表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

218/248

条件付き戦闘

「賭けをしようぜ偽ダイスケ」


「あぁ?」


 ガラの悪い返答に萎えそうになる。

 あまりオラオラ系の人とは話したくないんだよなぁ。

 声がデカいし、敵意満々だし、思わず委縮してしまいそうになるんだもん。


 でも、今回ばかりはそうも言っていられない。

 こいつを屈服させてアカウントを取り戻さないとね。

 一生に一度の大勝負なのだ。決して負ける訳には行かない。


「僕が勝ったら、君が奪ったアカウントを返して貰う。僕が負けたらここにいるオリジナルキャラ全てを君に捧げる」


「ほぅ。だがよぉ、そりゃつまり魔王倒せたからって調子に乗ったってことかぁ?」


「戦闘方法は総力戦。全ての味方キャラクターが全滅した方の負けだ」


「は?」


 想定外だったのだろう。一瞬ぽかんとした顔をした後、面白そうにげらげらと笑いだした。


「バッカじゃねーの? おまえ、総力戦とか自分の持ちキャラ覚えてねーのかよ。そんなの俺の勝ちに決まってんじゃねーか」


 ―― もしも受けるのなら神の契約をして貰うよ。勝敗に関係なく契約は確実に履行される、受けるかい、偽ダイスケ君 ――


「チッ、神までかよ、なんだぁ、俺を罠に嵌めようって魂胆か?」


 ―― 戦闘自体に不正はないよ。君の神がちょっかいを掛けなければね。そして契約はダイスケ君が負けたとしても確実に履行される。それが神の契約だ。どうする? ――


 ふむ、と偽ダイスケは唸りながらダイスケの傍に陣取るキャラクター達を見る。

 シンデルはこっちには居ない新キャラだ。どうもオリジナルキャラというらしい。

 オリジナルキャラはコピーと違い、ダイスケ個人を識別できたようで、アカウントを奪っても手に入れられなかったようだ。


 だが、そんなオリジナルキャラすらも支配下に置ける。これは確かに魅力的だ。

 ならば戦力差は?

 総力戦となればガチャ被りが沢山いる自分は有利だ。

 相手はオリジナルキャラの少数精鋭。

 総合的に考えれば自分の勝利は確実である。


「いいぜぇ、その闘いでお前の全てを奪い取ってやる。こんなふうになぁ!」


 背中に居たパルマの顔を強引に自分に引き寄せ、その唇を奪い去る。

 絶句する僕にニヤリと笑みを浮かべ、偽ダイスケは嘲笑う。


「何だオマエ? 気付いてなかったのか? 現実世界なんだぜ? やろうと思えば自分をご主人様と慕う奴らだ、幾らでも楽しめるだろォが!」


「この、ゲス野郎ッ」


「ハハ、まぁ流石に他人の女共だしなぁ、ゆっくり楽しもうと思ってただけにまだこのパルマっつー奴しか遊んでねぇけどな。魔王共は無駄に身持ちが堅ぇせいで下手に遊べねェのが面倒だよな。無理矢理しようとすりゃ攻撃で殺されるしよぉ」


 ダメだ。早急にこいつを倒さないと。

 パルマ以外にも犠牲者が出てしまう。


「んじゃあ今ここで開始と行こうじゃねぇか!」


 ここで? まだ皆村にいるままだ。準備はしてるけどこれじゃ……


 ―― 既に場所は伝えてる。すぐに来るよダイスケ君。ただ、それまではなんとか持たせてくれ ――


 時間差で皆が現れるってことか。出来るだけ会話で長引かせたいが、できるだろうか?

 ここで敗北とか普通に笑えないからな。

 皆、なんとか耐えてくれよ?


「どうしたぁ? ここでやるのは都合が悪いか? こぉんな何もねぇだだっ広い場所はお気に召しませんかぁ? あひゃはははっ」


 別に場所に付いてはどうでもいいんだ。

 味方の到着時間が惜しいんだよ。

 後少しの時間稼ぎだ。今は臥薪嘗胆、アイツの悪口を受け止めつつも苦々しい演技をやるしかない。


「そぉら始めようぜ? 全員でいいんだよなぁ?」


 あいつの持つキャラクターたちは全て僕が手に入れたキャラクターだ。

 魔王四天王もいるし、勇者ヒーロー君もいる。

 開幕必殺でおそらくシンデルが死んでる状態になるから他のメンバーでなんとかしなきゃいけない。

 でも、出来るのか?


 ―― 到着までもう少しよダイスケ君。まずは前口上で契約を行いましょ ――


「分かったよ。今、ここで総力戦を行おう。だけど、その前に神の契約を行って貰うぞ」


「ああ、いいぜぇ。俺、はこの総力戦に勝ったらテメーの持っているオリジナルキャラ全員を支配下に収める」


「僕がこの総力戦に勝ったら僕から奪った全てのモノを返して貰う」


「「神の契約を行う」」


 ホイホイ君が出した契約の宣言を二人で告げる。

 契約がなされたのか僕と偽ダイスケが光り輝く。左腕になんか光の輪がくっついて来た。


 ―― 契約はなされた。ああ、それから偽ダイスケ君、君が負けたら君を送り込んだ神様の名前も教えて貰うよ ――


「は、構わねぇよ。それよりよぉ、折角奪える訳じゃん、手に入れたオリジナルキャラ? アイツの目の前で凌辱しても構わねぇよな」


「なっ!?」


 ようやくやってきた僕の仲間たちを見て、偽ダイスケが舌舐めずり、その視線の先には、シークレットがいた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ