータのキャンディマジックで蘇生させる。
けど、やられた。
ゲリンデルが代わりに前にでてくるが、1ターン目で攻撃して来るのは全て村人だ。
ケンウッドが虚空菩薩掌でコピーヒーローに攻撃するが、無敵化していたため無傷。
さらにセフィーリアの攻撃も村人の数体を撃破しようとして、無敵の村人たちにノ―ダメージを叩きだす。
嘘だろ。これ、ほぼ攻撃が防がれた!?
これ以上は無敵化しているから攻撃の無駄なので皆に攻撃を止めるように告げる。
1ターン目が終了してしまった。
結果は? 敵の損害は村人たち半数。
こちらの損害は確かにないが。これは想定以上に厳しい結果だ。
なぜだ? 僕の必勝の策が、まさか戦力温存してくるなんて想定外だ。初回で一気に潰そうと思ったのにッ。