デイリーミッションの激戦・後編
「やったか!?」
僕の隣で戦況を見ていたシオがフラグをぶっ立てた。
アホかテメェ!?
「あー。へっぽこ騎士のせいで敵が生き残ったじゃない」
同じく見学中のリーシャが告げる。
良く見ているな。
確かにトンボが飛んでる影が見える。
つまりまだ生きてるってことだ。
「なんだと!?」
驚くリーハにHP半分くらいになってるトンボの突撃。
「馬鹿な!? この我が……」
って、リーハさーん!?
当りどころが悪かったのかクリティカル喰らったリーハのHPが0になる。
普通のキャラならこれで終わりだ。でも魔王様は第二形態を持っている。
ドラゴン形態に変化したリーハの攻撃。スキルは全て使った後だったので通常攻撃だ。
トンボのHPを5分の1になるまで削り取る。
惜しい、あと一回分残った。
続くトンボの攻撃。
そこでまさかの悲劇。
リーハの頭上にcriticalの文字が赤々と点滅。リーハのHPががくっと減った。
まさかの一撃で半分以上。下手したら次の攻撃で死ぬんじゃないかと思うくらいだ。
「奢るなよカトンボがッ」
だが、さらに悲劇。
リーハの攻撃を上昇することでトンボが回避。MISSと表示される。これはマズい。
「いかん!?」
更なる体当たりがリーハに直撃した。
HPが一気に真っ黒になる。
「え? これ、終わった?」
「また負けたねー。魔王よっわ」
シオが呆然としてリーシャが毒を吐く。
僕も正直終わったと思った。でも、リーハは生きていた。
HP1でぎりぎり生き残っていた。
「主様ァッ」
「分かってる! 破絶之爪撃を!!」
僕の言葉でリーハがスキルを発動する。
ぎりぎり使用可能ターンに達したようだ。
本来であれば通常攻撃一回あれば敵を倒せた。
でも直前にスカされたのだ。四回攻撃なら流石に全てミスになることはないだろう。
だからこその過剰攻撃。
御蔭で最後のトンボが消えていく。
ミッションコンプリート。危なかった。今のはマジで危なかった。
流石に無謀かと思ったけどこれでデイリーミッションは全て行った。
後は報酬を手に入れて村長の村に戻り一日を終えよう。
「御屋形様、申し訳ありませんでした」
戻って来た地形と戦闘メンバー。
サクヤが慌てて駆け寄って来て謝ってくる。
問題無いんだ。むしろ無謀な闘いで運良く勝てたんだ。感謝こそすれ皆に不平不満言うつもりはないよ。
「フハハ見たか主様よ。我大活躍だったであろう。我大活躍だったであろう?」
「なんで二度言ったのですか魔王」
「重要なことは二度言うのではないのか?」
「言いませんよ普通は。頭大丈夫ですか」
「なんだと蛇女め」
何でこの二人は仲が悪いのか。
しかし、良く生き残れたな。これは足を引っ張る相手が居なかったことが一因だろう。レゴウとかシオとか。マジもう止めてって感じだったよね。
プレゼント貰った後は村長の家に戻ると、まだルーカがめそめそしていた。
声は掛けることなく村長さんの元へ。
眠ることを伝えると、快くベッドを貸してくれることになった。
メンバー引き連れてぞろぞろ案内された部屋に向かう。
案内された部屋は個室で、僕しか眠れそうにない。
こういう時こそルーカの出番なのだが、ダメだなアイツ。
仕方無いこっちこそGM案件だろう。
メールを送り、ルーカの職務怠慢と寝る時メンバーをどうすればいいか尋ねてみる。
すると神様も一部始終見ていたようで、ルーカが再起動するまで別のサポートキャラを送るとメールが返って来た。
サポートキャラ選べるのか。
だけど残念ながら好きに選ぶことは出来ないらしい。
出来るなら素直で聞きわけの良い大和撫子なキャラがいいなぁ。
明日の朝には到着するらしいので今日は寝るだけになる。
ベッドは自分が使えばいいらしい。コピー体達は基本寝ないのと、僕が寝れば自動休眠に入るのだとか。世界仕様だから気にするなって言われた。
なので僕だけがベッドに寝転び眼を瞑る。
そう言えば風呂やトイレ行ってないけどどうしよう?
まぁいいか。今日は本当にいろいろあって疲れたしさっさと寝よう。
少女はうなだれていた。
手にはこけしの頭のみ鎮座している。
なぜ、こんなことになったのか。何故こんなひどい事をされなければならないのか。
ああ、許すまじ、許すまじダイスケ。
「サポートキャラ舐めんなよ。サポートされない辛さを味合わせてやる」
少女はこけしの亡きがらに誓う。
必ずやアイツを泣いて謝らせる。
土下座してルーカ様私が悪ぅございましたお許しください。と何度も謝らせてやるのだ。
「ダイスケ、この怒りは高く付くんだからねっ」
少女は一人、復讐の炎を瞳に宿すのだった。




