大団円、からの……
魔王撃破でメインシナリオ完全クリアである。
神様が言うには魔神戦がまだ控えているらしいけどまだ作り切れてないからしばらくはゆっくりできるようだ。
今までの街なら何処でも行ける状態になったらしいので、一先ず勇者の街に戻って宿屋に入る。
勇者君パーティーだったリーハンとリベリオはそのまま死んだのか、姿が見えなかった。
まぁ放っておいても良さそうだし、あそこで消えるのが彼らの運命だったんだろう。
どうでもいい二人だったので放置の方向で。
「ふははははは。生き残ったぞ勇者よ!」
オリジナルのリーハは生還したことを誇って宿屋の丸テーブル前の椅子に座ってふんぞり返っている。
呆れた顔で対応させられているのはヒーロー君だ。
一応生還できた彼はオリジナルのサクヤに寄り添われ、普通にバカップル化しているように思う。
魔王と勇者が相対しながらもどこかほんわかした時間が流れている。
ベッドではヘルファータとシークレットが腰かけ、目隠れ女子会とでも言うべきか、シークレットが絵本の読み聞かせをおこなっていらっしゃった。
綺麗な声で読み上げられるのはマッコリ売りの老女というなんか聞いたことのあるような題名のパロディ本だ。
ルーカが適当に書いたらしい。あいつ馬鹿か?
床ではミケと戯れるサシャ二人。
アッキスは部屋の中を家探ししているし、ファラシオンやウッディはボディビルをやってゲリンデルに見せつけている。
ゲリンデルが呆れているぞ。大丈夫か?
村人君はシンデルさんと勇者の剣に付いて話し合っているようだ。結構真面目な話みたいなので割り入るのは止めている。
勇者の剣を使わせて貰っているからか、責任持って扱い方を聞いているようだ。
心配しなくてもあんまり使用はしな……まぁ折角だし魔神戦で使ってあげようか。
セフィーリアとパルマは今僕と一緒に丸テーブルを囲んでティータイム。
ところでセフィーリアさんや、僕は何故ここにいるのでしょう?
「先程神ッターのアカウントが送られてきました、オリジナルの私がピエロ神を暗殺したのですが、殺し損ねたようです」
「いきなり話題が殺伐ッ!? っていうか神様世界に出現してるっ!?」
「まぁ、そんな感じで貴方に伝えておこうと思いまして」
なぜそこで僕に伝えようと思ったのか、いろいろ疑問が尽きません。
あれか、ホイホイ君を殺しにいこうぜ。サムズアップ歯がキラン。みたいなことをするつもりか?
やめて、僕を巻き込まないで。もうシークレットが居て、リーハが生きてる状態だし、ヘルファータもいるから僕はもう満足してるんですよ?
「ダイスケー、ウインドショッピング行かない? 流石に毎日宿屋は暇だよーっ」
「あー、それもそうだな。神様待ちするのも飽きて来たし、勇者の街探索再開すっか」
皆と共に部屋を出て街道へと出る。
適当にコピーキャラを呼び出し班分けを開始。
本日僕はイリス、ルーカ、パルマ、サクヤコピー、シークレットの五名で回ることにした。
リーハはコピー魔王五体と一緒に回るらしい。ゲリンデルやコピー四天王、ヘルファータも付いて行くそうだ。
心配だからってヒーロー君やシンデルさんが一緒に行くらしい。折角ヒーロー君とサクヤはデートしようとか言ってたのにね、なんかごめん。リア充爆死しろ。
他のメンバーはオリジナルとコピーごちゃ混ぜにして解き放つ。
トウドウとアッキスの二人は放置すると危険そうな気がしたのでタダシとケンウッド、カルシェの常識人と護衛で監視して貰うことにしました。
「さぁって、ウインドウショッピングするかぁ」
「あ、ちょっとトイレ行って来ます」
それぞれ思い思いに移動を始め、出遅れた僕らもゆっくり歩きだした次の瞬間だった。
って、シークレット、タイミング悪いよ!?
―― ダイスケ君、ようやく精査すんだからこれから神様たちも参加してくれるようにオープンワールド化するよー ――
え? もう?
ふーん、ってことはこれからは神々もプレイヤーとして参戦して来るのか。
オリジナルキャラとかってどうするの?
―― 個々人でオリジナルキャラが出てくる仕組みにしておいたよ。その辺りの精査も終わったから連絡したんだ。なのでここから先は皆が追いかけてくる。イベントとかは一緒に攻略してもらうことになるよ、神々と知り合えるいい機会だと思っておいてくれ ――
神々と交流っすか。人間としてそれはどうなのだろうか?
まぁいいや。
楽しみだなぁ。神様とお知り合いになったらどうなるんだろうか?
僕とシークレット専用の世界を作ってくれちゃったりするのかな。引き籠ってても一生過ごせるような世界とか。
そしてホイホイ君の作ったソシャゲワールドがついに配信開始したのだっ……
バツンッ、ジ、ジジ……
……ん? なんだ? 今、世界にノイズが走ったような?
「なぁルーカ、イリス、今世界にノイズ……ルーカ?」
何気なく聞いた僕の言葉に答えを返すことなく、ルーカはどこかへ向って浮遊を始める。
イリスもまた、同じ方向へ……違う、イリスやルーカだけじゃない。
僕の後ろに抱きついていたパルマも、急に突き放すように離れて同じ方向へと向って行く。
「お、おい、ルーカ? イリス? パルマ? サクヤも、何処に行く気だよっ!?」
慌てて駆け寄りルーカに尋ねる。
「どこって? ダイスケの所に、よ? サポーターなんだから早くアイツの元に行ってやらないと」
……ど、どういう、こと?
呆然としている僕の目の前で、ルーカ達はどこかへ向って去っていったのだった。