魔王専用の武器
勇者の街(仮)に戻ってきた僕らは、折角だから各自のオリジナル武器貰って装備品にしようってことで宿に戻ると同時に会議を開いた。
ヒーロー君たちは別の宿に泊まるそうで、誘ったけど断られました。
彼らが休む宿は決まっているらしく、僕らが幾ら誘ってもそこから出て来ない仕様になってるらしい。
勇者ヒーローには滅多に会えない。そういうふうに神様たちがしたいようだ。
それにしても専用武器があるっていうのはありがたいというか、あるなら早めに言ってよね。
オリジナルキャラは全員一つは持ってるらしい。
ルーカ達は持ってるのかって聞いてみたけどサポーターは持ってないんだと。使えない。
好感度が高いらしいシークレットとかケンウッドとかからは普通に武器貰いました。
シークレットからは鋼茨之蠍鞭を貰いました。
怖っ、何コレ、すっげぇ棘棘してるんですが、しかも先端に毒針付きって、あの、シークレットさん、これ、本当に君の持ち物?
シークレットは頬を染めて恥ずかしいです。と身をよじる。
いや、そんな彼氏にプレゼントして恥ずかしがってる乙女みたいな顔されても、これはちょっとどうかと思うよ。でも可愛いから許す。
ケンウッドから貰ったのはメリケンサック。
普通のメリケンサックだ。何の変哲もない。
攻撃力もそこまで強くない。
これだったら普通の剣を持ったままの方がいいのでは? と思ったんだけどケンウッドに装備して貰ったらなんか凄いクリティカル発生率が爆増しました。
いかん、これはゲームバランスを破壊する最終兵器だ。
双方に武器を返して適当にレベルを上げておく。
というかケンウッド武器いらんだろ。
サシャ二人から貰ったのは血染めの短刀。名を血桜というらしい。
即座に返しました。こんな危険そうなの持ってられるかッ。
とりあえずレベルだけは上げておくよ、ほれ、半分づつな。素材一緒だから下手に適当に注ぎ込んだら怒られそうだし。
あとは誰が貰えそうかな?
オリキャラと言えばミケ達はどうだ?
あ、このナイフくれるのか……血桜じゃねぇか!?
なんでお前までサシャと同じ武器使ってんの!?
ネビロヌはなんか禍々しい杖だった。
ヘスティカーナは爪? これ使ってるの見たことないんだけど。
トウドウさんは、なんすかコレ? 依頼書? あ、違う、土地権利書だ。しかも偽造だ。
ウッディは謎のクリーム。身体に塗るとテカるんだとか。
ファラシオンは、なんか変な金属部品。聞けば彼の重要な攻撃指令を出す部位なのだとか。
そんなもん渡すなよ。攻撃できなくなるだろ。
でもとりあえずレベルはそれなり上げておく。
はい、お返ししますよっと。
アッキスは何くれるの? え、大風呂敷? どうでもいいよこれ。
え? 今日はグレード上げしないのか? はっはっは(するわけねぇだろ役に立たねぇのわかってるのに)今日は素材が足りなくなったみたいだからまた今度な。
あとは……村人君は何かある? クワ? 今の勇者の剣の方が強いからそれでいいじゃん。これは装備すると勇者の剣装備出来ないからとりあえず預かっとくわ。
セルジュさんから貰ったのもメリケンサックだった。とりあえず少しだけレベル上げて彼にお返しする。
「クレイズさんはどうよ?」
「あげる訳ないでしょう。しかし、勇者ヒーローとお知り合いとはね。僕はこれから報告に行って来ますよ」
魔王というのは大会で既に分かってしまっている筈なのだが、ここに勇者が襲撃して来るなどといったことは未だにない。
いいのかね、魔王が普通にここに六体も居るんだけど。
「そう言えばリーハの武器ってなんなの?」
「我か? たぶんこれだな」
と、取り出されたのは水晶玉みたいに透き通った丸い玉である。
「龍珠と言ってな。我が力を存分に引き出してくれるのだ」
「おー。んじゃレベル上げます」
「だ、ダメだ。これを失ったら我が弱くなるだろうが。次は我との闘いなのだぞ!」
ああ、成る程。
「だからオリーハよ、我が預かっておいてやるから心置きなく死ぬがいい。そして次こそ我が魔王となるのだ」
コピーリーハ1号がハーッハッハと笑う。
誰が渡すかっと龍珠を仕舞ったリーハが1号と取っ組み合いになった。
宿の部屋狭いから暴れないでください。
「コピーからは貰えないのか」
「残念ながらそのようですね。銃を渡して力を上げれるかと思ったのですが」
セフィーリアはもうそのままでいいと思う。
しかし、魔王戦用武器、か。
アレを手に入れておけば魔王の実力は弱くなるんだよな。
なんとかして入手できないも……
ころころころ。
暴れるリーハ達の傍から龍珠が転がって来た。
よし、龍珠、ゲットだぜ! なんつって。
素早くアイテムボックスに入れておく。
すまないなリーハ。僕だって君とは闘いたくない。でもそれよりももうできるだけ死にたくないんだ。
僕が生き残るために、頼む、簡単に死んでくれ。