表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

200/248

世界の終わりに向かう朝

 鳥のさえずりが聞こえる。

 身じろぎしながら瞳を開く。

 寝返り打った先に誰かの顔があった。

 ウッディさんがサイドチェストしながらニカッと微笑んでる顔だった。


「ぎぃやああああああああああああああああああああああああ!?」


「あ、起きた」


 なんて最悪な朝だ。

 まさか朝からあんなテカリ男の笑顔で起きなければならないとは。シークレットさん癒してください。

 って、あれ? シークレットは?


「なんかパルマと一緒に食事作ってくるって宿の厨房借りてるわよ」


 て、手作り料理、だと!?

 キタコレ! 僕の時代が来たんじゃないのか! 今ガチャしたら☆5連発じゃないか?

 あ、石がねぇや。


「さて、次の章はいつ行くのダイスケ?」


「もう殆ど最後の方だよな。魔王倒したらこのソシャゲ世界ってどうなるの?」


「一応続くとは思うわよ。ここも世界であることに変わりは無いんだし」


「神様次第でしょうね」


 ルーカとの会話にイリスが割り込む。

 ぼそっと告げた彼女は隅っこの方で本を読んでいた。

 居たのか、気付かなかった。


「みなさーん、食事出来ましたよーっ」


 シークレットの声に僕は即座に走りだす。部屋のドアを乱暴に開いてえぇぇぇぇ!?

 ドタドタドタゴロンズダングキィ

 あれ、目の前が真っ暗に……


 ……

 …………

 ……………………


「おおダイスケよ、死んでしまうとは情けない」


 目を覚ますと呆れた顔のリーハがどっかの王様が言いそうな台詞を言って来た。

 なぜ魔王の前でローディング始まってんのさ。


「ダイスケ急ぎ過ぎ。階段落ちで死ぬとか流石に何も言えないわ」


「死っ!?」


「日常に潜む死、か。私を助けて自分が事故死とか笑えないわね」


 ゲリンデルもそう言えばオリジナル助けてたっけ。あと背後に居るウッディ何とかしてくれ。オリバーポーズ取ってるのが地味にウザい。

 他の面々は既に食事を始めているらしく、食事をするヘスティカーナの蛇腹を椅子代わりにしてネビロヌやサシャが食事をしている。

 それでいいのかヘスティカーナ。


「そう言えばナルタとか出て来なかったな」


「イベントででるんじゃないの? まだ時期じゃないだけとか」


「もしくは世界を旅して行けばどこかで眠っている特殊イベントとかかもね」


 ルーカとイリスが他人事のように言う。そっか、この世界に居る全ての住民がガチャキャラ対象になってるからメインストーリーに出ないキャラも結構いるのか。

 それにしては出てくるガチャキャラに民間人少ないな。どうなってんだろう?


 村人Aとかは多いけど砂漠村のカッツェくんとか全く見かけない。

 薄幸メイドのフハイちゃんとか1体くらい出てもおかしくないんだけどなぁ。

 そこんところどうなんだよクレイズくん。

 そういえばなし崩し的にずっと僕等に付いて来てるけど、君って確かこの国に居る間の監視役じゃなかったっけ?


「え? あれ? そういえば、なんで俺……」


「多分イベント入ってないからじゃないかしら」


 イリスさんの言葉で理解する。

 つまり、僕等に付いてくるっていうイベントがあっただけでその後のイベントに組み込まれて無かったからずっと付いて来ている状態になっているようだ。

 ということはこのまま魔王退治にまで付いてくるのか。この勇者の街にいる兵士なだけのはずだったのにね。とんだ冒険に巻き込まれるのか可哀想に。


「でも、確かにガチャキャラって少なめよね。ハレンチ王国の住民も出て来てないし」


 そいつら出てきたら速攻削除する。


「イベントもあんまりなかったよな。普通もうちょっとイベント多めの筈だし、最終ストーリー進むまでのメンテナンスも結構あると思うんだけど」


「多分だけど神様配信するから急いでるんじゃない?」


「急ぎ過ぎて中途半端で配信しそうね。開幕メンテ、ありえるかも」


「本当に有り得そうで笑えないな。っと、シークレットの手料理はどれかなぁ」


 座席に座って食事を開始。

 美味しそうな子羊のステーキと、なんかよくわからない毒々しい色のシチュー。そしてちょっと歪な盛りつけの野菜サラダ。


「おお、サラダ美味しい」


「ありがとうございますっ」


 えへへ。と笑うのはパルマ。

 む、サラダを作ったのはパルマか。

 と、いうことはあと手作り感があるのは……

 シチューに視線を向ける。

 じぃっとシークレットの視線を感じる。


 これ……なのか?

 いや、シークレットはそれなりに料理は出来た筈だ。つまり子羊ステーキの方のはずだ。

 そうだ。まずはこっちを味わおう。死ぬ前に美味しい物を食べておきたい。


 ステーキを一口。少し硬いがそれなりに美味い。

 よかった。こっちは普通にステーキだ。

 では、いざ、実食! シチューを一口分掬う。


 ぱくり、口に含んだ瞬間広がる未知の味。

 僕の意識は一瞬で昇天していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ