決戦魔王様
8話、折角なので必殺を見たいとセフィーリアさん達に防御して貰ってヘルファータの必殺ゲージを溜めて貰う。
悪人だらけだからだろう、必殺ゲージが一瞬でMAXまで辿りつく。
2ターン目で普通に出せる状態だ。
相手は魔物だらけだから特攻スキルは使えないだろうけど。
必殺よろしくヘルファータ。
ん。と頷いたヘルファータが必殺を発動。
両手で持ったくたびれたウサギがびくりびくりと動き出す。
「へけ、へけけけけけけけっ」
壊れたように笑いだすヘルファータ。目隠れ系だからかちょっと怖い。
あ、小首かくんって傾げないで、なんか目も赤く光ってないですか!?
へけけけじゃないよ。怖いよ。やっぱ怖いよこの子!
あかーん、なんかウサギさんからヤバゲな触手が噴き出した。
これ以降はもはやコメントできません。
というか、こんな必殺使われなくて良かった。
女性に使われたらもはやご褒美以外の何物でも、あ、でもシークレットは絶対に敵対させちゃダメだな。
危ない必殺は味方には絶対使わないでね。としっかりと彼女に伝え、僕は9話目をタップする。
通路を移動していくと、一際豪奢な扉が待っていた。
うん、これどう見てもラスボスの門だね。
「うむ。我が住処であるぞダイスケ」
「えーっと、扉開いたら敵対しちゃう感じ?」
「そう、なるな」
そっか。ついに魔王と闘うのか。
パーティー編成を終えて扉を開く。
おお、なんか普通に謁見の間だ。流石魔王の部屋って感じがする。
謁見の間をぼーっと見ていると、リーハがすっと歩きだす。
どうしたのかと見ていれば、そのまま壇上にある玉座に向かい、振り向くと同時にどかっと座った。
そして僕を見て高笑いを始める。
うん、つまり、魔王として謁見したかった訳か。
「よくぞ来たなダイスケ。我が魔王城にようこそ」
「我がオリジナルは馬鹿なのか?」
僕の周りに戦闘準備のために呼び出した5体の魔王が呆れた声を出す。
別人を見ているみたいに言ってるけどリーハってば君等のオリジナルだからね。君等の方がコピーつまり同一人物だからね?
「我を滅ぼしに来たか、それとも我を娶りに来たか。どの道その力を示して貰うとしようではないか」
ごめん、目の前で散々示してたと思うんだけど。
というか君と同等の力を持つ魔王が5体もこっちにいるんだけど?
「そこまでだ、魔王ッ!」
うおっ!? 何かと思ったらヒーロー君パーティーか。
あ、ちょっと!?
戦闘を始めようとするので思わず待ったを掛ける。
「どうしたダイスケ君、魔王が居るんだぞ、倒さないと」
いや、ついさっきまで直ぐ隣で一緒に闘ってたからね。
「リーハ、どうしても闘わないとダメ?」
「ダメ、だな」
「わかったよ」
NPCにヒーロー君たちが居たけど彼らは選ばず古代勇者シンデルさんを起用。
残りは全てリーハコピーにして戦闘を開始する。
「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺!!」
「皆、俺の後ろに! 誰も死なせるもんかッ!!」
シンデルさんがリーハ1号から5号を守るように前に出て全身盾を構える。
「負ける、かあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
叫ぶシンデル。
その頭上から迫る無数の炎弾。その全てが、まさかのシンデルめがけて降り注ぐ。
他の場所に向かおうとした炎弾も、不自然な軌道を描いてシンデルに集まって行った。
開幕必殺殺し。
ただ一人炎に彩られ、無数の炎弾により焼き尽くされてその姿が炎の中へと消えてしまう。
ここは名前叫んだ方が良いのかな?
「シンデ――――ルッ!!」
果たして……爆炎によりもうもうと立ち込める煙の隙間から、一人の男が立っている姿が見えた。
全身盾を前にして、魔王の開幕必殺、その全てをたった一人で受け止めた古代勇者。
そいつは、確かに立っていた。魔王の一撃すら耐え抜いて、しかし、やはり人が耐えきるには大ダメージで。
古代勇者シンデルは、盾を構えた姿のまま、息絶えていた……
「シンデルが死んでる――――っ!?」
よし、フラグ回収はおっけーだな。
これだろ。これがやりたかったんだろ神様よぉっ。
魔王の開幕必殺はシンデルにより不発に終わった。
高笑い浮かべてる場合じゃないぜリーハ。
今ので残った魔王達の必殺ゲージがMaxハートだぜ。
行け、僕の魔王たち!
「「「「「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺!!」」」」」
「ちょ、待てダイスケそれは……」
リーハ、魔王って言うのは滅びるもんなんだよ。くらえーっ!