魔王が滅びようとも第二、第三の魔王が行く手を阻むだろう
「なんと魔王グレヴィウスリーハ、味方の裏切りで早々に敗北だぁ!! え? これいいのか? 魔王倒されちまったぞ? これはもう世界は平和になったってことでいんじゃねー? んじゃま気を取り直して次だ次、魔王は脅威でもなんでもないっつーことで次の試合は! 勇者の宴VS魔王現る! ん? え? ま、魔王また出たぁー!?」
司会のおっちゃんが驚いた。
皆がざわめく戦場に、堂々入場して来たのは魔王4号率いる魔王現るチーム。
コピーリーハ四号、カルシェ、レスティス、ミゼラ、Gババァ、俺の尻で泣けの面々だ。
勇者の宴チームも敗退した筈の魔王が再び現れたことに驚きを浮かべている。
「どうした? たかが5号程度を下したところで調子に乗っていたのではあるまいな人間共?」
「あの、同一人物の多重参加は……」
「客席を見てみよ、5号がおるではないか」
「ま、魔王が二人!?」
「ふっ。魔王を倒そうとも第二、第三の魔王が貴様等の行く手を阻むだろう。さぁ、勇者たちよ矛を構えよ。我が実力というものをその身に刻んでやろう」
ノリノリのリーハ4号。
こいつ等魔王ってホントノリが良いよなぁ。
勇者たちも戦闘開始とばかりに武器に手を掛ける。
「行くぞ、皆!」
「お……」
チュピン。
かけられた声に反応しようとした仲間の一人が一瞬で上半身を消し飛ばされる。
え? 唖然とする勇者。
光が一筋通り過ぎた時には、下半身しかなくなった仲間がどたっと倒れた後だった。
「な、何が……」
Gババァが通り過ぎただけです。あのババァ容赦ねェ。幾ら戦闘終了後に戻るからって躊躇なく抹殺しやがった。
次にミゼラが凍結魔法を唱え、足を止められた勇者に、そいつは恐ろしい拷問を撃ち放つ。
ブピィッ
俺の尻で泣け。そんな名前の男は勇者たち向けて屁をひりだした。
足を凍らせられて動けない勇者たちに容赦ない悪臭、いや、もはやアレは毒ガスだ。
涙流して悶え苦しむ勇者たち、なんか顔から血管浮き出させて白目剥きだしたんだけど、ついでに戦場に立っていたリーハ4号達ものたうちまわって場外に転がり出てるんだけど。
「こ、これはぁ! なんという恐ろしい攻撃か。奴の腹の中はどうなってるんだァ!? オナラ攻撃を喰らった勇者の宴チーム、立ったままの憤死だぁぁぁぁ!?」
そして逃げだして場外となったリーハ、カルシェ、レスティス、ミゼラ、Gババァが難を逃れ、場内に佇むのは仁王立ちする俺の尻で泣け唯一人。
なんであいつはあんなに漢らしい顔が出来るんだ?
というか、大衆の面前で豪快なオナラしてあの顔してることが驚きだよ!
「し、勝者魔王現るチーム。まさかの魔王すら逃げだす毒ガスブレスが一撃で勇者たちを狩り殺したァ――――ッ!!」
司会さんがまた凄いこと言ってるし。でも実際魔王逃げだしてるしね。
こんな感じで戦闘が続き、第七試合、魔王最高チームと魔王様と犬チームとの闘いが始まった。
コピーリーハ三号、タラッシュ、ミケ、ウッディ、ファラシオン、アニキとリーハコピー一号、シークレット、サクヤ、サシャ、サシャ、ケンウッドコピーの闘いとなる。
シークレットがんばえー。
なんでシークレットだけ頑張れって? 僕が応援するのはシークレットに決まってるじゃないか。
それにパーティーメンバーから言っても一号の方がメンバーは強い筈だしね。問題があるとすればミケとアニキの即死攻撃かな。
「んじゃ、行っくよー」
戦闘開始とともに動き出したのはサシャ。
速度的に魔王様と犬チームの方が速かったようだ。
サシャ二連撃で魔王以外が殲滅しました。
リーハ三号もHPがほぼ消えかけており、リーハ一号の攻撃で全損、第二形態へと移行する。
サクヤの水弾三連とシークレットの鞭が襲いかかる。
流石に全損させ切るのは無理か。
リーハ三号が忌々しそうに叫び
破絶之爪撃で攻撃するのは、腰が痛いんじゃぁ。とプルプル震えるおじいちゃん。
そう言えば居たなお爺ちゃん。
連続四回攻撃を、きゅぴんっと目を見開くカットイン付きで避けまくるおじいちゃん。
やっぱあの人すげーわ。
「おのれ、クソジジイがァ!!」
「クハハハハハハハ!! 塵芥どもよ天を見上げ絶望せよ! 我が名はグレヴィウスリーハ! 貴様等を悉く撃ち滅ぼす者である。星屑達乃虐殺!!」
「ば、馬鹿な!? この我が、魔王だぞ? この我が、滅……びる?」
魔王様が魔王様倒したー。
リーハ三号が倒され、魔王の高笑いが響く。
うん、まぁ、予想通りかな。
負けた魔王最高チームが観戦席へと戻ってくる。
リーハ三号が憤慨してるけど、まぁ仕方ないよ。相手が悪かったんだ。
レベル80のオリジナルサシャが二人もいるし。
ほら、こっち来て残りの観戦していたまえ。