サポートキャラが役目放棄して出て行ったんだがどうしたらいい?
「なぁ皆、ルーカどこ行ったか知らないか?」
僕は皆を見回しながら聞いてみる。
「知らんな? そこいらの叢で踏ん張ってるだけではないか?」
「女の子の癖に野××とか最悪ね」
「リーシャさん、女の子がそんな事を言ってはいけませんわ」
リーハのどうでも良さそうな言葉にリーシャが反応。それをサクヤが嗜める。
「節々が、痛いんじゃぁ……」
「もしも彼女が私達に必要なのであれば、神が導いて下さいましょう」
「おう、嬢ちゃんならさっき向こうの方飛んでってたぞ」
ケンウッドはその内勝手に死ぬんじゃないだろうか? HP減ってないよな?
そしてレスティスはその内縁が会ったらまた会うってことらしく、縁がなかったら野たれ死んでても仕方ないよね? ってことらしい。鬼か!?
まともに返してくれたのが武器屋の親父ダンディだけとか。
村人共も、おら知らねぇだと口を揃えて言う喧しさ。
揃いも揃って役に立たん。
とりあえずルーカが欲しで居るだろうこけしでも買って迎えに行くか。
「あら、ダイスケ、あんなのの為に大枚はたくのね」
「まぁ、一応サポートされてるからな。喧しいけどほら、ムードメイカーって奴だよ」
「なるほど。仕方ありませんね。余計な出費ですけど」
「まぁ、そうなんだがな」
イリスと会話しながらショップを開く。
えーっとこけしこけし……は? 金貨10700!? 高過ぎだろ!?
「これは、想定以上の無駄遣いね」
「そんなこけしを二個目購入……か」
金貨は殆ど入って来ないのに、どうすんだコレ。アイツマジ最悪だよ。
「デイリーミッションに金貨の奴あったでしょ、あそこを周回するしかないわね」
「レベル60位あれば一気に溜まるのになぁ」
イリス共々溜息を吐き出す。
痛い出費だ。これを強化の種に使えれば16レベル分は増加させられただろうに。
「というか、そこまでしてこれを買う必要があるのか主様?」
「うん、まぁ僕も買う必要無いかなぁって思えてる」
ほんと、なんでこんなモノ欲しがるんだろうあいつは?
無駄だよなぁと思いつつも仕方なく購入。ほんと、コレで機嫌直さないようだとアイツはもうダメだと思う。
そもそもがサポーターなくせに僕の金貨使って趣味の物品買うとかその時点でダメだろう。
怒鳴り散らすような人柄じゃない僕のこと、もっと優しくしてくれてもいいと思うんだ。そこんところどう思うイリスさん?
「サポーターとしてはあいつ屑ですね。そしてダイスケを癒すのはサポーターとしての責務ではありません」
はい、ですよねー。ただただサポートしかしてくれないイリスさん。癒されない僕の思いはガチャキャラの誰かにお願いしよう。サクヤさんいかがすか?
「膝枕致しましょうか?」
「やめとけ変温生物。ひんやりしていて夏場以外はあまりお勧めせんぞ」
「何ですって破廉恥大魔王ッ」
「っ!? 言うに事欠いて貴様はッ」
ああ、またこの二人は……
サクヤとリーハがまた争いだしたので皆放置することにした。
さて、ほんと手痛い出費しちゃったけど、肝心のルーカがどこ行ったのか分からないぞ。
アイツどこほっつき歩いてんだ?
「はぁ、その内戻ってくりゃいいけど……」
「他に何処に行くというの? サポートキャラなんだからその内戻ってくるでしょ」
イリスの言葉にそりゃそうか、と納得する僕だった。
そんなダイスケ達から離れること1km程街道から離れた場所。
ルーカは一人、平原に座りこんでいた。
三角座りから足だけ地面に付けて中腰で立った状態で、地面にのの字を書いていた。
そりゃこけしを壊された時は殺してやるくらいは憎んだ。
でもルーカだってお金を勝手に使ったことは悪かったと思っているのだ。
謝ってくれればこっちも謝ってそれで収まる筈だった。
まさかそうそうに自分を切り捨て新しいサポートキャラを神様に具申してるとは夢にも思わなかったのだ。
しかも相手のイリスは無駄に優秀らしい。
自分が役立たずだと言われたようでなんとも言い難い怒りが渦巻き、発散できる場所がなかったので思わず飛びだしてきてしまった。
「きっとダイスケだって私の大切さを知るわよ。ルーカが居ないと僕はダメなんだーって泣いて頼んで来たって許してやらないんだから」
そういいながらも、内心はダイスケに探しだして欲しいと思ってしまう。
乙女心は複雑なのだ。
そんなルーカの背後から、人影が現れる。
「何よダイスケ、謝ったって許してやらな……」
嬉しそうに振り向くルーカ。
目の前に居たのはダイスケではなかった。
世紀末もかくやの肩パッドラメジャケット、スキンヘッドにモヒカンヘッド。目には星の刺青だろうか? バイクに跨り舌を出し、人差し指をルーカに向けてファッキンやってる奴も居る。絶対に関わってはいけない危ない男達がそこに居た。




