ついたぜ魔王城
魔王城に到着しました。
ここに来るまでに二回の戦闘があった。
つまり二話を使用し、今は三話目をタップしたところである。
魔王城を守る門番は牛男と馬男。
なんだっけ、地獄の門番馬頭鬼と牛頭鬼だっけ。
僕らを見付けた瞬間どすどすと近づいてくる。
戦闘開始と同時に魔王様の一撃。
ぶもー、ひひーんと断末魔の悲鳴を上げて消え去った。
うん。なんかもう、どうでもいいや。
次の話をタップして魔王城内へと入る。
4話目はなんでしょなーっと。あ、なんか広い部屋に……
「来たねダイスケくん、僕の名はラヴィンドート。ま……」
「死ぃねぇぇぇぇ!!」
すこーんと投げたこけしが彼の頭を直撃した。
口上途中でクリティカルヒット。気絶しました。
そのまま戦闘開始。魔王のどっちかの腕ラヴィンドートは本人の知らない間に敗北してしまったのだった。
ふ、雑魚め。
5話目をタップしてさらに進む。もしかして次は魔王の右腕ヘルファータさんか?
オラ、わくわくすっぞ。どうやって仲間にしちゃおうか。
魔王いるしゲリンデルいるし、コピーだけど四天王もいるからきっと仲間に出来る筈。
無理でも何度でもトライしてやるぜ!
あ、そうだ。
ショップを開いてあるモノを買っておく。普通に売ってたけどこれって本来の用途って何なの?
まぁいいや。
ショップから抜け出て魔王城内を歩くと、魔物数体と遭遇した。
魔王様の一撃で難なくクリアという全く面白みのない闘いを経て次話。
6話目にしてついに大広間に待っていた魔王の右腕ヘルファータを発見した。
くっそ可愛い。ぜひとも仲間にしてシークレットの妹扱いしてやりたい。
「魔王の右腕ヘルファータ」
短く告げるヘルファータ。容姿としては目が隠れるほどのショッキングピンクの髪をツインテールにしている女の子だ。
ゴシックロリータっていうのかな? ところどころに黒い十字架が取りつけられたふりふりの服である。
足に履いているのは厚底ブーツかな? 手にはぼろっちぃウサギのぬいぐるみ。片目がぼろんと零れてるのがちょっと怖いし、お腹の辺りの綿がはみ出ている。口は糸で縫い付けられているぬいぐるみである。
「ヘルファータだったな。闘う前に話がある」
「……なに、ダイスケ」
ぐはっ。
きやすい感じで名前呼ばれるとなんかこうグッとくる。
ヤバい、抱きあげて両手持ちながらぐるぐる回してあげたくなる。
というか街中お姫様抱っこで爆走したい。
「ね、ねぇイリス、ダイスケがおかしい気がするの気のせいかな?」
「いつもだから気のせいじゃないでしょ。気にしなくていいわ」
本を見ながらどうでもいいと答えるイリス。ルーカよ、僕がおかしいとはどういうことだい、君ほどおかしな生物にそういうこと言われたくないなぁ。
こけし好きなせいかラヴィなんとかに投げたこけしをわざわざ回収して頬ずりしてるし。
ちなみに、このこけしは前にルーカにあげた奴である。
頬ずりしたまま眠ったルーカから盗んで持っていたものだ。
なんと、本人新しいこけしだと勘違いしたのか好感度が上がってしまっている。
うん、なんというチョロインさんだ。ほんと不思議生物である。
「この戦闘、僕らが勝ったら仲間になってくれ」
「倒されたら、消えるのだけど……?」
「約束してくれれば迎えに来る」
「……できるなら」
言質とったり! ならばあとは、倒すだけだ。ダメならショップで買った縄使って簀巻きにしてでも仲間にしようと思っていたけど必要無かったな。
戦闘開始、と共に魔王様出陣。
一瞬驚いたように大口開けたヘルファータが流星雨に降り注ぎ、彼女の姿を消し去ってしまった。
戦闘が終わり、彼女が消え去る。
当然僕は一旦戻って部屋の外へ。6話をタップし直して部屋に入る。
するとそこには当然のように居るヘルファータ。
「ああ、そういうこと」
「よろしくヘルファータ」
「でも、直ぐ戦闘になるわ、どうする?」
「こうする」
ヘルファータの手をぎゅっと握って7話をタップ。
味方認識されたのかヘルファータが生きたまま次の話に行けたのであった。
―― うわ、またかダイスケ君っ、君ちょっとオリジナルキャラ増やし過ぎだぞっ ――
そう言われてもね神様や。オリキャラを仲間にする方法もあってもいいと思うんだよ。とはいえ何人も仲間にするのもアレだからあと一人だけにするけども。
それに、ブツクサ言いながらも神様は許容してくれるって信じてるさ。
☆5キャラ当らなくしたし、この位は許して欲しいなぁ。
ねー神様。ゆ・る・し・て・にゃん。
「うわ、なんかダイスケが壊れた」
「いつものことでしょ。気にしなくていいわ」
ルーカもだけどイリスも酷いと思うんだ。お前僕のことどういうふうに見てる訳?
まぁいい、とにかく、これからよろしくヘルファータ。
「ん。一杯人間殺すね」
こちらを見上げ、えへっと笑みを浮かべるヘルファータ。あれ、性格がなんか壊れ属性な気が……きょ、許容範囲許容範囲。