神様仕事する
「神様、これどうしたらいい?」
―― なんでそうストーリーを無視する感じで大会出場してるかな!? ええい、ちょっと街中ぶらついててくれ。特殊イベントとして個別に勇者大会開くから、プログラム作るの大変なんだぞ!? しかもやりたいやりたいとか暴走し始めた駄女神を監視しながらッ!! あと、バグ見付けても報告はイベント作り上げるまで待って ――
おお、神様が珍しく大規模イベント組もうとしている。
大丈夫なのか?
まぁ、しばらく街中ゆったり廻れってことらしいし、そこの勇者君達も一緒にどうだい?
あ、クレイズ君たちが合流して来た。
あんた見ないと思ったらハッサンたちのパーティーに組み込まれてたんだな。
苦労したようでじゃっかん疲れが見える。
おそらくハッサンが物凄いテンションMaxで動き出して写真撮り始めたから留めようとして必死に縋りついたりしていたんだろう。可哀想に。
あ、そういや結局クレイズ君には魔王だとは伝えてないな。伝えたら大変なことになりそうだしこのまま黙っとこう。
「あ、そうだ。ここの特殊召喚石探そう」
「特殊召喚石? もしかしてこれか?」
勇者ヒーローから渡される召喚石。うん、これっすわ。
「なんてこった探すっていう時間潰しが勇者に消されちまった」
「え? なんかごめん?」
街中をただ見るよりはと思ったんだけどこれは仕方無い。
皆、また別行動で探索する? え? もういい?
仕方ない山猫マロンでカフェするか。
やることないからカフェでゆったり。
シークレット、カフェデートを……え? カフェ飽きた?
セフィーリアさん、宿で寝とく? 皆も? ちょ、待って、待ってくれ皆ーっ!!?
セフィーリアさんを筆頭にオリジナルキャラ達が宿に向かってしまう。
地面に四つん這いとなり手をセフィーリアさんの後ろ姿に伸ばす僕、結局誰もとまらないでやんの。
一度だけシークレットが僕を見たけど、セフィーリアさんに促されて一緒に去って行ってしまった。
後に残ったのは?
背後で僕を見て鼻血出しながら尊いとか言ってるコピーパルマ、そしてオリジナル魔王、ゲリンデル二人、勇者御一行、最後にクレイズ君。
仕方ない。この面子で街中見回るか。
「リーハ、デートしよう」
「なぁっ!?」
「皆さんもご一緒どうですか?」
「ま、まぁ、暇だからいいが……デートじゃなくないか、それ?」
いいんだよ別に。
シークレットが相手なら二人きりで、あわよくば男女の関係に、とか考えなくもないけどさ、パルマが追跡して来てる以上なんかもうデート感全く無いし、皆で遊びに行こうぜ。
「クレイズ君や、どっかいい場所知らない?」
「なぜ俺に聞くんっすか。知りませんよ」
「ああ、有名なデートスポットならいくつか知ってるぞ?」
ヒーロー君から提案。なんでそんな場所を知ってるんだこのリア充め!
どうせサクヤさんとデートでラブラブするつもりだったんだろう! この、このっ。
「あ、ちょ、止めろよ。いきなりなんだよ」
「誰と行く気だったんだ、ってかすでに行った後かこのリア充め」
「なっ!? ヒーローさん、それ、どういうことですか!?」
「ま、待ってくれサクヤ、誤解だ、俺は……」
「あたしぃ、デート誘われたからここ行ったンだけどぉー?」
そしてまさかのリーハンさんからリーク情報が。
「な、な、なぁっ!?」
口をぱくぱくしながら驚くサクヤ。ヒーロー君が密かに汚ギャルちゃんとデートしていたことに気付いて驚いたようだ。
「ちょ、待て! 俺はリーハンとは行った覚えは無いぞ!?」
「あは。あたしが行ったのはリベリオとだけどぉ?」
リベリオって誰?
あ、お前か!?
ずっと勇者パーティーにいながら未だに名前謎だった男が頭を掻いて恥ずかしそうにしている。
テメェ、この裏切り者がぁ!! リベリオ、アレだろ、リベリオン、反逆って意味だろ!
このカップル絶対裏切るだろ。どう見ても裏切るだろ。名前がもう裏切っちゃってるだろ!!
というか隠れてカップルになってる時点で裏切りもんだろうがよォッ!!
ほらみろ、ヒーロー君もサクヤも衝撃的事実に驚いてるだろうが!
「お、お前ら付き合ってたのか!?」
「お、おぅ。これで結構可愛いんだこいつ」
「あたしはめっさかわいーっつの」
僕はそこまで可愛いとは思わないです。どう見ても汚い系の女性にしか見えません。
シークレット並みにとは言わないのでこぎれいにした方がいいと思う。
頭ぼりぼり掻いたらノミっぽいのがぴょいーんと飛んでるじゃんか。近づくのも怖い。
「あーまー、うん。おめでとう」
ヒーロー君としても祝福する程じゃないけど仲間の二人がカップルになったってことでとりあえず祝福を送るのだった。




